藤井聡太7冠が全冠制覇を狙う王座戦開幕戦。
振り駒で先手を取った藤井聡太7冠ですが、勝てば5連覇で永世称号獲得となる永瀬王座に破れました。
開幕時点では理論上の8冠達成確率90%でしたが、この敗戦により68%と少し厳しくなりました。
藤井聡太が先手番を落としたことについてのコメントををいただきましたので、今日はそのテーマで書かせていただきます。
日本で人気のボードゲーム、囲碁、将棋、オセロの中で先手後手の有利不利が明確でハンデがつけられているのは、囲碁だけです。
囲碁は、ゲームの特性上明確に先手が有利であることからハンデがつけられています。20年くらい前までは「5目半」のハンデでしたが、それでも先手勝率が高いので現在は「6目半」のハンデとなり、ほぼ先後勝率が拮抗しています。
将棋も、昔から「先手若干有利」と言われており、実際、過去のプロ棋士の対戦データによると先手勝率が52~53%となっています。
ところが、この勝率はあくまでプロ棋士全体のもので上位者あるいは序盤定跡に明るい若手ほど先手勝率が高くなる傾向があり、AI研究が進む最近では看過できない差になってきています。
具体的には、2021-2022年のタイトル戦だけでみると先手勝率が57%、藤井聡太7冠のデビュー以来の通算勝率(デビュー~2023/8末まで)は先手番88.9%、後手番77.7%と明確な差があります。
ちなみに先手後手で勝率差が最も激しいプロ棋士は小山怜央四段で先手勝率73.3%、後手勝率29.2%だそうです。
もっと顕著なのが、AI同士の対局です。
世界コンピュータ選手権でみると先手勝率は、2019年53.8%→2021年56.0%→2022年58.3%→2023年67.9%ととんでもない差になってきています。
つまり、普通のプロ棋士→上位プロ棋士→AIと棋力が高くになるにつれ先手勝率が高くなっているわけです。
私なりに解釈すると、先手は事前に研究した自分の作戦に誘導しやすいため、序盤で有利になりやすいが、棋力の低い棋士ほどどこかでミスをしてしまいリードが守りきれず、先手の有利さを活かしきれていないのだろうと思います。つまりは、ミスが少ない棋士になるほど先行逃げ切りで先手勝率が高くなるということなのだろうと想像します。
ここまで明確な差になってくると、そろそろハンデを付けるべきなのではと思ってきます。
後手だけ打ち歩詰出来るようにする、とか、駒落ちにするとか、アイデアがありますが、最有力なのが
「持ち時間に差をつける」
というものです。
例えば、先手の持ち時間4時間、後手の持ち時間6時間にするって感じです。
すぐには変わらないとは思いますが、10年後、20年後にはルール化されているかもしれませんね。
まあ、ミスだらけの私には先後差は全くないと思いますが