銀座みやこクリニック院長の濱元誠栄です

 

 

 

こちらの続きです

 

がん免疫療法が効く確率を上げる方法がない訳ではありません

 

まだ確立されたものではありませんが、オプジーボやキイトルーダなどの免疫チェックポイント阻害薬では、腸内細菌が効果に影響するということが分かっています

 

間違いなく、がん免疫療法も同じで、腸内細菌による影響があると思います

 

 

ちなみに、腸内細菌について主治医に話しても

腸内細菌?何を馬鹿なこと言ってんだ

くらいの返答をされると思います

 

医学部時代に習っていないのもあるし、特に抗がん剤至上主義の場合には、抗がん剤の成分以外の要素を受け入れられないという感じがします

残念なようなかかわいそうな…

 

がん免疫×腸内細菌のエビデンスが完全に確立されるのは、おそらく5‐10年後なので、付いてこれない医師は放っておいて患者自身で考えていくしかないですね

 

 

免疫療法の効果を上げる方法の前に、下げるものについてお話します

 

免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の効果を下げるものとして、これまでに分かっているもの

 

①抗生剤

 

こんな臨床研究があります

・ICI治療前の30日以内に抗生剤投与

・ICI治療中に抗生剤投与

・ICI治療前~中の抗生剤投与なし

を比べてみると

治療前に抗生剤を投与された患者だけ、他2つと比べて無効だった割合が高く、生存期間が短かった

というのです

 

同様な報告はいくつもあり、

こちらは774例という大きな集団で比較した臨床試験です


 

免疫細胞の70%は腸内に存在すると言われ、その維持に腸内細菌が関わっています

 

抗生剤は腸内細菌を殺してしまうので、影響があるのだと考えられています

 

ということは、

がん免疫療法開始前1か月は、抗生剤を使用しない方が良い

もし使用していた場合には、免疫細胞の採取を1か月遅らせる

方が良いのかもしれません

 

 

②胃薬

 

以前ブログで書きました

 

プロトンポンプ阻害薬(PPI)は、漫然と処方されている高齢者が多く、がん免疫療法を始める場合には他中止するか他の胃薬に変更するかした方が良いと思います

 

 

PPIと呼ばれる胃薬の種類

・オメプラール

・オメプラゾン

・タケプロン

・ランソプラゾール

・パリエット

・ラベプラゾール

・ネキシウム

・タケキャブ

 

 

 

③ステロイド

 

抗がん剤治療の際には必ず、アレルギー予防のステロイドを投与します

 

また、喘息持ちのがん患者さんも、ステロイドの吸入を使っています

 

ステロイドは免疫を抑制するので、ステロイドを使用するとがん免疫療法の効果を下げると思われていましたが

 

昨年末に出た最新の研究では、生存期間に影響を与えないという結論が出ました

 

今のところ分かっているのが、肺がんの場合のデータなので他のがんでの影響は不明です

 

ただ、少量だと関係ないようなので、抗がん剤投与の前だけとか、喘息で使用するくらいの量なら気にしなくても良いと思います

 

 

以上、ICIでの臨床データですが

 

がん免疫療法でも同じだと思います

 

免疫細胞を採取する前や免疫細胞を投与する前は、①と②は避けられるものなら避けた方が良さそうです

 

 

 

 

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