Hidden Enemy31 | The Lilies And Roses

The Lilies And Roses

当ブログはスキップビートの二次小説ブログです。
作者様・出版社様には一切関係はございません。
また文章の無断転載等はご遠慮下さい。

自由にのんびりと書きたいお話を載せていきたいと思います。
Laylaの完全自己満足&文章力UPの為の修行場です(´∀`)

※このお話は33巻からの続き未来のお話だと思って下さい。本誌とはズレが出て来ます。




貴方の頬を伝っていった

エメラルド色の”幸せ”の宝石――…。

零れ落ちては 消えていってしまう

その美しい雫の粒を見た瞬間



拾い集めて…

宝物として残しておければいいのに…と

私はそう願った――…。



他のどんな宝石よりも

魅力的で綺麗な輝きを放つ

永遠の”幸せの証”になるから―――…。






* * *






暫くして蓮が落ち着いた後、2人は”美味しいオムライス”作りを始め出した。

『…じゃあ…私は鶏肉を切って炒めていくので…久遠さんは玉葱を切ってくれますか?』

「玉葱ね…分かった」

そう言うと蓮はにっこりと微笑み、玉葱の皮を剥いた後 包丁を持ち力任せにドンッ!!と切り始めた。

ぎゃあぁぁ……!!見ている方が怖いわ…!手切りそう……!

キョーコの心拍数が一気に上がっていく。そして…蓮は1~2センチくらいの細長いサイズに玉葱を切っていった。

「久遠さん…みじん切りですので、ここから細かくしていきましょうか。包丁の刃の上の部分に左手を添えて…こうですよ」

キョーコがみじん切りの仕方を見せると、蓮は見た通りの包丁の動きを始めた。

「…こんな感じかな…?」

『そうです…!ゆっくりでいいので手を切らないように気を付けて下さいね…!』

…ふぅ……。この切り方なら左手を切る事もなさそうだし…ほっといても大丈夫そうね…。

キョーコは慣れた手つきで素早く鶏肉と人参を切り、鶏肉をフライパンで炒め出した。そして…ちらっと蓮の方を見てみると…彼はまた泣いていた。

「…キョーコ…俺…今日もうダメ…また涙出て来た…////玉葱は何とか切り終わったけど…」

今度は玉葱にやられて涙が出てしまったらしい。そして…そんな彼の様子を見て、キョーコは思わず笑ってしまった。

『…ふふふっ…!久遠さん…可愛い過ぎますよ…!』

「何でだろう…?前は玉葱切っても全然平気だったのに…今日はコンタクトをしていないから…?!」

『あーなるほど…!ふふ…そうかもしれませんね…!玉葱の汁が付いた手で目を擦ってはいけませんよ…』

キョーコはそう言うと、蓮の頬を伝う涙をそっと指で拭った。

「…ありがとキョーコ……////」

蓮は水で手を洗った後、キョーコを後ろから抱き締めて額に優しくキスをした。そして耳元で甘い声でキョーコに囁く。

「ねえキョーコ…次は何をすればいい…?」

その蓮の1つ1つの行動にキョーコの胸はドキドキが止まらない。

もう…!カイン兄さんとセツカの時は演技だったから…セツ魂で何とか乗り越えていたけど…素の私では慣れていなくて本当にもうどうにかなってしまいそう…!

『えええ…っと…じゃあ…時間短縮の為に…玉葱と人参を電子レンジで取り合えず5分くらいチンしてもらえますか…?』

「…了解」

蓮は上機嫌でにっこりと微笑むと、キョーコに言われた通りに材料を電子レンジに入れた。そして…その後2人は仲良く チキンライスを作っていった。







『…後は卵ですね…!ふわっふわのとろとろにしましょうか…!』

チキンライスを作っている間も蓮はキョーコの腰にさり気なく手を回したり…とずっとベタベタしていた。

「キョーコ…ひとつ覚えておくといいけど…海外でちゃんと火を通していない卵は食べてはいけないよ。危険だから…」

『ええぇー?そうなんですか…?』

「うん。サルモネラ菌がいるかもしれないから…。まぁ…スウェーデンの卵は安全基準がしっかりとしているから大丈夫だけどね」

『へえ…初めて知りました…今後注意しますね!でもこの国の卵は大丈夫なんですね…!』

「…そうだね。じゃあ…時間ももう遅いし…早く作ってしまおうか…」

そう言った後…蓮はキョーコの唇にキスをして抱き締めたまま動こうとしなかった。

『ちょっと……。久遠さん…?言っている事と…やっている事が違うような気がするんですけど…?////』

「うん…ごめん…ちょっと思ったんだ…。キョーコと結婚したら…毎日こんな風に過ごせるんだろうなって…」

「それって…本当に夢みたいで――…。」






久遠さんは…少し照れながらそう言った後…私に神々スマイルを見せてくれた――…。



貴方は気付いていないの…。

本当に…本当に今日の出来事が夢ではないか…と

そう思っているのは 私の方…。

貴方と愛し合って 肌を確かめ合って 結ばれて―――…。



ずっと…ずっと決して叶う事のない

切なくて苦しい…恋心だと思っていたから

私が演じた花魁”夕霧”のように―――…。








『…ねえ…久遠さん…?』

「ん…?何…キョーコ…?」

『…何だか…私も…幸せ過ぎて…泣きたくなって来ちゃいました…。』

「…………。いいよ…キョーコ…泣いても――…。」

貴方は少し驚いた顔をした後に優しく微笑んで…私を ぎゅっと抱き締めたまま…頭をそっと撫でてくれた。

『……っ…ふぇ…え…』





今まで…今までこんなに幸せを感じて

安心感に包まれた事は一度もなかった…。

そして…漸く今気付いたの…。



私…ずっと…ずっと…

今まで”独り”で無理をして

生きてきたんだ…っていう事に――…。



もうこれからは

無理をする必要はないんだ…って

改めて今…実感したら…

急に安心して涙が止まらなくなったの――…。







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