埋没と非埋没 二者の例をとおして見えてくるもの | GID memory

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FTMTSのGID関連ブログです。戸籍訂正が済んで、当時の気持ちを確実に忘れてしまいそうなのでここに記録しておこうと思います。
タイ滞在記ほか

埋没と非埋没の「一例」

*以下はあくまで一例です。必ずしも埋没=中核群、非埋没=周辺群ではありませんし、いろんな当事者がいることはお忘れなくキラキラ お読みの際は思い込みにご注意くださいφ(.. ) あせる

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<埋没Aさんの場合>

一人は、物心ついた頃から性自認が「男」であるとはっきりしていて、というか、女性としての自覚がない。

女体への嫌悪感も強く、自殺念慮の過去あり。


治療を開始する前から、フルタイム男性として生活し、貯金に明け暮れ、何の悩みもなく20代前半からホルや胸オペなどの不可逆的な治療を開始。

(*第4版以降だと未成年のうちから治療するケースが該当するのかな。。心身の発達が未成熟な未成年者は、大人以上に気を付けなければ勘違いも生じやすい訳ですが。)


仕事は、戸籍訂正前から男性として生活するために自営業を選択。


SRSも形成までして


戸籍も、体も、心も、男性の状態のときに出会ったストレート女性と恋に落ち結婚。

彼女にはFTMであることをカムして付き合いはじめたが、結婚に際し、義理のご両親にはノンカム。

*特に隠している罪悪感などなし。なぜなら「女性」であった自覚を探すことの方が難しいし、オペやホルモンによる変化もあくまで補助的なもので、治療によって自身が認識している性に戻った、という感覚が自然なため。

典型的な中核群、埋没タイプ。





<非埋没Bさんの場合>

一人は、性自認をずっと悩んできたタイプ。

思い起こすと昔から女性らしさは少なかったものの、性別違和に気付いたのは幼少期ではなくだいぶ成長(中学生の頃)してから。それ以前は男とか女とかあまり考えたことがなかったためだと思われるが、性自認を自覚してからは自身を「男性」と認識。

長く、他人から見られる印象男でも女でもあるようなないような。でもそんな自分も気に入っていた。


女体については、体つきや声、ひげはホルによる男性化を望んだものの、もともとかなり小さい胸や性器には低嫌悪感。社会生活では男性としての扱いを望むし、その方が心穏やかに生活できる。


セクシャリティもストレートではなく、バイセクシャル。男女とも性交可能。


プライベートは完全カムアウト。


仕事は男女差のない職種にて、中性的な服装を「個性」として受け入れてくれる会社で就労。


ただ歳を取るにつれ脂肪がつきやすく女性的になる体や、彼女との関係性を考えると戸籍も変えたい思いがどんどん強くなり、いろんな理由から30代になってホルモン療法開始。

もともとの愛嬌の良さから、トランジションも好意的に受け入れてもらえ、ホル、胸オペ、同じ職場での在職トランスと、治療は順調にすすむ。

SRSの段階になって、形成まですべきか悩んだものの、内摘までで戸籍の訂正へ。


未治療時代から長く付き合った彼女と、戸籍の訂正を機会に晴れて入籍。

彼女はストレートで、FTMと付き合ったのは彼がはじめてだが、体が女性の男として受け入れてくれた。

結婚に際して、彼女の両親にもFTMであること(元女やオナベという表現?)をカムアウト。

娘が選んだ人だからと無事受け入れられる場合もあるが、極端に反対されるケースもあり。




。。。。。。


もし本人達が「自分の感覚こそ(だけ)GID」という感覚が強い人であった場合、

きっと、この二人は会うと喧嘩するんでしょうねwえっあせる


AさんはBさんに

「男だったら、男と性器をつかったセッ●スなんてできんだろ」「金があるのに治療を悩むとか、理解できない」


BさんはAさんに

「FTMといっても元女だろ。男に戻るって、何それ?笑」「なぜ過去を隠す」




(言いそう。。。。。ガーン



ガックリ






もうね、性自認の問題。性別違和の内容や程度の違いなだけなんですけどね。。

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ⅰ)自らの性別に対する不快感・嫌悪感
自分の一次ならびに二次性徴から解放されたいと考える.自分が間違った性別に生まれたと確信している.乳房やペニス・精巣などを傷つけたりする.FTM では声をつぶそうと声帯を傷つけたりする.


ⅱ)反対の性別に対する強く持続的な同一感
反対の性別になりたいと強く望み,反対の性別として通用する服装や言動をする.ホルモン療法や手術療法によって,でき得る限り反対の性別の身体的特徴を得たいとの願望を持っている.


ⅲ)反対の性役割を求める
日常生活のなかでも反対の性別として行動する,あるいは行動しようとする.しぐさや身のこなし・言葉づかいなどにも反対の性役割を望み,反映させる.

(ガイドライン4版より)

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性同一性障害の当事者は「性別違和」を抱えるという共通点があるだけで、その重軽度、様相はかなり多種多様です。

ⅰ)ⅱ)ⅲ)すべてフルコンボな「中核群」もいれば、そうでない「周辺群」もいる。



性別違和の重度、軽度という表現を嫌う当事者の人がたまにいますが、医療の世界では普通に言われていることです。医師との話で聞いたり、論文で読んだことがある人もいらっしゃると思います。

*注)嫌う人は「性別違和が重度の方が偉いとか、苦労してると言うんだろ」といった思い込みをもっているのかもしれませんが、、重度だから偉いとか、軽度だから正しいとかいう話ではありませんよね。人生トータルの「生きづらさ」は、性別違和だけで決まるわけでは全然ないです。



なぜよく重軽度の話をするかというと。。


性別違和の重軽度や及ぶ範囲、内容の違い、という視点をもって見ることによって、この二人の主観(気持ち)が全然違うものになってくるのが理解できると思うからです。



<解説>

前者は、性別違和が振り切れているタイプ。

いわゆる中核群で、ⅰ~ⅲフルコンボ。

もともと体が女体?のときも、物心ついた頃から自分自身を男だと認識している。胸もたまたま腫れてきただけ、Pがないのもたまたま生えてないだけ今に生えてくる。

身体性に関しても「なぜあるはずのものがなく、ないはずのものがあるのか不思議で仕方ない」、という感覚なので、自然と解決しないことを理解してからは自殺念慮を抱くまで。

そんな感じなので、「元女」を「隠している」という意識がそもそもない。

男性性に揺るぎがなく、手術で平らになった胸、形成した下半身が自分のなかでしっくりいっていて、治療によってGIDを克服するタイプです。



後者は、迷いつつ悩みつつも自身の性別違和をきちんと見極めたタイプ。

いわゆる周辺群で、ⅰは体格や声など少ない。(胸ももともとかなり小さいためか胸オペもしてもしなくても、という感覚。性器に嫌悪感なし)。ⅱ、ⅲあり。

ホルモン療法によって男性化がすすみストレスも軽減され、内摘して戸籍も男性になったことで、ずいぶん精神的に楽になった。

ただ、30年以上付き合った自分の体にも愛着はあった。親しい人以外に言う気はないが、正直昔の性感(胸の性感)を失ったことは残念でもある。

そして、女の体をもった男であること、その事実を抱えても未治療のまま強く生きてきたことは自身の誇りであり自信でもある。彼にとって「元女」という過去は大切な事実なんでしょう。





・・・そろそろ当事者が多種多様な理由を理解して、

そのうえでお互いを尊重しあって、喧嘩せずいきたいものですよね(´・ω・`)




というのも


昔から、当事者間の喧嘩はあったんです。

TG vs TS論争とか

真のトランスとか真のGIDとか呼ばれた論争でした。


もうね、イスとりゲームじゃあるまいし、喧嘩自体が無意味と私は思います。


なぜって、繰り返しますけど、そもそも全然違う存在なんですから。


性はグラデーション=多種多様なので、まるっと「性同一性障害」とか「GID」と呼称するわけですが。。そうすると「みんな同じ、という思い込み」を誘ってしまうのでしょうか。。

ただ単に「多種多様な当事者を大きく包んだ概念がそういう呼称なだけ」の話ですから、誤解しないよう気を付けたいですよね。。



というのも。。またGDになったら、きっと喧嘩が始まると思うんですよ(-。-;)タブン...

そして、今回の用語の改変で怖いのは

「病理」から離れ、かなり「なんでもあり」模様のDSMをそのまま日本が輸入したら、わけがわからないごちゃまぜ状態になると思うんですよね。。


トランスジェンダー文化が浸透したアメリカと、日本の背景は全然違うわけですし。。

(「性の自己選択」という成熟した国に至るまでの議論や過程をすっとばして、

日本のGID医療が、ただたんに「生き方」の援助、という位置づけになったら、、個人的にはたまらないなぁと思っています。)






性同一性障害という概念は、まだまだ医療としても発達過程にあります。


つまり、今使われている用語も普遍的な概念ではないわけです。


用語に捉われるよりまず、事象そのものを見つめよう。


そうしなければ、大切なものを見誤る


そんな気がします。








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*緑部分補足追記。