『もう6月になってしまった。』
と書いてから
もう1年と3ヶ月が経つようだ。
8月も終わっていくようだ。
今年は時間が早く過ぎたような
それでいて
止まったような感覚がする。
止まってた方が幸せだった。
止まっていても進んでも、もうどちらでもよかった。
あと4ヶ月位したらまた12月が来る。
否応なく。
毎年楽しみにしていた新年も来る。
なのに、
こんな気持ちだなんて。
*
「おまえ。
今日時間あるか?
話がある。」
仕事中に不意に彼から話かけられた。
話ってなんでしょうか?
経営の話かしら?
それとも?
もちろん、彼の為ならどれだけでも時間はあるし、
どんな事でも喜んでですわ。
はい。あります。
どちらに何時ですか?
「定時後すぐにいつもの喫茶店にくるように。
すぐだからな。」
そう彼は言って、
すぐにPCの画面に視線を戻した。
はい。かしこまりました。
お誘いだなんて久しぶりだわ。
今日の私の格好は
彼の隣に立っても変ではないかしら?
アクセサリーはいつも通りね。
首には頂いたスワロフスキーのネックレスがあるし、
美容院も最近行ったばかりだし、
お昼には念入りに歯磨きをしたし、
下着は上下揃ってるかしら?
あら、私ったら何を期待してるのかしら。
早く定時にならないかしら。
心なしかキーボードを叩くリズムも軽くなる気がする。
めずらしく社内に残っている営業部のあの男の子は
じっとりとした目線で私を見ていた。
営業のくせに社内にいるなんてね。
ふふっと余裕の笑みを浮かべて
その視線をなかった事にした。