AR110H外道SPL修理 | ぎっちょ31  

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販売店さん経由で修理が入ってきた

まあ、販売店さんはお客が話したようにメモるのでこんなメモになるのは重々理解してるので、これをどうたらこうたら言うつもりはない
お客さんも販売店さんも、そこは誤解しないで欲しいが

今回の修理はリールシート(パイプシート)のフードナットの破損

ナットをゆるめてリールを外す際に赤矢印の部分から壊れたケース
白矢印はナットが外れてフードはリールに圧着したままになったのでドライバーかなにか当てがって外そうとした跡だ

ここで、販売店さんの修理カードにメモられた「通常使用」についてだが
「通常使用」=「普通に使っていて」だが、普通に使っていればココから壊れることはない
ココから壊れる時は固定する際に必要以上に締め込んで固定した場合である

このあたりの表現でも、お客さん側の心理的には重々理解できる
客側の立場からしたら、修理はできるだけお金が掛りたくないという心理は自然な流れだし、免責保証などを使うと尚更「自分に責任は無い普通に使いました」と主張したいのも重々理解できる
なので、愛用者がそのような主張をすること自体にどうこう言うつもりは無い
言いたいのは、どうせ竿屋には壊した時の状況把握は容易に想像できる(率直に言えば「バレる」)のだから、余計な枕詞は要らないよ、ということ

今回のケースはルアー竿に限らず石鯛竿などでも起こりえるが
石鯛竿のリールの足はステン板のプレスなのでフード内では点で密着してるような(実際はもうちょっと密着してるだろうが)固定に対してスピニングは全体的に面で密着してるような固定、オマケにステン板の地金に対して塗装された足が面で密着していると固着しやすい

フードナットはある程度締め込めば外れない
ましてアップロックはキャスト時なんかの握りでもナット部分は手に触れない
そして、今回の事例は
ライトロッドよりもヘビーロッドに特に多い
対象魚がデカかったり、アングラーのその日の意気込みがリールを締め込みにも現れる
しっかりしたロッド、しっかりしたリール、ラインも太めのおNEWで揃えて気合入って釣場に入る「よっしゃー、釣るぞー!」と言う気持ちが道具を組む時にだって現れたりしてリールだってギコギコ締め込んでしまう人が居る
結果、帰る時にリールを外そうと思ったら、ナットが壊れる(ココはそんな強度ないからね)
釣人の心理である

フードナットはそんなに締め込まなくても大丈夫
締め込み過ぎると、必ずと言っていいほど壊れます
ご注意下さい

たかがフードナットが壊れただけだが
修理(新品交換)となるとフードナットだけ交換できるものでない
まあ、パーツ類に囲まれてるから物理的に見てもそうなるわな
前から入れ替えるならほぼ前側全部、ケツから入れ替えるならケツ側全部、となるのは目に見えてる、魔法使いのように「プロだと何か上手いやり方がある」なんて思ってる人が稀にいるが、どう見たってムリなことを「プロ」だからといって裏技みたいな魔法があるワケは無い
周辺は分解してしまわないとイケナイのです

①分解する工賃も要る
②分解で壊したもの(バットキャップやグリップ材やその他)は新しい部品(部品代)も居る
③そられを使って分解した箇所すべて新しく作り直す工賃も要る

・・・たかがフードナット1個壊しただけで壊れた部分(見た目以上)の費用が掛かるのです
ご注意下さい


で、今回
「外道SPL」はブランクのテーパーがオスカー以上に急テーパーのためケツ側からはムリだろう、前側からやるんで免責額以外に〇円くらい掛りますと販売店さんにも伝えた(免責保証使ってもタダじゃないからね)んだが

いざ分解しようと思って見てみると
リールシートから後ろのほうが使用したキズが多い
「どうせなら、修理の際にキレイになったほうが良いだろ」と思い
深く考えず「ダメだったら前からやりゃイイ、ケツ側の作業はムダな作業になる(当然その分の部品や工賃はもらえない)けど」

そう思いケツ側を分解したが、やはりケツ側からはムリだった(^^;;

前側からやるため前側も分解に入る



最初っから前からやりゃあ、リールシートから前を分解すりゃ良かったんだが
「よかれ」と思ったばっかりに余分な作業と請求できない部品代まで掛ることになった
まして「免責保証書対応」なので利益など無いから請求できない余分な部品代まで使えば「損失」にしかならない

まあ、しかし
愛用してくれてるご贔屓さんを思って(と言えば自らカッコつけるみたいでイヤだが)
コチラが勝手にやったことなので致し方ない

コレがパーツ類

グリップは寸法にカットしただけなのでこれから削り出す

で、完成させる


交換パーツを挿入する為に外したバットガイドも復活


ロゴ部分も挿入の為に剥がしてしまったので復活させる


免責額6,000円で「裸のブランク」を保証というのがウチのやりかたなので
今回はブランク無しなのでブランクを補ったくらいの保証率を考えて6,000円の免責料で
新しい全パーツ代・・・0円
分解工賃・・・0円
組立工賃・・・免責保証にて半額対応(それを販売店さん経由なんでさらに〇掛け)

その〇掛けして得た額が実は・・・「約3,000円」

ウチの竿って、オーダーメイドでもあるし高い竿のイメージしか無いかもしれませんが
やってる本人は儲からないんですよ(^^;;;

って、こんなことやってっから儲からないのか・・・
いくら「客」とはいえ、もうちょいシビアにやればイイんだろうが
愛用してくれてる人には「できる限りコチラも尽くし」たい、ので
まあ、これはウチのやり方としてオレも変えるつもりもない

「お客様」と口では言っても対応は容赦ないシビアな対応がイイのか!?
口では「客」と雑な表現したり、常連の若い衆なんかには「〇〇」と呼び捨てだが店側の対応としては「人情」を入れたいのか!?
そこらへんは、経営者のスタンスの問題
ウチは小さいメーカーなんだから口は雑でも付き合いは「人情」を交えたい

うん、ちょいとカッコつけたかな(笑)