プラタナス 夜もみどりなる 夏は来ぬ
―石田波郷
暦では“蚕起きて桑を食う”「小満」初候を迎えましたが、
紅花咲き、麦実るような爽やかな週末はいかがお過ごしですか?
「小満」とは「陽の気が高調し、万物がほぼ満ち足りてくる頃・・・」で、
そう言われれば、この時季の“青嵐”の暴れっぷりは、
まさに“陽”の極致ですが、
今日は穏やかな夏日の日中で、“万物満ち足りた”一日でしたね。
“衣替え”で一日を終えた由美ママは家族で近所の『トラットリア・イタリア』 http://www.trattoria-italia.com/
『トラットリア・イタリア』目黒店 テラス席
さて、掲句は、「小満」の時季にはやや遅いものの、
この句は、波郷が近代俳句発祥の地とも云うべき松山から上京した頃に詠まれたもので、
田舎から出てきた青年にとっての都会の夜は、
驚くほど明るかったに違いなく、
おそらく、「プラタナス」かどうかさえ見分けもつかないまま、
「夜も」の“も”に、軽い驚きと感動を含ませて詠んでいます。
そして銀座の店のネオンの灯りや、
街灯に照らし出された街路樹の「プラタナス」の“みどり”が、
さぞ新鮮に思えたのでしょうが、
「夜もみどりなる」・・・とは、
街灯に照らし出された瑞々しい“新緑のプラタナス”に焦点を当てて、
都会の夏の訪れを捉え、
また、「夏は来ぬ」と、その表現の中に“夏の訪れ”を詠み込むことによって、
我が青春もまたかくの如し、と青春を抒情した一句ですね。http://www.01.246.ne.jp/~yo-fuse/bungaku/hakyou/hakyou.html
今日はそんな波郷の若き日に想いを馳せて、
亡きみどりさん誕生日(5月21日)http://ameblo.jp/ginzayumimama/entry-10338148726.html
(2009年9月8日号)を思い出していた由美ママですが、
銀座にお出かけの折には、是非、
並木通りの“夜もみどりなる”「プラタナス」の風雅を愉しんで下さい。
木の精が ゐそうな樟の 若葉かな
―塚原 游子
それでは、“樟の若葉”が、湧き上がるように“きみどり”に輝き、
見渡す限り、すべて“みどり”一色の「小満」となりましたから、
明日も「万緑」の目に沁み入るような美しさを愉しめる・・・・
そんなよき休日をお過ごし下さい。