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 難波(なにわ)から平城(なら)京へ、生駒山地を越える古道を見ておきたい。ついでに「女人高野(にょにんこうや)」「女人大峰」とも云われた「千光寺」の行場に寄っておこう。そんな計画を立ててみた。

 

 「千光寺」には、近鉄生駒線「元山上口」駅から行くのがふつう。駅前から専用のマイクロバスも出ている。しかし、古道見学の都合があるので「南生駒」駅から出発することにした。上古の「暗(くらがり)峠越え」路の流れをひく国道308号が駅前を通っている。少し昇ると、行基開基の伝承がある「宝幢寺」に至る。峠越え路に近いこの寺は、「行基四十九院」のひとつ「恩光寺」の有力候補だ。「宝幢寺」から「千光寺」までは、のどかな山里歩きになる。

 

 今回は、↑地図の踏査ルートを黒線で表示してみた。いままでの赤線と、どっちが見やすいだろうか。

 

 

 

 

 シルエットは行程の標高(左の目盛り)。折れ線は歩行ペース(右の目盛り)。標準の速さを 100% として、区間平均速度で表している。横軸は、歩行距離。

 

 「南生駒」駅前↓。国道308号(くらがり峠越え)と近鉄電車。

 

 

 

 

 

 

 生駒山竜田川「暗峠越え」街道(赤矢印)↓。


 

 


 サクラの下をくぐって「宝幢寺」へ。

 

 

 

 


 

 

 「行基・四十九院」のひとつ「恩光寺」については、「平群(へぐり)郡」にあったということしか判らない。明治以前の「平群郡」内で、「行基が開基した」との伝承のある寺は3か所。そのうち、奈良時代以前からの街道すじにもっとも近いのが、この「宝幢寺」。

 

 もちろん、創建時の建物は残っていない。室町時代建築の本堂↓。

 

 


 

 

 やはり来てよかった。往古を偲ばせる佇まいだ。じつは、ここに寄ることにしたのは、朝早くても門内に入れるから。したがって、拝観料も無い。


 ↓山裾づたいに千光寺」へ向かう。竹林、またクヌギ、クリ、ヤブツバキ、アオダモ、アカマツなどの雑木林。まもなく目の前が開けると、棚田のなかの径をゆく。

 

 

 

 


 

 鳴川沿いの車道に出て、さらに行く。

 

 

 

 

 

 「千光寺」に到着↓。伝承によると「役行者(えんのぎょうじゃ)」の創建だという。「役行者」は、はじめ、ここの行場を開き、その後に大峰山上の行場を開いたから、こちらを「元山上」と云うのだそうだ。どちらも史料的根拠はないが、後世(中世)の修験道で尊ばれた行場だったということだ。

 

 「女人高野」「女人大峰」と呼ばれる山岳行場は、ここ以外にも幾つかある。高野山、大峰山は女人禁制だったが、ここは比丘尼・優婆夷も受け入れた。女性専用だったわけではない。

 

 

 

 

 観音堂↓。

 

 

 

 

 説明板がないので分からないが、「役行者」に関係する洞窟らしい↓。「行者御加持水」と記した古い石標がある。今は渇水期らしいが、洞窟の中の湧き水が、溝から流れてくるのだろう。家形は、滋賀の「崇福寺址」にあったのと似ている(⇒:【聖武と行基集団】(7) トップ画像)。

 

 

 

 

 「大師堂」↓

 

 

 

 

 

 「行者堂」↓。「役行者」を祀っている。

 

 

 

 

 このまま「行者堂」の奥へ登っていくと「裏行場」になるが、きょうは早く通過して生駒山まで行きたいので、行場は迂回して、いちばん上にある「西の覗き」だけ見学することにする。

 

 行場・西の覗き への分岐点↓。折れてゆくと、いままでの雑木に、コナラ、ネジキ、サカキ、ヒイラギ、カエデ、ダンコウバイなどが加わる。里から抜けて、低山帯に入ったようだ。

 

 

 

 

 おや、ミツバツツジだ。なつかしい。

 

 こころなしか、関東に生えている「トウゴクミツバツツジ」とは少し色がちがう気がする。

 


 

 



 

 マメザクラ?↓




 

 

 

 

 

 

タイムレコード 20230331 [無印は気圧高度]
 「南生駒」駅[111mMAP]810 - 828「宝幢寺」[146mGPS]835  - 840「萩の台」分岐[152mGPS]852 - 941鳴川/「清滝」分岐[200mGPS] - 948「表て行場」分岐[220mGPS] - 955「千光寺」入口[249mGPS]1005 - 1014「行者堂」[265mGPS] - 1032大原山ショートカット分岐[369mGPS]1034 - 1037分岐※[383mGPS]1040 - 1052「西の覗き」[372mGPS]1055 - (2)につづく。