前回 つづき
いろんな受容者のケースをつらつらと書いています。![]()
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今日は、親子関係、職場関係について。φ(.. )
ケース5
(理解、受容: --)
親子間の理解と受容について、ケース5では考えてみます。
結論からいうと
親子間の理解と受容は、どちらもあった方がいいです。
いいに決まってるw
ただし、親子間、恋人間といった大変近しい関係において、絶対に気を付けて欲しいことがあるんです。
それは、リードしないこと![]()
リードは、パスの反対の意味のリードではなくw
『誘導』のこと。
打ち明けてきた子に対し、親は、絶対に『誘導』はしないでください。
治療への道にしても
未治療の道にしても
絶対に。
むしろ、親は子の言葉に耳を傾けつつ、子の成長に合わせて、本人の意思を尊重する形でただ見守ってくれればいいとさえ思います。
それから、信頼できる精神科医や臨床心理士と出会うこと。(←臨床心理士、追記しました。2013.10.8)
GID学会では児童のフォローをされている医師の報告がありましたが、細やかな対応のエピソードも大変ほほえましく、「診断はむしろ出さない、最終的に必要に迫られたときに出せばいい」というスタンスにも好感をもちました。
(診断が出されることで、その事実が、一定、本人の感情や意思決定を牽引することはあると思います。そういうことはできるだけ避けた方がいい)
そんな私は、治療に対するスタンスは、未成年については治療は急ぐべきではないと考えています。
(理由はいろいろありますが、まずこちら過去記事をお読みください。m(_ _ )m)
・過去記事 「中学、高校、大学と望みの性で生きてきた彼が言った言葉。。」
・過去記事 「社会の仕組みも知らないうちに、決定的なことはすべきじゃない」
子供のうちは、性同一性障害当事者に限らず、性成熟が未熟で、男とか女とかをさまよう人は実際多いでしょう。男らしさや女らしさといった文化的な“ジェンダー”をもって「男(女)になりたい」と言ったり。性成熟=大人になることを拒絶したり。。
個人的には、そういう「GIDと似て非なるもの」、「他の要因」と、GID当事者を早期に見分け誤診を防ぐためにもはやく生物学的な発見にもとづいたバイオチェッカー系の指針が出来ることを願っていますが。。
(参照:過去記事1 「社会の仕組みも―」、過去記事2 「GIDの研究はどこが牽引していくのか?」)。
それなりに大きくなった当事者は、親にカムアウトするとき
死んでしまいそうなくらいの気持ちになっているかもしれません。←いや、大袈裟ではなく^^;
それなりに大きくなった子から、思いつめた感じで打ち明けられたなら、どうかその場では決して否定の言葉は出さないであげてください。
社会がどうとか、
気持ち悪いとか
気のせいだとか
実際そう思ったとしても、とりあえず聴くだけ聞いてあげて、落ち着いた後日話し合いをもたれるのがいいと思います。
その子がもしGID当事者だった場合、自己否定はもう十分なほどしていると思いますから。
未成年者に対し、親の言葉は想像以上に大きな影響をもっています。
親御さんから理解と受容が得られれば大変心強いでしょう。
しかし、過剰な理解、過剰な受容はされませんよう。。
「私は子供の味方!」「子供を理解したい」という思いが、
「私がちゃんと生んであげられなかったのだから、この子は私が守る(=むしろ治療を応援する)」に、変換されませんように。。
治療をするか、しないかは、
本人が決めること。
どんな人生が幸せかなんて、本人以外、誰にもわかりません。
子が自分の人生を意思決定できるようになるまでは、決定的なことはされませんよう。深い親の愛で見守ってあげてください。![]()
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ケース6
仕事上の話についても少しだけ。
職場も、理解があって、受容もされている状態が一番理想ですね![]()
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ただ現実は、GIDの理解はあるけれど、実際は労働環境をなんら対応してくれないという場合もあるでしょう。
例えば、対外部署の職場環境で、かつ本人が未治療といったやむを得ないケースなど。
様々な価値観をもつ顧客に対応しなければいけない場所では、(客からみると)女性がメンズスーツを着て働くのは、現実問題難しいですから。
(そこで「差別だ!」なんて騒ぐ人はいないでしょうが^^;)
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仕事の場では、理解がなくて受容だけある、という状態はちょっと想像しにくいですが。。
まだ上司にカムアウトする前の、職場のおじ・おばちゃん達をすべて味方につけている状態とか、かなw
そういえば。。なしくずし的にホルなどの治療をはじめて、
特に男女差のない職場なので、治療をはじめたことにも気づかれず(←本人がそう思っているだけという話もありますが
)、
トイレもいつのまにか男子トイレに入るようになったけれど特に何も言われません
。という人もいました。笑
*職場における理解と受容については
先日の「在職トランスmemo
」も参考になれば幸いです。m(_ _ )m
まとめ
周知のとおり、立場、環境は当事者によって様々ですよね。
そして、当事者が様々であるのと同じように、彼らをとりまく受容者たちもまた様々。
彼らをとりまかず、去っていく受容を拒絶した方々の心情もまた様々です。
権利!人権!差別!とシュプレヒコール
する前に...
私たちはこのことを念頭に置かなければいけないのではないでしょうか。(´・ω・`)
●当事者と受容者をガバナンスの視点から言及している論文として、過去記事
(「LGBT系とGID系」)で既出ですが、こちらをまたご紹介。
(「受容者」=性同一性障害を受容する者として、受容者の人権への配慮が当事者と受容者が良好な関係を築くためには不可欠であることを冷静に言及している。 受容者の人権や特例法要件改定、ガイドラン―特例法ルート以外の提案(イギリスはGRAの事例紹介)等に言及した法研究者の方の論文だが、法律にとどまらない、社会的なガバナンスについての視点も持ち合わしている良文だと思います
)
↓
「性同一性障害者と性別適合手術――性同一性障害者性別取扱特例法の要件の観点から」鵜澤瑞穂(PDF)
>性同一性障害者と受容者が良好な関係を築き,お互いが暮らしやすい社会を作るためには,受容者の正しい知識に基づく最低限の理解・共感が必要であることはもちろんのこと,性同一性障害者については,一定の場合において人権制約の必要性がある。
(現在の日本は違うとはいえ)
●受容しない者からの「ヘイトクライム」(マイノリティへの「憎しみ」にもとづく差別犯罪)を知る意味で、前に見たことがある海外の動画――
MTFさんが(深夜のマック?)女性二人からぼこぼこに暴行される動画も貼りたかったのですが、、リンクがどこかに行ってしまったので断念。orz
(もしご存じの方教えてください~(。-人-。)
)
日本におけるGID正規医療がスタート(埼玉医科大によるFTMの性別適合手術)してから15年
特例法ができてから10年
当事者もそろそろ自分自身のことばかり考えるのではなく
自分さえよければと考えるのではなく
当事者にも多種多様な様相があること
そして・・それがどういうことを意味するのか?![]()
(患者本人の「医療」的側面だけではなく)
受容者の立場、社会やモラル・法体系のなかでの位置づけの視点からもそろそろ考えていい時期だと思う。φ(.. )
理解と受容のバランス。
受容者との良好な関係性とは何なのか?
様々なケースをとおして――
あなたの考察のきっかけになったなら幸いです。
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(とりあえず)おしまい