小学1年のとき、一か月のおこずかいは100円だった。
皆がもっている、白いビニール製の、二つ折りのスヌーピーの財布は、350円だった。
欲しくて欲しくて、おこずかいを貯めた。
やっと財布が買えるだけ貯まったとき、気がついた。
全財産で財布を買ってしまうと、中にいれるお金がない。
あのとき、頑張ってもすべてを手に入れることはなかなか難しいと気づいた。
だから、仕事をして、夕飯を作って、彼の世話をして、それから二人でゆっくりする時間を作って、自分のしたいこともして、共通の友人と遊ぶ時間もつくって、そんな時間のやりくりなど、到底できなかったが、Xデー後には、ただただ流れてくる時間にもてあそばれることは知っていた。
彼がいて、一緒にゆっくりしたいけど、することが多くて時間がない。
時間があるということは、彼がいない。
そう、今はスヌーピーの財布はあるが、肝心の中に入れるものがない。そういうものだから、それをどうこう言うつもりはない。
ただ、ぼんやりと思う。
介護をしながら、まさかの長期在宅ワークで、今頃はハネムーンだったのにな。
看取り覚悟で、最後の至福の時を過ごしたかった。
彼は一緒にテレビを見たがった。私はその時間を作ってあげることができなかった。病院でずっと考えていたんだろう。
私たちは、ほぼ老夫婦のような生活をしていたので、
一緒によく海外ドラマを見た。
それだけで、幸せだった。
たとえ、それが今週であっても、
できれば、
私の腕の中でいかせてあげたかった。