獣医ですら引くような症状・・・


正直“おわり”を覚悟した。


生後たったの10か月。

次から次へと命に係わるほどひどい症状を発症し、体力もなくグッタリしている吟。


劇的な回復と治療を願っていた大学病院での診察。


どうも叶いそうにない・・・



前日採取した組織とは別に、病変の酷いところと、内腿のきれいなところの2か所を

追加採取したいと言われた。


これだけ反応があれば、正常組織と異常組織に明らかな違いがでるだろうから、

原因を突き止めるために必要なデータが取れるはずだと・・・



吟を苦しませたくない。

でも、これだけ苦しめた原因を知りたい。

もしわかって、治療ができて、完治できるなら・・・


尽くせる手は尽くしたいと思った。


だから追加採取を了承した。



皮膚病変だけでなく、呼吸器にも相当な異常が出ている。


皮膚の症状を少しでも軽減するため、暴走している“自己免疫”を抑制する必要がある。

でも、呼吸器症状が免疫異常のせいだけでなく、何らかの細菌感染があった場合、

自己免疫を抑制することによって細菌が一気に増殖し、それによって命に危険が及ぶ・・・

そう言うことも考えられる。


今日、今の段階では何もできない。


組織の採取後、傷口からの感染と、現症状の緩和を目的として相当量のステロイドを投与された。


このステロイドに反応してくれて、多少でも回復が認められたらすぐに呼吸器の検査に入ると言われた。



昨日とはまるで別人(別犬?)のようにヨロヨロと、大きなガーゼが取れないように

胴と脚をぐるぐる巻きにされて帰宅した。


ひっきりなしに咳をして、タンが絡み、吟も私も眠れない夜になった。


2008年 12月18日。



お昼頃、どうにかやっとこ吟を車に乗せ、大学病院に向かった。


13時過ぎ病院到着。


自力で歩けるか・・・

先生を車まで呼んでこようか迷った。


そんな私の心を読んだのか、吟がゆっくり立ち上がりクレートから出てきた。


ゆっくりゆっくり歩き、なんとか待合室にたどりついた。


いつもは落ち着きなくウロウロ徘徊したがる吟なのに、さすがに今日はすぐに座り込んだ。


私が椅子に座ると、足元で丸くなって小刻みに震えながらじっと耐えていた。



30分くらい待っただろうか・・・

ようやく先生が診察室から出てきて吟の様子を見た。


どうやら研究室にいたようだ。


先生は吟に触れることもできず、明らかに一瞬ひるんだ。


「これは・・・

ひどいですね。 いつからですか?」


そう言いながら診察室に誘導した。


昨日ここ(大学病院)を出てから今に至るまでを時系列で説明した。



相変わらず吟は小刻みに震え、咳もひどく、誰がどう見ても“ヤバイ”状態だった。







2008年  12月18日。



大学病院に行った翌日。


想像を絶する異変に、恐怖で眠れなかった。



081

腹水が溜まっているのではないかと思うくらいパンパンのお腹。



078

赤くなった膝に突然現れたどす黒い水ぶくれ。



080

触れてもいないのに弾けて水が出てくる。



今日は木曜日。

大学病院の皮膚科はやっていない。


でもこのままにしてはおけず、ダメもとで電話してみた。


やっぱり教授は不在。


昨日後ろで立っていた男の先生が代って診ると言ってくれた。


吟が動けるタイミングを見計らって車に乗せ、再び大学病院へ向かった。



夕方4時過ぎ大学病院からやっと帰りついた。


今日初めてのごはん。


元々食欲は旺盛な子だから、すごい勢いで完食。

おなかいっぱいになったのと、一日分の緊張から解き放たれて、あっという間に爆睡。


この時すでに体幹部に異変が起こっていた。


背中や脇腹、いろんなところに2~3センチ大の脹らみが出てきた。


9時。

お薬を飲まなくてはいけないので、ちょっと遅めの夜ごはん。


体幹部の脹らみはさらに大きく、悪化している。

熱も出てきた。


数時間後。


普段ハーフチョークタイプの首輪をしている吟。

なので、ブカブカのはずなのにほとんど余裕がないくらい首周りが腫れている。


全身何十か所もハチに刺されたみたいに、体中がボコボコに腫れあがっている。


あっという間に体全体が腫れあがってパンパンになり、膝が赤くなった。



吟も明らかに苦しそう。


どうすることもできず、ただただ傍で見守るしかできない。


夜中1時前。

ステロイドを1錠追加投与する。


何とか回復してくれたらいいのだけれど・・・



082  首の周りが苦しそう。


074 体全体が破裂しそうなくらい腫れる。


077 膝が赤くなり、腿もおなかも段差ができるほど腫れる。


2008年  12月17日。




「今の段階では病名も原因もわからない」


とことわってから教授の説明が始まった。


『まずはじめに、“自己免疫疾患”を持っているのは間違いなさそうです。

過去に出た症状や今出ている症状を全て満たす病名はなく、

いくつかの病気の複合型と考えられます。


“自己免疫疾患”と言っても、症状や症例は様々で、

軽いものから重いものまであります。


外注した血液検査・組織検査の結果が返ってこないとハッキリとしたことは言えませんが、

今の段階で疑わしいと思われる病名をいくつか挙げます。


・膠原病

・全身性エリテマトーデス

・ウェバークリスチャン病

・多発性関節炎

・慢性肺気管支炎

・慢性もしくは急性腸炎

・血管炎

・血管浮腫

・皮下脂肪組炎


いづれにしても確定診断は難しく、また治療も完治も難しい病気です。』


どれもこれも難しい病名で、メモを取るのが精一杯だった。


教授は

「焦らずゆっくりやっていきましょう。」

と言った。


次回は1週間後。


平日は毎日診察しているが、皮膚科の専門外来は水曜日だけ。

受付で教授診察の予約を取り、今日は終了。


家に帰り、ネットで病気について調べようと思った。



難しい病名が並んだわりには元気に戻ってきた吟。


早くお家に帰ってごはん食べようね・・・。


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