牙をみて 怖れるような 鱧捌き
―由美麒麟
5月31日の由美ママブログに“魚偏に豊・・・”と「鱧」の話を書きましたが、 http://ameblo.jp/ginzayumimama/day-20090531.html
“鱧の歯”は上顎の真ん中に生えてるのをご存知ですか?
由美ママは贔屓の寿司や「銀座なら本」http://ameblo.jp/ginzayumimama/day-20090521.html
(5月21日登場)にて、“鱧斬り”を見せてもらいました。
「鱧」は、姿は鰻や穴子に似ていますが、鮫の歯のように鋭い歯を持つ獰猛かつ強靭な魚(っていうよりウツボ?)で、その“牙”に噛みつかれたら、最後・・・離せません。
その昔、新鮮な魚が手に入りにくかった京の都では、「鱧」は、この生命力の強さから珍重されました。
しかし、“牙”がするどく骨が多くて硬いため、そのままでは煮ても焼いても食べられません・・・
それゆえに、「鱧」を美味しく食べる料理技術が発達しました 。
包丁を使う上で「最高の技量を要する」と言われる“鱧斬り”は・・・
先ず、水槽から「鱧」を揚げて絞める・・・この首の骨を切る作業ほど、怖ろしい瞬間はありません・・・
絞めた後は、「鱧」のぬめりと背鰭を取り除き、お腹から開きます 。
次に、頭と一緒に中心の太い骨を取り除きますが、それでもまだ太くて頑丈な小骨が沢山残るため、小骨を“鱧の骨切り”包丁で、皮一枚を残し、丁寧に細かく細かく切っていきます。
ちなみに“鱧の骨切り(斬り?)”は、いかに細かく形を崩さず、きれいに包丁を入れるか・・・というのが板前の腕の見せどころで、名人は、1寸(3.3cm)に28回包丁を入れる・・・と云われる熟練の技を要します。
また「鱧」は、鮮度が落ちると棒の様に真直ぐ堅くなるため、活きたままの“活け鱧”は、樽の中で“つの字”の形のまま運ばれてくるので、“つ之字の鱧”と呼ばれる瀬戸内からの「鱧」が最高級とされています。
「鱧」に合う日本酒は由美ママ贔屓の“麒麟山”http://www.dbn3.net/kirinzan/default.asp
こうして残酷?かつ丁寧に“斬った” 「鱧」ですが、料理は“鱧落とし(湯引き)”の他、
白焼き・タレ焼き・鱧椀物・鱧ざく(胡瓜との酢のもの)・鱧まむし(タレ焼き鱧を混ぜ込んだごはん)・鱧と松茸の土瓶蒸し・・・など様々な一品として食されますが、関西の鱧料理店では、
鱧の浮き袋の煮こごり・鱧の子の塩辛・鱧の皮の“酒盗”などの珍味もあるようですから、これから夏に向って
これらの“鱧の珍味”を試されてみてはいかがですか?
白身盛り合わせと数の子
由美ママはやはり“まぐろ三昧”
白身握りと赤貝は“ひも”とセットで・・・
ザック、ザクザク、ザクリ、ザクリ・・・と、“鱧の骨切り”の小気味よい音が、板場から聴こえてくると、暑気をもいっしょに断ち切るような涼しさに誘われますが、この音が響きわたるようになると、いよいよ本格的な夏となり、梅雨明けの眩しい光が待ち遠しくなります。
そんな“鱧斬り”の清々しい音を聴きながら“鱧料理”を食し、梅雨の蒸し暑さを忘れ、“涼味満天”な爽やかさが愉しめるようなよき一日をお迎え下さい。 http://www.naramoto.com/