無言のまま、彼の顔を見つめた私を、彼も黙って見つめ返す。
理由があって、見つめたのではない。
ただ、何となく・・・。
「・・・? どうした?」
「ううん、なんでも」
首を横に振る。
岩田さんもそれ以上は聞かず、無言のまま車を走らせた。
お腹は、あまり空いていなかった。
だから、夕食が無くても構わないと言えばそうだけど・・・。
ソレだけが目的と一目で判る、ラブホテルに着いた。・・・というか、連れて来られた。
久しぶりに会えて、いきなりそうなるのか・・・と、溜息が出る。
まさか、終業間際の資料庫でのキスで悶々としたとか、そういう事?
こういう事が何度かあっても、私は慣れない。
心がまだ、ついて来ない。
私が温めて欲しいのは、身体ではなくて、心。
今肌を合わせても、彼の心が私に向くとは思えない。
束の間、岩田さんの性欲を処理するだけだ。
【休憩】のボタンを押して、いつものように腕を引かれてエレベーターに乗り込む。
・・・正しくは、連れ込まれる。
雰囲気を出すための、強めのキスも、私は好きではない。
強く激しいキスやセ ックスは、疚しさや、都合の悪い何かを隠しているように感じるから。
狭いエレベーターの中から、隙あらば唇を奪われた。
一秒さえ惜しい・・・?
急かすようにドアを開け、手首を掴まれたまま、部屋へ傾れ込む。
背中に腕を回されたまま、ベッドへと倒れた。
私は、今日も流される――
諦め半分、彼の腕に落ちる覚悟をした。
・「この人誰?」と思ったら → 登場人物
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