よくTVの対談・インタビューで
『では最後にお聞きします、あなたにとって○○とは?』
という質問をして締めくくる、そんな場面を観ることがありますが、この質問が究極の質問であるが如く、必ず最後、得意げに問いかけるんですよね。
答える側にとっては、おそらく一言で片付けられるほど簡単なものじゃなかったり、あるいは一言で言える領域に達してしまっていることもあるでしょうけど、いずれにしても答えを聞く側がそれを理解できるとは思えない。
なんか短慮だなと。。。
ボクは毎回これを質問の最後に聞くたび、またかよ!って思います。
ということではないんですが、じゃあ、あなたにとってベースとは?
と問われたら、何と答えますか?
ベースはバンドの中でどんな役割があるのか。
どんな心構えで弾けばいいのか。
そういう素朴な思いは今もなお、ずっと持ち続けています。
若い頃は考えたこともありませんでしたが、歳と共にだんだん自分なりの答えが見えてくるものなんですね。
よく、その手の専門誌なんかでも、同じようにドラムの役割は?ベースの役目は?
みたいなことで問われる場面を見ますが、その答えとしてリズムのキープだったり、リズムを引っ張るだの、わかったようでサッパリわからない回答をされる場合が多いですよね。
そもそもリズムキープと言っても、テンポはドラムやベースにあるのではなく、全員が持つべきものです。
どんな楽器であれ、例えボーカルであってもテンポは共有されるものです。
ですのでリズムを引っ張るというのもおかしな理屈だと思うのですが。。。
ドラムとベースは『リズム隊』と言われる点から言えば同じような立場にあるわけですが、確かに役目を共有する部分はあると思います。
しかしベースはドラムにない『音階』も使えて、楽曲の旋律の中に入り込むことができるんです。
そこがベースの役割として重要なところだと考えています。
だから何!?
というところですが
あなたにとってベースとは?、と聞かれれば、
ボクは
『ナビゲーション』だと答えますね。
カーナビではあと700mで左折です、とか事前に案内されますが、ベースもまさにそれで、次はサビですよ、またAメロに戻ります、というようなガイドをする役目がベースなんだと思っているんです。
ベースのガイドでボーカリストやリード(メロディ)楽器は『あ、次はサビなんだな』と自然に分かるようにもっていく演奏をすることがベースの役目だと、ボクはそう信じています。
歌い手やギターのようなメロディ楽器は最初から最後まで演奏し続けている訳ではありません。
最初から最後まで演奏し続けているのは基本的にベースやドラムです。
その中で唯一、ベースが次はこれだという指図を担っているわけです。
ドラムもそうだと思われるかも知れませんが、ドラムはリズムやアクション的にきっかけを作ることができても、ベースのようにコード進行、フレーズを駆使して確実に次へガイドすることまでは出来ません。
ベースは、メロディ楽器が尺を意識しなくても自然に次の展開に移っていける、そういうフレーズを弾かなくてはいけないと思っているんです。
このコード進行でこのフレーズだったら全員自然にサビへ展開していく、というガイドができるのはベースだと思います。
ですので、ボーカルが歌いやすいよう、そしてメロディ楽器は自然に演奏できるよう、ベースは考えて弾かなくてはいけない、難しい仕事だと思っています。
ベースはそうやって次へ展開するキッカケを作ることもありますが、全体として曲中のどのコードの展開もスムーズに行くようにフレーズを繋げていかなくてはいけません。
そういう意味でガイドしていくわけですから、当然ですがベースは間違えてはいけないですよね。
他の楽器が間違えるのとは意味が違います。
『尺』を把握して展開をリードしていくことがベースの使命だと、ボクは理解しています。
なのでベースの上手い下手はそういうところなんだとボクは考えていて、闇雲にテクニックを披露するだけだったり、何も考えずただコードを弾いているだけだったりするのは自分の考えるベースとは少し違います。
それよりも例え地味であっても要所要所をおさえ、きっちりガイドされるベーシストは素晴らしいと思えます。
そういう一見目立たない存在のようでいて、実はバンド全体をスムーズに流している、そんなベーシストに憧れていますし、そうなりたいと思いながら今はベースを弾いています。