銀座みやこクリニック院長の濱元誠栄です。
前回のブログ
丸山ワクチンとハスミワクチンで
あんなに長くなるとは…
いやホントはもっと書きたいけど
永遠に終わらない気がします
さて
免疫細胞を使わない治療の続きです
③サイトカイン療法
横文字は使わないで欲しい・・・
という声が聞こえてきそうですが
サイトカインに日本語訳はなく
教科書で調べてみると
サイトカインとは、細胞から放出されるたんぱく質の総称である。細胞間の情報を伝達する役割を持つ。
とあります
ますます分からないですよね・・・
例えば、こう言えばどうでしょう
ある細胞から他の細胞に向けて
発せられる指令 (魂の叫び?)
がサイトカインです
エ、ワカリニクイデスカ?
サイトカイン(細胞からの指令)は
・頑張って働いてー
・頑張らなくていいよー
の2種類しかありません
例えば、
IFNγ(インターフェロンガンマ)
と呼ばれるサイトカインは
Th1細胞がNK細胞に対して発する
”頑張れー”という指令のことで
NK細胞はIFNγという声援を受けると
めちゃくちゃ頑張って(=活性化して)
がん細胞を攻撃するようになります
IL-10(インターロイキンテン)
と呼ばれるサイトカインは
Th2細胞がT細胞に対して発する
”頑張らないでー”という指令のことで
T細胞がIL-10の言葉を受けると
がん細胞への攻撃の手を緩めます
昔はIL-2、IL-12、インターフェロンなど
免疫細胞を活性化させるサイトカインを
注射しているクリニックがありましたが
結構強烈な副作用があるため
最近ではあまり行われなくなりました
ただ、細胞を使った免疫療法で
細胞を培養して増やす際には
まだサイトカインが使われています
培養時のサイトカイン上手く取り除けず
培養した免疫療法を点滴する際に
それが原因で高熱などの反応が出る
とかいう噂もあります
特に”活性化”と付く治療とか・・・
④マクロファージ活性化療法
ごくごく限られたクリニックでしか
行われていない治療で
GcMAF(ジーシーマフ)
などと呼ばれています
GcMAFについてはこちらを
マクロファージについては
文字だけでは分かりにくいと思うので
こちらのサイトの絵で理解した方が
分かりやすいと思います
*黒いトゲトゲがバラミロンというやつですが
これをがん細胞に置き換えると分かるかも
⑤BRM療法
BRM(Biological Response Modifier )は
生体反応を起こす物質という意味で
がん治療の場合には
免疫反応を起こす物質を使う治療
のことを言います
結核菌の一部を使って免疫反応を起こす
丸山ワクチンもBRM治療の一つです
抗がん剤や細胞培養技術も未熟だった
1980年代まではよく使われていました
保険適用の薬もありましたが
抗がん剤と比べると効果が劣るため
販売中止となりました
溶連菌をペニシリンで不活化させた
ピシバニール(2021年販売中止)
カワラタケというキノコから抽出した
クレスチン(2017年販売中止)
シイタケから抽出した
レンチナン(2018年販売中止)
薬剤ではないですがBRMには
海藻由来のフコダイン
サメ/クジラの軟骨から抽出した
コンドロイチン
ミツバチ由来のプロポリス
アガリクス
など、免疫アップとしてサプリメントなどを
販売しているクリニックもあります
BRM療法の問題として
動物実験では効果があるのですが
人での成績は(特に単独で)イマイチで
抗がん剤が進んだ現在では
使用される機会が少なくなった
という現実があります
あと、BRM薬は薬価が安過ぎて
メーカー側が儲からないので
新しいエビデンスを作ろうとしない
という事情もあります
免疫細胞を使わない治療の話は
今回で終了です
免疫細胞を使わない治療法は
免疫を活性化せると言っても
免疫力に関する定義が無く
数値化できないというのが
最大のデメリットだと思います
免疫細胞を使った治療では
何億個まで培養しました!
とか分かりやすい指標があります
薬剤で免疫が活性化した!
と言っても
じゃあどれくらい活性化して
どれくらい効果が出るのか?
という問いには答えられません
あと、(特に進行がんの)がん細胞は
免疫から逃れる術を持っているので
自身の免疫力を上げるくらいでは
がんを治せないのかもしれません
それでもたまにハマって
治っちゃう人がいるところも
がん治療の難しいところです
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