私は彼と共に生きてきた。
正確には起業した彼と共に生きてきた。
彼は会社を立ち上げ
私は経理関係全般からゴミ捨て、たまには営業も行い、現場も行ってきた。
起きている時間のほとんどを仕事に費やした。
だからこの会社は
彼と私のものだと思う。
部下の女性は
私の事を
サミシイ女だ
と陰口を言う。
それでもいい。
私には彼とこの会社があるもの。
彼が必要とするなら
どんな仕事でもするわ。
それが生き甲斐であり喜びなの。
必要とされる事
それが生きている上で
どんなに心強いことか。
*
彼は仕事の相談を
私に一番にする。
一通り説明をされた後、
「おまえ、どう思う?」
と言う。
私を
『おまえ』
なんて
呼んでいいのは彼だけ。
私は少し考えるの様に間を置き、
場合によっては即座に判断をし、
適切な言葉と柔らかい表情で
答える。
彼は
うん、うん、と頷き
「そうか、わかった。ありがとう。」
と必ず言う。
それはこれから始まる雑談のきっかけになる言葉なので
私は嬉しくなる。
様々な事を話をしていると
彼は
「おまえ、仕事はいいのか?」
と気遣ってくれる。
ええ、大丈夫ですわ。
あなたが外出されてる間に済ませましたわ。
「そうか。おまえは優秀だもんな。」
彼が微笑む。
増えた目尻のシワも素敵だ。
部下の女性が
チラッと私を見る
部下の女性は
仕事を振られたので
おもしろくないと思っているはずた。
部下の女性がどう思おうが
どうでもいい。
私には
彼がいる。