「すみません、来週の金曜日、お休みをいただいてもいいでしょうか……」

ある日、社員が申し訳なさそうに、小さな声でそう言いました。子どもの学校行事があるとのこと。もちろん、休んでもらって構いません。私は「いいよ」と答えました。

でも、そのときの社員の表情が、ずっと気になっていました。まるで悪いことをお願いするような顔をしていたのです。

休みをとるのは、社員の当然の権利です。それなのに、なぜこんなに言いにくそうなのか。考えてみると、その雰囲気をつくっていたのは、ほかでもない私だったのかもしれません。

今日は、社員が「休みたい」と言いやすい会社にするために、私が見直したことを書いてみます。

休みにくい雰囲気をつくっていた3つのこと

① 社長の私が、ほとんど休んでいなかった

私は、土日も会社に顔を出し、平日も遅くまで働いていました。社長が休まないのに、社員が休めるはずがありません。私の働き方そのものが、「休むのは悪いこと」という空気をつくっていたのです。

② 休みの日に、仕事の連絡をしていた

社員が休みの日でも、気になることがあると、つい電話やメッセージを送っていました。「ちょっと確認だけ」のつもりでも、社員にとっては、休みの日も仕事から離れられないということです。

③ 休むと、仕事が回らない体制だった

その仕事は、その人にしかわからない。誰かが休むと、仕事が止まってしまう。だから社員は、ほかの人に迷惑をかけると思い、休みをとりにくかったのです。

休めない会社は、続かない

以前の私は、「小さな会社なんだから、みんなでがんばるしかない」と思っていました。少ない人数で回しているのだから、休みが少ないのは仕方がない、と。

でも、休めない状態が続くと、どうなるでしょうか。疲れがたまり、ミスが増える。体調を崩して、長く休まなければならなくなる。そして、「この会社では長く働けない」と感じた社員は、いつか辞めていってしまいます。

社員がしっかり休めることは、社員のためだけでなく、会社が長く続くために必要なことなのだと、あらためて考えるようになりました。

休みやすい会社にするために変えた4つのこと

① 社長が先に休む

まず、私自身が休みをとるようにしました。土日は会社に行かない。平日も、決まった時間には帰る。そして、休みをとったときは、「昨日は家族と出かけてきたよ」と、休んだことを隠さずに話すようにしました。社長が休む姿を見せることが、社員が休みやすくなる第一歩だと思ったのです。

② 休みの日は、連絡しない

社員が休みの日には、原則として仕事の連絡をしないと決めました。どうしても確認が必要なことは、休み明けに聞けばいい。急ぎの場合に備えて、休む前に引き継ぎをしておくことも、みんなで習慣にしました。

③ 一つの仕事を、二人以上ができるようにする

誰かが休んでも仕事が止まらないように、一つの仕事を、二人以上ができる体制を少しずつ整えていきました。業務マニュアルを作ったり、ふだんから仕事を交代で担当したりすることで、「休むと迷惑がかかる」という不安を減らしていきました。

④ 休みの予定を、早めに共有する

社員の休みの予定を、カレンダーで全員が見られるようにしました。早めに予定がわかれば、仕事の調整もしやすくなります。休む人も、ほかの人も、気持ちよく予定を立てられるようになりました。

「休んでくれてありがとう」という気持ち

休みやすい会社を目指すようになって、私自身の考え方も少しずつ変わりました。

以前は、社員が休むと、どこかで「仕事が遅れるな」と思っていました。でも今は、社員がしっかり休んで、元気に戻ってきてくれることが、いちばんうれしいと感じます。

休み明けの社員に「ゆっくりできた?」と声をかけると、うれしそうに休みの話をしてくれます。休んでリフレッシュした社員は、仕事にも前向きに取り組んでくれる。休みは、仕事の反対側にあるものではなく、いい仕事をするための大切な時間なのだと思います。

制度のことは、専門家に確認する

社員の休みについては、法律で決められたルールもあります。有給休暇の扱いや、休みの決め方などは、制度が変わることもあり、自分だけで判断するのは不安でした。

そこで、社会保険労務士さんに相談しながら、会社の休みのルールを見直しました。ルールを紙にまとめて社員にも共有したことで、社員も「どう休めばいいか」がわかりやすくなったようです。小さな会社ほど、わからないことは専門家に聞くのがいちばんだと感じています。

休みやすさは、採用にもつながる

休みやすい会社にしたことで、思いがけない効果もありました。採用の面接で、休みのとりやすさを伝えられるようになったことです。

小さな会社は、給料や待遇で大きな会社にかなわないことも多いものです。でも、「子どもの行事のときは、気兼ねなく休めます」「社長も休んでいます」と、実際の様子を伝えられることは、働く人にとって大きな安心材料になります。休みやすさは、小さな会社が選ばれる理由のひとつにもなるのだと感じています。

休みを「まとめてとる」文化も

最近は、連休をとりやすくすることにも取り組んでいます。1日ずつの休みだけでなく、ときには数日まとめて休むことで、しっかり心と体を休めることができるからです。

まとめて休むには、前もって仕事の段取りを整える必要があります。でも、それ自体が、仕事の進め方を見直すいい機会にもなります。誰が何を担当しているのか、どの仕事を前倒しできるのか。休みの計画を立てることが、会社の仕事の流れを整えることにもつながっていきました。

社員が長めの休みから戻ってきたとき、表情がすっきりしているのを見ると、休みは会社への投資なのだと感じます。

よく聞かれること

Q. 人数が少なくて、休みを回せません。

最初から全員が自由に休める体制にするのは難しいかもしれません。まずは一つの仕事を二人ができるようにすることから、少しずつ始めてみてください。

Q. 繁忙期はどうしていますか?

繁忙期は、事前に休みの調整をお願いし、そのかわり落ち着いた時期にしっかり休んでもらうようにしています。

Q. 社長が休むと、不安になります。

私もそうでした。でも、社長が休んでも会社が回ることを確かめることは、会社の強さを確かめることでもあります。短い休みから始めてみてください。

Q. 急な休みにはどう対応していますか?

子どもの急な発熱など、急な休みは誰にでもあります。「お互いさま」の気持ちで助け合えるよう、ふだんから仕事を共有しておくことが大切だと思います。

Q. 休みが多いと、売上が下がりませんか?

短い目で見ると、心配になるかもしれません。でも、疲れによるミスや、社員が辞めてしまうことによる損失を考えると、休みやすい会社のほうが、長い目で見て安定すると感じています。

働きやすい職場づくりは、組織やマネジメントの本から学べることが多いテーマです。ビジネス書の要点を1冊10分ほどで読める本の要約サービス「flier(フライヤー)」なら、寝る前の少しの時間でも読めます。

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まとめ

  • 休みにくい雰囲気は、社長の働き方や連絡の仕方、仕事の体制からつくられる
  • 休めない会社は、社員が疲れ、いつか続かなくなる
  • 社長が先に休む、休みの日は連絡しない、一つの仕事を二人以上で、予定を早めに共有
  • 休んで元気に戻ってくれることが、いい仕事につながる
  • 制度のことは、社会保険労務士さんなど専門家に確認する

もし今、社員が申し訳なさそうに休みを申し出ているなら、まずは社長自身が、次の週末にしっかり休んでみてください。社長が休む姿が、社員にとって「休んでもいいんだ」といういちばんの安心になります。

 

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