2021年4月8日~10日に行われた
第121回の日本外科学会の
アーカイブ配信が始まりました
当日は忙しくて見逃した発表演題を
やっと見ることができます
2週間も間隔が空いてしまったら
何を視聴したかった忘れてしまう…
膵臓のロボット手術について書いて以降
ブログ書くこともできず悶々としてました
外科学会ではありますが、
化学療法についての演題も結構あり
免疫チェックポイント阻害剤の
話題が最近増えてきています
今日はその中でも意外な薬剤との影響
プロトンポンプ阻害剤(PPI)という胃薬で
肺がんの治療効果が落ちるという話です
PPIの弊害として有名なものに
腸内細菌叢の変化
があります
PPIは逆流性食道炎の治療薬で
通常は期間を決めて使われますが
逆流性食道炎が改善した後も
漫然と処方されていることが多いです
口から入る細菌の多くは通常
強力な胃酸で死滅します
PPIが胃酸を強力に抑えることで
様々な細菌が腸内に入り込むため
PPIを長期で投与していると
腸内細菌叢の種類が変化します
腸は免疫と深く関わりがあるため
腸内細菌叢が乱れてしまうと
免疫機能も乱れてしまいます
そうなると、免疫機能が大きく関わる
免疫チェックポイント阻害剤の効果も
変わってくると言われています
今回の演題では
PPIを内服していなかった群と
PPIを内服していた群を比較して
PPIを内服していた群の方が
免疫チェックポイント阻害剤の
明らかに効きが悪かった
という結論でした
今回は肺がんに対する研究でしたが
おそらく他のがん種でも同じでしょう
免疫チェックポイント阻害剤を
使用する予定のある患者さんは
PPIを中止した方が良さそうです