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私の小説レビューG

私の読んだ小説の記録です

                                                                   

 

★★★★☆

高校時代のイジメが原因で引きこもりになった人生という大そうな名前の24歳の青年は、父親と離婚した母親と2人で安アパートで自身は自堕落に生活していたが、ある日突然に母親が書置きを残していなくなってしまう。 

 

その書置きには、今年来た10枚ほどの年賀状の中に、あなたを助けてくれる人がいるかもしれないから連絡を取ってみなさいと書かれていた。 人生は子供の頃に何度も遊びに行って大好きだった父方の祖母のマーサばあちゃんから来た年賀状を頼りに東京から長野の蓼科まで訪ねる事にする。 でも、何で人生は、出て行った母親に電話やメールをしてみたり、母親の職場を通じて捜そうとはしなかったのだろうか。 それは、母親から捨てられたという思いからなんだろうか。 

 

人生がイジメられる場面は胸が痛かったし、1人になって心細く不安な人生や、息子を捨てて部屋を出なければならなかった母親の苦しみも気がかりだった。 途中で幸運な出会いもあり無事マーサばあちゃんの家に辿り着いたが、 ばあちゃんは認知症で人生の事を何も覚えていなかった。 そして、ばあちゃんの家には、中学生くらいに見えるが21歳で初対面の父親の再婚相手の連れ子のつぼみという女性が居ていっしょに暮らしていた。 更にそこで、ずっと会っていなかった人生の父親が病死していた事を知る。

 

ばあちゃんの家に泊まった翌日、ばあちゃんが人生のケータイを水没させてしまい、人生はショックと怒りで東京に帰ると家を飛び出すが、駅で電車に乗る決心がつかずまた戻ってくる。

そんな人生を涙で再び温かく迎え入れるばあちゃん。 こうしてマーサばあちゃん、つぼみ、

人生の3人での共同生活が始まる。 そして、人生は清掃会社のアルバイトで働き始め、初任給でケーキを買い給料をばあちゃんに渡す。 母親にもこうするべきだったと後悔する人生。

 

人生とつぼみは、ばあちゃんの持つ小さな田んぼで特殊で非常に面倒な方法での米作りを始めようとするが、その矢先にばあちゃんの認知症が急激に悪化してしまう。 それ故に人生とつぼみは、米作りを通してばあちゃんを励まそうと決心する。 それにしても人生らにいろいろ親身にアドバイスをして力を貸してくれる食堂の志乃さんが非常に頼りになる存在でマーサばあちゃんと共に仏様のような人だ。

 

しかし、ここまで読んできてベタで典型的な登場人物達と展開が、米作りを手伝うために親から無理やり参加させられた大学生とかも含め、この後の展開がミエミエだし、最初の方で余命短い病気だと思っていたばあちゃんが、そうでないと分かった時から、人生とつぼみを蓼科に呼び寄せた年賀状の秘密も察しがついていたし、もう少しラストへの展開に向けての意外な捻りがほしかった。 凄くいい作品なのは間違いないと思うが、予定調和過ぎて泣ける作品ではなかったのが、ちょっと残念だった。

              黄色館の秘密

 

★★★☆☆

偏屈で好色の実業家、阿久津又造が家族と暮らす黄色館は、世界の珍品を集めた秘宝館が併設されていて、そこにある黄金仮面を盗むと窃盗団から予告がある。 館に宿泊していた知り合いの虹子から呼び出された密室殺人事件マニアの黒星警部が成り行きで警備に当たる事になるが、

はたして黄金仮面は盗まれてしまい密室で阿久津が殺害されてしまう。 

 

これにより大雪で陸の孤島となっている館に残されたのは、黒星と虹子の他には又造の後妻の貞子、前妻との長男の隆一郎、貞子の連れ子のユリと麻衣、又造と貞子との間の次男の洋二、秘宝館の管理人の鶴田、使用人の虎山夫婦、又造の秘書の明美だが、洋二と鶴田は、事件が起こる前の夜の早い内に館を出て山を下りていた。 館の後ろは断崖絶壁で大雪で麓から上がってくる外部からの侵入も不可能と見た黒星は、館に残された者の中に犯人がいると推理する。 

 

そうこうしている内に、今度は明美が密室で殺害され、鶴田が帰る道で車が動けなくなり歩いて館に戻ってくる。 そして、次は洋二までもが館内で殺害されて発見される。 何かここまでは、いつも捻りに捻りまくって訳が分からない折原一にしては珍しいオーソドックスな王道ミステリーの展開という感じが続き驚いた。 

 

結局、又造に部屋に押し入られ犯されそうになった明美の又造の殺害方法だが、予めコンドームに雪を詰めて凍らせての撲殺って、氷の棒で相手を殴って死に至らしめるには、結構大きい棒じゃないとダメだと思うが、それだけの氷の量を、悲鳴を聞いてみんなが駆けつけるまでの短時間に証拠隠滅のために全部食べて、コンドームは又造の股間に装着するなんて、そんな時間があったとは到底思えない。 もっと理に適った犯行方法を期待したのだがちょっと残念。 

 

作中の些細な描写から鶴田と明美が男女の仲なのではと薄々感づいていたし、ミステリーってアリバイがハッキリしている者とか、犯行時間に現場にいなかった者が犯人というパターンが多いから鶴田が何か犯行に絡んでいるのではと思っていたが、鶴田は黄金仮面を盗んだだけで、本当の殺人事件は、明美が又造を殺害したものだけで、明美と洋二の死因はアクシデントによる事故死とか、更に潜入していた窃盗団の工作で事件が混ぜ返されて変に複雑になったとか、無能で役立たずの黒星警部のコミカルなキャラに合わせて中途半端なコミカル風になってしまっていて、途中までせっかくの王道ミステリー路線だったのに、わざとショボく終わらせなくてもいいのではと思った。