スワンナプーム空港暇つぶし
久し振りのヨーロッパ旅行を計画した私たち。
羽田空港近くのホテルに前泊し、きょうから旅が始まるというその早朝、
予約していたミュンヘン行直行便が突然キャンセルとなりました。
ルフトハンザから提案された代替え案を受け入れて
何とか旅をスタートさせたのでした。
2024年9月6日(金)
15:30から夜中までの出来事
ルフトハンザからの飛行機直前キャンセル後の代替え案は一回乗り継ぎでのミュンヘン行。
その乗り継ぎのために降りるのがバンコクのスワンナプーム国際空港です。
だいぶ近づいてきました。
タイは熱帯モンスーン気候帯。
北回帰線と赤道の間にある国です。
窓から見える景色からは水蒸気をたっぷり含んだねっとりした空気を感じました。
🧳
15:30
ほぼ定刻通りスワンナプーム国際空港到着
到着時 飛行機の窓から。
日本ではあまり見かけない国の飛行機が見えました。
たしかこの国への日本からの直行便はなかったような。。。
その奥にも最近ニュース面を賑わわせているあの国の飛行機の姿が。
中東地域の飛行機の離発着が日本に比べて多そうな印象の空港です。
タイは日本と同じアジア地域だけれど、似ているという感じよりも、
異郷の地に来たぞ、という感覚の方が強かったのをおぼえています。
春に訪れた台湾の時とはずいぶん違った印象。
飛行機から出て空港内に入りました。
スケール感のある建屋内です
帰国してから調べたところによると
スワンナプーム国際空港の開港は2006年。
世界最大規模を誇る(成田空港の約3倍)ハブ空港です。
タイ王国の首都バンコク中心部から約30キロ離れた郊外にあります。
素敵な響きの「スワンナプーム」とはサンスクリット語で「黄金の土地}という意味だそうです。
🧳
私は特に海外を旅する時は、
立ち寄る空港や訪問する地域についてわりとよく調べて臨むタイプです。
言語に自信がないという気持ちが余計にそうさせるのだと思います。
しかし。
このたびは不測の事態で立ち寄ることになったスワンナプーム国際空港です。
私は今までタイを訪問したことはありません。
同行の夫は遥かに以前、15年以上前に出張でちょっと立ち寄った程度。
ということで、この空港に関して二人とも無知。
なんの予備知識もなくノウハウも持っていない、もちろんタイ語も話せない、という
いわば丸腰で臨むことになったわけです(チョット大げさ⁈)
でもね!
時間だけはたっぷりある!!
私たちの武器はそれだけWW
そしてもう一つ。予備知識のない分、素直な気持ちで見たり聞いたりできる。
これはこれで楽しみ♪
もう、こうなったらいくらでも迷いに迷ってやる~~
🧳 🧳 🧳
というワケで、きょうは
急に体験することになった長ーい乗り継ぎ時間をどう過ごしたのかを綴ります。
〈時間のつぶし方その1ー外に出てみる〉
到着したらまずどこへ行ったらいいんだろう・・・?
手順としては「Transfer」もしくは「Connecting Flight」
つまり「乗り継ぎ」の看板の方向へと進む、なのですが。。
でもその指示通りに進むとセキュリティチェック(手荷物検査)を経て
次の搭乗口へと向かってしまいます。
そしたら私たちは8時間近くもの長い間
搭乗ゲートの待合スペース及びその近辺のお土産物屋さんなどで
時間をつぶさなくてはならなくなります。
せっかくだから
一回外に出てタイの空気を吸いたいよね!と思いました。
きっと誰もが真っ先に思いつくことなのでしょうけどね。
でも、どうしたらよいのかが分かりません。
とりあえず乗り継ぎゲートに行き係の人に尋ねてみました。
チケットを見せながら
「この後、乗り継ぎなのですが待ち時間がこの通り長いのでいったん外に出たい。
外に出てまた戻ってくることは可能ですか?」
すると、
係の人が私に「歳はいくつだ?18歳か?」と尋ねてきました。
私「NO!6●歳」(心の中でなんて若く見られたのかしら♪とまんざらでもない)
係の人「だったらあちらのゲートに行きなさい」と奥の方を指さします。
指示された方に行けばそこは「シニア専用ゲート」と書いてあり
おまけに70歳以上、とも書いてあります。
なんだわたしは18歳?ではなく80歳か?と聞かれたのか!と少しムッとしましたが
6●歳って言っているのに
「OK!OK!」って言って、70歳以上のシニアゲートを案内するなんて、なんて大雑把。
そしてそのシニアゲートには、何故かたくさんの若い人が列を作っていたのでした。
ますます何だか分かりません。
こちらのゲートで手荷物検査とタイへの入国審査をしました。
ここでも係の人に先ほどと同じ質問をしましたが
大丈夫。再入場(再出国)出来るとのことでした。
つまり
ここでの入国審査を通過したら外に出られそうで、
搭乗時間近くになったら再び出国審査をして搭乗ゲートに向えばよいということです。
もちろんスーツケースの受け取りや再預け入れはありません。
しかしながら
今思い返すと、いったいこのゲートはどこだったのか、うろ覚えです。
乗り換えゲートの中の一か所だったのか、普通に入国ゲートだったのか・・・。
とりあえず第一関門は突破しました。
🧳
とはいえ。。。
いくら8時間近く時間があるといっても
バンコク市内まで出かける勇気はありません。
あらかじめ、乗り継ぎ時間が長いとわかっていたら、
それなりに調べたりしてどこか観光したりしたかも、ですが。
現地にいた時、ちょっとネット検索してみたら
このスワンナプーム空港は郊外にあって
ちょっと足を延ばせば街なか、というふうではないようでした。
電車やタクシーに乗って空港を離れて観光したのはいいけれど
空港へ帰るのが何かしらの事情で遅くなり
乗継便に間に合わなくなったら、、、事態はますます混乱しちゃいます。
ということでチョットだけ外へ。
タイの空気を吸ってみることにしました。
到着フロアから外に出たところ。
送迎の車やタクシー、しかも高級車がズラリ。
そして多くの人でごった返していました。
蒸し暑~い!
やっぱり熱帯モンスーン地域だなあ、と思いつつ
今の日本の夏とさほど変わらないかも、とも思いました。
明らかに日本は熱帯化してる!!ことを実感。
暑いので建屋内に戻ります。
🧳
〈時間のつぶし方その2ー空港内をくまなく散歩する〉
次は、空港内行けるところを端から端まで歩いてみることにしました。
ウォーキングはお得意♪日ごろから鍛えていますもの
こんなところで役に立つとはWW
空港内には大きな像が沢山ありました。
後で調べたところ、これはタイの鬼「ヤック」だそうです。
隣には緑の顔バージョンの鬼もいました。
こちらは人気のスポットらしく
何組もの人がこの像の前で記念写真を撮っていました。
建屋の端っこの窓から見えた端正に整えられた庭園
お土産物屋さんや免税店を覗いたり
空港内ぐるっと一周するだけで結構な観光気分が味わえました。
🧳
〈時間のつぶし方その3ー現地の言葉を覚えてみる〉
建屋内をブラブラ歩きながら、せっかくだから「タイ語を覚えよう」、ということになりました。
スマホの翻訳アプリを立ち上げます。
『こんにちは』は「サワデー」
『ありがとう』は「カクーン」
イントネーションが難しく、なかなかお手本通りにできません。
「カクーン」は膝カックンで覚えよう!
なんてしょうもないこと言いながら彷徨い歩いていると
フロアの奥まった一角に警備員に守られた白いサロンみたいなところを見つけました。
「Buddhist and Monk personal Office」
とあります。
仏教徒と僧侶のための会館みたいな意味でしょうか?
さすがタイ。
タイは仏教国です。
調べたところ国民の95%が仏教徒(小乗仏教)だそうです。
さらにそのPersonal officeの斜め前あたりのベンチを見ると何やら人だかり。
推察するところタイの立派なお坊さんに人々が祝福を受けているという場面でしょうか。
思わず後ろから私たちも手を合わせてみました。
と、その時。
「あなたたちは本当にラッキーで幸せです」
突然背後から日本語がふってきました。
びっくりして振り返れば笑顔の女の人。でもどう見ても日本人ではなさそう。
そしてその横では可愛らしい小さな女の子が真っ黒いつぶらな瞳でこちらを見ています。
「サワデー!」
私たちは習いたてのタイ語で話しかけてみました。
そしたらその子も「サワデー!」と返してくれるではありませんか!
通じたぞー!子どもには通じるんだ、こんなへんてこりんなタイ語でも。
この女性の日本語が流暢なことに感心し、日本に住んでいたのかお聞きしましたが
多くはお話いただけませんでした。
彼女はお坊さんの前に集まっていた人たちに何かを話しに行きました。
と、次の瞬間、私たちはそこにいた人たちにワッと取り囲まれたのです。
口々に何か言っているのですが全く分かりません。
そのうちあの高名そうなお坊さんが一緒に写真を撮ろう、と誘ってくださったのです。
なんといつの間にやらそのお坊さんは夫と肩を組んでいます。
私が脇に並ぼうとしたら、それはダメ!と皆から一斉に指導されました。
私たちに声を掛けてきた女の人の説明によれば、
女性は僧侶と距離を置いて接しなければならない、という掟があるのだそうです。
ちょっと悲しい気持ちになりましたが
郷に入れば郷に従え、なのでそれ以上は気にしないことにしました。
私は通りすがりの旅人です。
よく流れが分からないままに
大盛り上がりの輪の中にひとしきりお邪魔をしてそろそろおいとまを・・・。
あの女の子に「カクーン」と声を掛けると
その子はニコニコして「〇△✕□」と言っていましたが、それは分からなかったので
とりあえず「バイバイ」と。
女の子も「バイバイ」。これは世界共通ね
初めに声を掛けてくださった女性に
「ありがとう。またどこかでお会いしましょう」
と、ごあいさつしてその場を後にしました。
🧳
〈時間のつぶし方その4ー現地の食べ物を食してみる〉
また空港内をブラブラ散歩。
この空港には1階にフードコート、3階にレストラン街がありました。
レストラン街のそれぞれお店の前にはメニューの写真や値段があってわかりやすい。
牛丼セット470バーツ、黒豚丼セット460バーツ。
1バーツ4.4円換算でそれぞれ2,060円、2,024円。
空港価格でしょうか。なかなかいいお値段。
お寿司屋さん?
刺身の豪華な盛り合わせは850バーツ。
1バーツ4.4円換算で約3,740円。
高いとみるのか割安とみるのかよくわかりません。
このような日本食のお店もありましたが
当然、タイ料理のお店もズラリと並んでいます。
今、時刻は現地時間で19:00くらい。
(タイとの時差は2時間。日本の方が進んでいます)
せっかくだからタイの食べ物を何か食べよう、となりました。
飛行機に乗れば間もなく機内食なので
お腹いっぱいにならないように一人前を二人でシェアすることにします。
料理の名前は忘れました。
ご飯に右下のそぼろ肉を絡めて食べるものみたいでした。
粘り気のないタイ米と結構なピリ辛そぼろ肉の相性が抜群で
これはとっても美味しかった!
あとデザートに少し付いていたパイナップル(写真左下)も美味!
右上のサラダは上に乗っていた細長い葉っぱの香りがわたしは無理でした。
夫は美味しい、と言って完食。
324.5バーツ。日本円換算で1,426円でした。
カード支払いが出来るのでバーツを現金で用意していない私たちでもOKです。
便利な世の中になりましたが、
お店に入る前にカード支払いの是非は確認しました。これ重要。
うっかり現金オンリーのお店に入ってしまい食事の後で、
カードはNoです、なんて言われたら食い逃げになっちゃうW
🧳
〈時間のつぶし方その5ー
同じように時間つぶしているらしい人と喋ってみる〉
時刻は20::30過ぎ。
もう空港内はだいたい歩いてしまったので
いよいよ観念して搭乗ゲート方面に向かうことにしました。
出国審査を通過するとこんなオブジェの前を通ります。
これも大きい。
ヒンドゥー教の天地創造の神話の一場面を表現したものらしいです。
この先のエリアには高級免税店がズラリと並んでいました。
私たちは何も買う予定はないので素通りです。
🧳
搭乗ゲート近くまで行きます。
ベンチで読書でもして残り時間を過ごすつもりです。
夜になりガラーンとしたロビー
チラホラ見かけるのは何となく同じ23:00発ミュンヘン行を待つ人たちに思えます。
小さな子どもを連れた人たちの姿も。
すっかり飽きてしまいご機嫌斜めになってしまった子どもをあやす様子も見て取れます。
タイヘンだなー、と我が事のように思ってしまいました。
🧳
「さて、いよいよミュンヘンね。ドイツ語勉強しなきゃ!」
って、思い出すのはずいぶん前に家族でドイツを旅した時のこと。
列車内のアナウンスの最後に、
「アウフ・ウィダーゼン」というさようならを意味する言葉が添えられていて、
それがどうしても「ウィダーゼリー」と聞こえてしまい、
家族みんなで「ウィダーゼリー、ウイダーインゼリー」と言って楽しんでいました。
それを思い出し、
「アウフ・ウィダーゼリー!」と夫と言い合っていたら
斜め前に座っていた家族連れと思われる4人組(たぶんドイツ人)の
お母さんと思われる女性と目が合いました。
女性はヒマを持て余している風で、きっかけがあったら話をしたそうでした。
試しに「グーテンアーベント」(ドイツ語でこんばんは)と話しかけてみました。
女性はにっこり。
「私たちは3週間ジャパンを旅してきた!」と話しだしました。
私は「私たちはこれから3週間ドイッチュランドを旅する!」と答え、さらに
「あなたたちも飛行機キャンセルか?」と言えば
「そう、羽田からミュンヘンの便だ」と同じ運命だったことが判明しました。
そこからは旅の話で大盛り上がり。
お互い母国語ではない英語でコミュニケーションすることで
かえって分かりやすかったのが面白かった。
(もちろんドイツ人ファミリーの方がお上手でした)
それにしてもこのファミリーの親日ぶりは完璧でした。
お姉ちゃんは「ワンピース」、弟は「鬼滅の刃」、お父さんは「サムライ」の
それぞれTシャツを着て(ユニクロでゲット)、
お母さんは「トトロ」のハンカチや小物を持ち、
お姉ちゃんは原宿で買ったカーゴパンツを穿いていました。
みんな上手に海外旅を楽しんでいるなー♪
気がつけば空港ロビーの床にみんなで車座になり
「オクトーバーフェスト」の乾杯の歌「アインプロージット」を小さな声で合唱するまでに
盛り上がってしまったのでした。
🧳
旅は一期一会。
ミュンヘン近郊に住んでいるというあのご一家と再び会うことは、たぶん無い。
また、真っ黒い目をキラキラさせて「サワデー」と答えてくれたあの娘にも。
けど、
一度知り合った人たちがこの世界のどこかしらに間違いなく存在している
ということを思うと、
ひとり知り合いになるたびに世界がまた一つ身近になったように感じるのでした。
🧳
そうこうするうちに時刻は22:20過ぎ
ゲートはオープンし23:00発ミュンヘン行便への搭乗が始まりました。
やっとだ!
日にちをまたいで9月7日(土)早朝5:20(現地時間)
私たちの当初予定の旅の出発点ミュンヘンの地を
やっと踏むことになるのでした。
🧳 🧳 🧳
無くなってしまった1日。
予定した旅のスケジュールにはいつ追いつくことが出来るのでしょうか。。。
飛行機直前キャンセルの余波はまだまだ続くのでした。
その様子は次回に。
ご訪問ありがとうございました。 えみな