そろそろ | 銀座きものギャラリー泰三

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一度は袖を通したい着物がここにあります。きもの創作工房 (株)染の聚楽

西陣で業歴80年ほどの老舗の織屋が倒産しました。


立派な西陣の町屋も保有しており、同業車は悠々自適な経営をしているとみんな思っていたらしく、一様に驚いているようです。


主力の販売先がNCで、その売り上げは近年激減し、最盛期の10分の1ということでしたし、実は借入金が相当に多かったということでした。


今のままでは一生借金は返せないだろうし、
子息は家業を継いでいなかったし、経営者の年齢も75才ということでしたから、まあいわば自殺にも近い倒産ですかね。


西陣だけではありませんが、織物業者は糸代の値上げが相当な負担増になっていますし、それ以外の材料などの値上がりも半端ではなく、アベノミクスで苦しむ職種の一つとなっています。


借り入れの多いところは辞められないということですが、今のキモノ業界の市況から考えるそ、同じような自殺的な破産ということは十二分に考えられます。


頑張れば先に光が見え、借金も返せるというのならまだしも、息子がいれば別ですが、倒産はしなくても辞めようと思う人が多いのは事実です。


実は水面下では廃業は続いていますし、特徴ある織物が次々姿を消して行っているのは本当です。


だから取引している問屋などがもう織れないということで残ったものを買い上げているようです。


それが次々とあるとのことでした。


致し方ない現実です。後継者のないところでそこそこ経営者が高齢で、借金が少なく、市況も芳しくないと来れば当然でしょう。


これは実は作り手だけではなく、売り手でも同じことです。

小規模ながら真面目にコツコツやってこられたところほど、続かないで辞めて行きます。


京都風の商いで言えば続きそうですが、お菓子や漬物のように後に残らないモノとキモノや帯のように50年も使えるものとの違いです。


後に残れば強いというのは、ことキモノ業界の完成品メーカーや小売店では期待できません。


そうした環境下で、後継の職人をいかにして育てるのか、正に待ったなしの状況と言えます。


作ること、商うことの好きな人はまだまだたくさんいても、肝心の職人さんがいなくなれば、良い物を作りたい売りたいということも不可能になります。


私も好きだから続けてきましたが、この問題に関しては自助努力を超えたものがあり、まさに心を一つにして、鳩首を寄せ合って考えるべき重大事です。


ただ残念ながらいまだに大手問屋などにそうした思想が無いようで、流通が絡まないと後継者育成は不可能だけに、本当に心配です。


私がずっとずっと言い続けて来たことが、現実のこととして起こっていますので、急がないと間に合いません。


如何にすれば高級な技を護れるか、ご意見あればお寄せください。