こちらの続きです

 

大腸がんの初回化学療法は

これまで出てきた薬剤

 

<抗がん剤>

・5-FU

・ロイコボリン

・イリノテカン

・オキサリプラチン

<分子標的薬>

・アバスチン

・アービタックス

・ベクティビックス

 

これらを組み合わせて

治療を組み立てていきます

 

抗がん剤をベースにして

分子標的薬を組み合わせます

 

具体的には

<KRAS遺伝子正常(野生型)>

・FOLFOX+アバスチン

・CapeOX+アバスチン

・FOLFIRI+アバスチン

・FOLFOXIRI+アバスチン

<KRAS遺伝子異常あり(変異型)>

・FOLFOX+アービタックス/ベクティビックス

・FOLFIRI+アービタックス/ベクティビックス

 

という感じなのですが

KRAS遺伝子の変異がなくても

アービタックス/ベクティビックスが効きにくい

タイプの大腸がんがあります

 

それは

右側の大腸がん

です

 

大腸の中で体の右側にある

盲腸・上行結腸・横行結腸

これらに存在する大腸がんを

右側の大腸がんと言います

 

右側の大腸がんに対しては

アービタックス/ベクティビックスが

なぜか効きにくいのです

 

そのため、右側の大腸がんでは

KRAS遺伝子に異常が無くても

アービタックス/ベクティビックスは

使わないようにとされています

 

あと、右側の大腸がんには

BRAFという遺伝子の異常が多かったり

マイクロサテライト不安定性だったり

左側と比べて予後が悪くなる要因が

多く見つかる傾向にあります

 

ちなみに、

BRAF遺伝子異常があるのは

大腸がん全体の6%くらいですが

BRAF遺伝子異常があった場合には

めちゃくちゃ予後が悪いので

 

もっとも強力な抗がん剤である

FOLFOXIRI+アバスチン

を勧められます

 

BRAF遺伝子に異常がある場合には

KRAS遺伝子に異常が無くても

アービタックス/ベクティビックスは効きません

 

 

ややこしく難しい話になりましたが

大腸がんの化学療法を考える場合は

 

・(K)RAS遺伝子の異常の有無

・BRAF遺伝子の異常の有無

・右側か左側か

 

以上によって治療方法が変わります

 

 

大腸がんの化学療法を行うにあたって

(手術後の再発予防を除く)

主治医からの説明書には

上記の3つのワード

が必ず入っているはずです

 

説明用紙を持っている患者さんは

ぜひ見直してみてください

 

 

このように遺伝子などの異常によって

より効果的な治療を選べる大腸がんは

他のがんより(肺がんを除く)

オーダーメイド治療

が進んでいると言えます

 

 

さて、

実はここまでは2019年までのお話で

2020年から新たな治療法が加わります

その話は次回に