君がさやけき 瞳の色も 君紅の 唇も 君が緑の 黒髪も またいつか見ん この別れ
―島崎藤村
―島崎藤村
みどりちゃん・・・
昨日、夕刻にあなたのお母さんより、6日の夜の10時にあなたが亡くなったことを聞き、一人部屋に
戻ってから、そっと手を合わせお線香をあげました・・・
昨日、夕刻にあなたのお母さんより、6日の夜の10時にあなたが亡くなったことを聞き、一人部屋に
戻ってから、そっと手を合わせお線香をあげました・・・
こうしている今でも『由美』で、あなたとともに過ごした幾年もの日々が思い出され、涙が止まりません
が、最後の半年は、あなたが嫌がるので、会いに行けなかったことが唯一悔やまれます・・・
が、最後の半年は、あなたが嫌がるので、会いに行けなかったことが唯一悔やまれます・・・
みどりちゃん・・・せめて、もう一度だけ、あなたを『由美』に戻らせてあげたかった・・・
そしてあなたに、腕を通してない新調の“単”の着物を着せて、ヘネシーの水割りを片手に
カラオケで、あなたの十八番、尾崎 豊の「I LOVE YOU」を唄わせてあげたかった・・・
あなたは、最後まで、作ったばかりのあの着物のことを気にしていましたね・・・
そしてあなたに、腕を通してない新調の“単”の着物を着せて、ヘネシーの水割りを片手に
カラオケで、あなたの十八番、尾崎 豊の「I LOVE YOU」を唄わせてあげたかった・・・
あなたは、最後まで、作ったばかりのあの着物のことを気にしていましたね・・・
みどりちゃん・・・いいえ、ここでは通称だった「みどりんこ」と呼ばせていただきます・・・
本当は「みどりんこ」に、年上の私が先にお別れの言葉など言いたくありませんし、
今日も夕方には『由美』のドアを開けて、「ママ、おはよう・・・」っと言いながら、出勤してくる
ように思えて、いまだにあなたが亡くなったことが信じられませんが、
できることなら、もう一度、あなたのその優しい笑顔を見せてほしかったです・・・
「みどりんこ」・・・あなたは、明るくいつも屈託の無い笑顔で、陽気な性格に思われていまし
たが、でも、本当のあなたの素顔は、寂しがり屋で、人のことを気にする“気にしい・・・”で、
夜中にひとり落ち込みながらも、いつも無理に明るく振舞っていたのを私は知っていました・・・
そして、そんなあなたの内面を知るたびに、いじらしさに身が震えていたのを憶えています・・・
本当は「みどりんこ」に、年上の私が先にお別れの言葉など言いたくありませんし、
今日も夕方には『由美』のドアを開けて、「ママ、おはよう・・・」っと言いながら、出勤してくる
ように思えて、いまだにあなたが亡くなったことが信じられませんが、
できることなら、もう一度、あなたのその優しい笑顔を見せてほしかったです・・・
「みどりんこ」・・・あなたは、明るくいつも屈託の無い笑顔で、陽気な性格に思われていまし
たが、でも、本当のあなたの素顔は、寂しがり屋で、人のことを気にする“気にしい・・・”で、
夜中にひとり落ち込みながらも、いつも無理に明るく振舞っていたのを私は知っていました・・・
そして、そんなあなたの内面を知るたびに、いじらしさに身が震えていたのを憶えています・・・
「みどりんこ」・・・あなたは、人の言うことを聞かないうえ、思い込みが激しい頑固な一面も
ありましたが、でも、他の誰よりも『由美』が大好きで、他の誰よりもお客様のことを気にする
優しい子で、
いつも、お客様のわがままや、愚痴をまともに聞いてしまい、その一挙一動に振り回されて
いましたね・・・
ありましたが、でも、他の誰よりも『由美』が大好きで、他の誰よりもお客様のことを気にする
優しい子で、
いつも、お客様のわがままや、愚痴をまともに聞いてしまい、その一挙一動に振り回されて
いましたね・・・
「みどりんこ」・・・憶えてますか?
あなたとの出会いは、今から14年前・・・
お互いにまだ若かった24歳の10月で、翌日から勤める店が決まっていながら、紹介してくれた
スカウトマンに『私、ここで働きたい・・・』と、ひと目で『由美』を気に入ってくれたことを、今でも
忘れません・・・
それから、私たちキリンズの一員となり、あなたとの銀座生活が始まりましたが、毎日、夜中ま
で飲み歩くあなたの生活ぶりには、ずいぶんと心配させられましたが、酔っ払って転んで、二日
酔いになりながらも、一日も休みことなく、いつも笑顔を振りまいてくれましたね・・・
ただ、あなたの部屋が泥棒に入られ、たった一日だけお店を休んでことには、心を痛めましたが、
あなたの無事が何よりでした・・・
その後、あなたは防犯から高輪警察署前に引越し、3年前に白金台に引越した私が、毎日
杉さんと自宅まで送るのが日課となりましたが、昨夜もあなたが住んでいたマンションの前を通り、
二人であなたが、いつまでも手を振っている姿を思い浮かべました・・・
でも、そんな可愛い「みどりんこ」に、千葉出身のヤンキーファッションや、茶色に染めた髪型を
うるさく注意したり、また、あなたが最初にくれた鉛筆書きの丸文字で書かれた手紙を、あまり
の幼さに呆れてしまってごめんなさい・・・
少女からそのまま大人になったあなたにとっては精一杯でしたのに、その気持ちも分からずに、
傷つけてしまったこと許して下さい・・・
それに「みどりんこ」と私の好みはまったく逆のことが多く、よくあなたには、「塩のかけすぎ!」と、
体を気遣い注意していましたが、不健康なあなたの好みは、いつも塩分が多すぎて、出された
料理にさらに”塩”をかけていたのを、いちいちチェックしてごめんなさい・・・
なぜなら、私は腎臓が悪いことから塩分制限を強いられていて、余計に気になっていました・・・
そして、「みどりんこ」・・・あなたの食事は、いつも小鳥のように食が細く、オヤジの酒のつまみ系
“肴系女子”で、対する私は、今も体育会バリバリの健啖の肉食獣で、
さらに、飲み物の好みも、「みどりんこ」は焼酎が好きで、私は臭い・・・からと一切飲まず、また
ブランデーは薄い水割りが好きで、私はいつもブランデーグラスにストレート!
「みどりんこ」は、日本酒は酔う・・・と言って飲まなかったけど、私は大のお米と葡萄酒好き女で、
何もかも正反対でしたね・・・
でも、そんな、干支がひと回りも上で、しかも腎臓が悪い私が元気で、若いあなたが先にいなく
なってしまうなんて、悔しくて悲しくて、本当に残念でなりませんが、でも去年の春、あなたに桜を
観せてあげたくて、京都へ出かけたことが最高の思い出で、「みどりんこ」は、今もあの綺麗な桜
の花のように、永遠に私の心の中で、咲いたままの姿で残っていますよ・・・
最後になりましたが、「みどりんこ」・・・私は本当にあなたに感謝しています。
いつもそばにいて、キリンズの一員として『由美』を支えてくれ、その笑顔にどんなに癒されたことか・・・
また、私生活でも私のことを人一倍慕ってくれ、本当に姉のように想ってくれていましたね・・・
ただ、最後にあなたに十分なことができなかったことが悔やまれますが、どうかもう苦しまないで安らか
に眠って下さい・・・
そして、私をはじめ『由美』の仲間や、お客様は、みんな「みどりんこ」が大好きだったことを、どうか
憶えていて下さい。
そして、私が行くまで天国で、先に『クラブ由美』を開いて待っていて下さいね・・・
亡くなったお客様方を、迎えてあげてください・・・
さようなら「みどりんこ」、決してあなたを忘れません・・・
本当にありがとう・・・
2009年9月8日・・・【みどりんこへのレクイエム】
伊藤由美