べっ甲とワシントン条約とエコロジー

現在、べっ甲製品はワシントン条約(※1)によってその製品と材料の国際取引が禁止となっております。日本も段階的に輸入量が減り、1993年以降全面輸入禁止となっております。


そのため今日のべっ甲製品は、過去に輸入した材料を少しずつ使い製作されたものです。こうした状況の中、べっ甲職人達はべっ甲亀との共存、自然と日本の伝統文化との共存を目指し、国内各地でべっ甲亀(玳瑁)の産卵・孵化・飼育の調査を進め、絶滅の恐れのあるべっ甲亀を増やす努力を続けております。また、べっ甲業界(※2)では現在、沖縄の石垣島等でべっ甲亀の増養殖の研究も進めております。

 


べっ甲は天然の素材です。プラスチック等の石油製品と違いCO2等の有毒物質も出しません。さらにその基本的な加工で使われるのは「熱」と「水」と「職人さんの汗」のみ!ほとんどの科学物質も使わず、壊れてもまた「熱」と「水」とで修復が可能な上、磨けば輝きも元通り取り戻せます。

さらに、べっ甲亀(タイマイ)(※3)の原産国(※4)のなかには、当時べっ甲材料(甲羅)の確保目的以外にも、その卵や肉を食用としていた地域もあり、言わばべっ甲亀の甲羅は食料確保後に出る副産物ともなっていたとも言われています。

そう言った点からも、江戸時代から続く日本独自のべっ甲製品と加工技術は限りなく「エコ」に近く、自然にも優しい素晴らしい伝統工芸と言えるのではないでしょうか。

銀座かなめ屋のブログ-べっ甲かんざし

 

 

最後に、伝統工芸の分野ではよく耳にするお話しですが、江戸時代から続くべっ甲職人達も次第にその数が減り、次の世代への担い手が危ぶまれております。長い年月を積み重ね、育てられてきたこの素晴らしい技術が、べっ甲亀の材料が底を付くより先に、途絶えなければと切に願います。

 

※1 ワシントン条約(通称)=「絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」
※2 べっ甲業界=「日本べっ甲協会」ならびに東京鼈甲組合連合会
※3 べっ甲亀(べっ甲の材料)=玳瑁(たいまい)亀(爬虫網カメ目ウミガメ科)
※4 原産国=主にカリブ海・インド洋・ジャワ海域の国家に多い。

 


お手持ちのべっ甲製品で、汚れがひどくなった場合や、万が一破損してしまった場合は、当店にて仕上げ磨き、修理加工を承りますのでお気軽にお問合せ下さい。

 

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