こちらの続きです

 

 

前回アバスチンのお話をしましたが

説明が足りませんでした

 

アバスチン(ベバシヅマブ)は

がんに栄養を届けるための血管を

作れないようにする薬剤です

 

がん細胞を直接攻撃するのではなく

血管を作る成長因子をブロックして

がん細胞を兵糧攻めにします

 

いわゆる抗がん剤ではなく

分子標的(ぶんしひょうてき)薬と

呼ばれる薬剤です

 

過去の朝日新聞の記事に

分かりやすそうな図がありました

 

 

 

抗がん剤と書かれていますが

実際は間違いです

 

 

ちなみに、

アバスチンは大腸がんだけでなく

・乳がん

・肺がん(非小細胞肺がん)

・肝細胞がん

・子宮頸がん

・卵巣がん

・脳腫瘍(悪性神経膠腫)

にも適応となっています

 

 

 

さて、話を戻します

 

アバスチンの次に登場した

アービタックス(セツキシマブ)

ベクティビックス(パニツムマブ)

 

これらは何かというと

 

がん細胞を成長させるスイッチ

EGFR(イージーエフアール)分子を

ブロックする(=切る)薬です

 

アバスチンと同じように

これらも抗がん剤ではなく

分子標的薬と呼ばれます

 

 

FOLFOX+ベクティビックスは

FOLFOX単独の場合より

生存期間が延長しました

 

 

 

ただ、こちらの臨床試験では

結果が逆になりました…

 

この二つ臨床試験の違いは

KRAS(ケーラス)遺伝子に

異常があるかないかです

 

 KRAS野生型=異常なし

 KRAS変異型=異常あり

 

EGFRという分子の薬なのに

なぜKRASの異常によって

差ができるのか…

 

説明が難しいのですが

新横浜かとうクリニックのブログに

非常に分かりやすく書かれています

 

 

他の例えとして

EGFRが増殖のスイッチだとすると

KRASが配線だと考えてみます

 

配線のKRASに異常があると

EGFRのスイッチを切っても

電流が流れ続けてしまいます

つまり、増殖が続いてしまいます

 

その場合は

EGFRのスイッチを切る治療をしても

まったく意味がないことになります

 

 

まとめると

アービタックス

ベクティビックス

KRASに異常がなければ効く

KRASに異常があれば効かない

ということです


遺伝子異常の有無で効果が決まる

初めての大腸がん治療薬なのです