銀座みやこクリニック院長の濱元誠栄です
2000年以前は、HER2陽性乳がんはホルモン陽性乳がんよりも増殖が速く、予後が悪い乳がんだと言われていました
しかし、2001年(私が医者になった年)に抗HER2薬であるハーセプチンが登場して、流れが変わります
HER2陽性乳がんは、増殖が速くてタチが悪い、けど抗HER2薬がよく効くという認識に変わっていきました
そんなHER2陽性乳がんの治療について、2年前のブログでまとめています
今回、改めて、まとめてみます
二次治療で、カドサイラとエンハーツのどちらを使うのが良いのかという議論があって、効果は明らかにエンハーツの方が上でした
圧倒的な差がありますよね、、、
ただ、二次治療でエンハーツを用いると後がなくなるのに対して、カドサイラを使用すれば、三次治療でエンハーツが使えます
エンハーツの後にカドサイラもイケるんじゃ?という意見もありますが、エンハーツ後のカドサイラは効果が期待できないっぽいです
なので、
①二次治療で効果の高いエンハーツを使い、効かなくなったら終了
②二次治療は効果は劣るが副作用が弱いカドサイラを使って時間を稼ぎ、三次治療にエンハーツを持ってくる
かどちらかになります
現在、承認されている抗HER2薬は
・ハーセプチン(点滴)
・パージェタ(点滴)
・フェスゴ(皮下注)
*ハーセプチン+パージェタ
・タイケルブ(内服)
・カドサイラ(点滴)
・エンハーツ(点滴)
となっています
タイケルブは、2009年に承認された、ハーセプチンが無効になった後に使う(唯一の)内服薬ですが、カドサイラやエンハーツなどの強力な薬剤が登場後はほとんど使用されることはありません
ちなみに、タイケルブはゼローダやアロマターゼ阻害薬との併用が必須です
フェスゴ皮下注については過去ブログを参照に
その他に注目されている抗HER2薬に、ツカチニブ(内服)があります
ツカチニブは分子量が小さく、脳のバリアを通過しやすいため、脳転移がある症例で特に有効性が高いみたいです
ツカチニブは、アメリカでは2020年に承認されていますが、日本ではまだ臨床試験中です
もう一つのネラチニブ(内服)は、カペシタビン(ゼローダ)との併用で、三次治療以降に使えそうです
新しい抗HER2薬以外にもトピックスがあり
ハーセプチンに抗がん剤を併用しなくても、ホルモン治療の併用でも効果は変わらないんじゃないかという研究が進んでいます
もし、これが叶ったら、より副作用の少ない治療ができることになります
あとは、免疫チェックポイント阻害薬かなぁ
でも、乳がんで免疫チェックポイント阻害薬はあまり良い成績を出していないので、相性はよくないかもしれません
★「銀座みやこクリニック」では、がんの専門家がじっくり答えるセカンド・オピニオンを受け付けております★
お申込みはお電話かお問い合わせフォームから