壁の穴 | 大鶴義丹 不思議の毎日

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和風パスタ~久々


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普段、あまり和風パスタって作らないんですが、ふと、昔を思い出して。


小学生の頃です、両親が主催している劇団にいる若い俳優さんたちが、私に新宿や渋谷に、「壁の穴」という、腰が抜けるほどに美味しい「スパゲッティ屋さん」があると教えてくれました。


スパゲッティといえば、ナポリタンかミートソースしか知りません。


だって検索不可能、ネット自体がねーし。親もそんなのは知らないと言う・・・・。


昭和40年から50年あたりの子供はそんなものです。外食などはまだまだ高級な時代で、子供が自由に望める訳もありません。


ファミレスもねー・・・。「牛丼一筋80年~」というコマーシャルで、やっと吉野家がメジャーになったくらいか。


話はもどり、「壁の穴」なる夢のエリアで、和風パスタがある聞き、私は居ても立ってもいられずに、当時から好きだった「料理」を駆使して、彼らからの聞きかじりのデータで、「壁の穴」の看板メニューである「納豆パスタ」を作ってみました。


そして若い俳優たちから聞いた「壁の穴」の秘密とは・・・、パスタに昆布茶を絡ませるということでした。


簡単な構成です。スパゲッティ、納豆、大根おろし、黄卵、醤油、昆布茶。それをまぜまぜするだけ。


これが子供には筆舌に尽くせないほどに美味く感じました・・・。


その後、ずんずんといい加減な大人となり、色々な食を知った後に「壁の穴」を訪れ、初めて食べた元祖の味とは・・・


もちろん、「壁の穴」は美味しかったのです。しかし、何故か意外と感動が薄かったんです。どうしてだろう・・・と戸惑いました。


自分で頑張って作ったモノの、「記憶の味」が勝っていたのかも??。


しかし、子供が作ったものが老舗のお店に勝っている訳はありません。


人間の「記憶」とはきっとそんなものなのでしょう。「感動」というものもそういうものなのでしょう。


そんな思い出があり、たまに、亜流とは分かりつつも、ダシ醤油が味のベースの、「和風パスタ」を作ってしまいます。


☆パスタを茹でて、最後の30秒くらいにシイタケを投入。

☆パスタとシイタケに昆布茶パウダーを振り、少量オリーブオイルで馴染ませる。

☆納豆、しっかり絞った大根おろし、茹でオクラ、大葉。

☆ダシ醤油と黒コショウと洋カラシ

☆食べる前にまぜまぜ~


まあ、和風ジャンクで、そんなに美味しいものでもないのですが、なんか私にとっては昭和の味なんですよね・・・・


では平成の味とは・・・


それは23歳のときに初めて食べた・・・・牛肉カルパッチョです。生肉とルーコラとパルメジャーノチーズ、そこにバージンオリーブを振りかける。


この組み合わせは・・・昭和にはありませんでした・・・。


肉刺は分かるとして、まず、ルーコラの辛味自体が、日本的な想像の外側にありました。ほうれん草とは違います。


そこに襲い掛かる生オリーブオイル独特の風味とパルメジャーノの隠微な香り。


昭和はどこかに行ってしまい、平成の幕開けだなあ~と、一人感慨深く、六本木の街の明かりを見下ろした記憶があります(苦笑)。


着ていたシャツはワイズメン・オム(涙)かな


来月に入稿する「集英社・月刊すばる」の原稿・・・もうちょっとです。


「最後の劇団員」という、異世界に触れてしまった脚本家の結末。


すばる新人賞のメンバーとして、久々の「月刊・すばる」での復活です・・・


私の「筆」は「納豆スパゲッティ」を超えるか否か。