【詩】・あなたの香り | 〈 追 憶 の 向 こ う 側 〉

〈 追 憶 の 向 こ う 側 〉

筆者のリアル体験物語。「社内恋愛」を題材にした私小説をメインに、創作小説、詩を綴っています。忘れられない恋、片思い、裏切り、絶望、裏の顔―― 全てが入った、小説ブログです。


::: 追憶の向こう側 :::-香水



出逢った時から

大人の香りを纏っていた。


苦味のある

煙草の匂いと、

爽やかなコロンの香り。


私の身近に、

そういうヒトが いなかったせい?


私の心は、

見事なまでに奪われた。



難しい顔をして、

左手に受話器、右手には煙草・・・。

深い溜息とともに、吐き出される白い煙。


眉間に皺を刻む、

困り、悩んだ顔にも

“男の色気” を感じた。




貴方が動くと、

風が知らせてくれる。


ほのかなコロンは、

風に乗り

私の許へと運ばれた。


顔を上げれば

微笑む貴方が、私の許へ・・・。



「 何のコロンを つけてるの? 」


「 ナイショ 」



冗談まじりで 答えた彼方は、

引き出しから小瓶を取りだす。



「 手、出して 」



そう言って、

手首を出すように 仕草で伝えてくる。


シュッ・・・


短く ひと吹き。

私の手首に、コロンが落とされた。



彼の香りが、私の身体から漂う不思議。



一瞬だけ、

小瓶を目の前に出した。


視線が文字を追う前に、

彼は小瓶を引っ込める。


ブランド名は見えたけれど・・・



意地悪そうな、

悪戯な眼差しで、私を見ていた。



一日だけ、

彼と同じ香りを 身に纏う。



それは

紛れもなく、男性の香り。


彼に包まれているような、

気恥ずかしさが込み上げる。



コロンの名前は、わからないまま。



貴方の声も、

煙草の匂いも憶えているのに、

コロンの香りだけが

私の身体から・・・

記憶から 消えていく。



貴方は今でも、

あの香りを纏っているの?


それとも、別の香り・・・?



擦れ違う瞬間に

呼び覚まされる記憶で、

貴方を捉えることが 出来るのだろうか。



香りだけで、

貴方を見つけることが 出来るのだろうか。




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最後まで読んでくださり、ありがとうございます。(*・ω・)*-ω-)) ペコリ
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