飯場の子 第40話 「学びと感謝の一年」商工会議所青年部 | ポジティブ思考よっち社長

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飯場の子 第40話
「学びと感謝の一年」商工会議所青年部



  甲斐組の社長になって1年が経ち、43歳になっていた僕は、平塚商工会議所青年部(YEG)で、すでに多くの社会活動をさせてもらっていた。

当初は「1年で辞める」という条件付きで入会したYEGだった。しかし、地域にこれほど多くの青年経済人がいるのかという感動と衝撃、そしてやりがいを感じる中で、僕は次第にその活動にのめり込んでいった。

イベントを手伝い、自ら企画を立ち上げ、会員のため、そして地域の人たちのために動くようになっていった。

YEGでは、活動に関われば関わるほど役職を任されていく。約100人の組織の中で軸を担う中心は、専務理事、副会長、そして会長だ。入会から1年後には理事に就任し、2年務めた後に専務理事へ。さらに副会長を3年間経験した。

その先にあるのが「会長」という責務だった。

理事までは自ら手を挙げてなれるが、専務理事や副会長といった三役は、実質的には現役会長による指名で決まる。規約上は立候補制であっても、実際にはこれまでの流れや信頼関係の中で後継者が選ばれるのが通例だった。

それまでの流れから、平成26年度の会長は僕になると見られていた。

そんな中、同じタイミングで会長職に強い意欲を持つ会員が現れた。対抗馬はTさん。頭も切れ、「できる男」ではあったが、入会が遅く、経験面ではまだ差があった。

Tさんは積極的に周囲へ働きかけ、支持を広げていった。YEGは45歳で卒業が決まっているため、彼にとってはこの年を逃せばチャンスはなかったのだ。

やがて、会内は今村派とT派に真っ二つに割れた。

同時に、僕に対するネガティブな動きも表面化していった。陰での悪口や批判は相当なもので、いわば大人のいじめのような状態だった。

しかし、直接言ってこない相手に対して怯むことはなかった。「出る杭は打たれるだけだ」と、相手にしなかった。

それでも何より辛かったのは、Tさん本人の態度があからさまに変わったことだった。ライバル視されている以上、仕方のないことだと頭では理解しながらも、心のどこかで複雑な思いがあった。

そんな中、年長者で親しくしていたSさんがこう言ってくれた。
「今ちゃん、短気を起こさず、やるべきことをやればいい」

その一言に救われた。

様々な出来事があったが、「これまで積み重ねてきたキャリアを飛ばすべきではない」という意見も多く、最終的には現役会長から呼び出しを受け、次年度会長として正式に指名された。

平成25年11月、臨時総会で承認を受け、僕は次年度会長予定者となった。

翌年4月に向けての準備が始まる。最初の仕事は、専務理事と事務局長を選ぶことだった。

僕が選んだのは、サノ君とマキイシ君。サノ君には以前から「もし自分が会長になったら専務を頼む」と伝えていた。マキイシ君は非常に優秀で信頼できる人材だった。この二人とともに体制を固め、その後、副会長人事を整え、「今村年度」はスタートした。

結果として、会長を経験できたことは本当に良かったと思っている。

掲げたスローガンは
「活性 〜縁から絆、学びと感謝〜」




副会長までは委員会運営が中心だったが、会長になると役割は大きく変わる。組織全体の方針に対する決断や判断、そして各所での挨拶や対外活動が増える。

毎月の例会、各種イベント、対外行事――時間を取られる場面は多かった。

しかし、その一つひとつの場で、多くの人と出会い、言葉を交わし、「ありがとうございます」と言われるたびに、自分の中にエネルギーが満ちていくのを感じた。

関わった人たちの笑顔、参加者の笑顔、地域の人たちの笑顔――そのすべてが、自分にとっての原動力になっていった。

“ありがとう”という感情が、心の奥から何度も込み上げてきた。

もしあの時、感情に任せて「役員を降ります」と言っていたら、この経験は決して得られなかっただろう。

YEGの活動を通して、地域の中で人が輝く姿を見てきた。その経験が、「これを甲斐組でもできないか」という発想へと繋がっていった。

YEGの活動は、直接的に会社の利益に結びつくものではない。しかし、当時社長になったばかりの僕に課せられていた最大の使命は、企業イメージの刷新だった。

「甲斐組だけには入りたくない」と言われる会社から、「甲斐組に入りたい」と言われる会社へ――。

そのために、CSR活動(社会貢献)を通じて企業の価値を高めることができるのではないかと考えるようになった。



[大島フェスタ]

もちろん、お金もかかる。しかし、地域に対して真摯に向き合うことが、企業の信頼やブランドに直結する――その確信を持つようになった。

振り返れば、会長になるまでには様々な出来事があった。だが、この経験が今の自分の経営の柱になっていることは間違いいない。

甲斐組の企業理念
「地域笑顔創造企業であり続けること」

その根底には、YEGで学んだ“縁と感謝”の精神が、確かに息づいている。