小細胞肺癌の治療は20年間ずっと進歩がありませんでした。抗がん剤も放射線治療もはじめはほとんどの症例で効果的、しかし、すぐ再発・再燃し平均余命は10か月、20年間ずっとそうでした。数年前に免疫チェックポイント阻害薬が世に登場し、3年ほど前に小細胞肺癌の治療にもわずかながら進歩がみられました。

免疫チェックポイント阻害治療は、例えるなら普通に生活しているヒト(正常細胞)の中から、普通の顔をしている悪人(がん細胞)を効率よく警察(細胞障害性T細胞)が見つけれるような治療法です。癌細胞はヒトの免疫機構から巧みに逃れる、悪者と認識されない機構を持っています。そのベールを剥いで、免疫機構に認識させ癌細胞を排除するのです。従来の抗がん剤との併用は、薬の相加作用ばかりではなく、抗がん剤が癌細胞を破壊するときにネオアンチゲン(新しい抗原)が生じることで免疫機構をより強く癌細胞に作用させるのかな?と私は勝手に思っています。

昨年の8月に従来の標準的抗がん剤治療であるカルボプラチン+エトポシド治療にイミフィンジ(Durvalumab)という免疫チェックポイント阻害薬の併用療法が小細胞肺癌に保険適応となりました。母の癌が発覚する直前に適応になったということは、何かの縁かもしれません。今回はこの治療法に賭けてみる(というより、他にあまり手がない)ことにしました。免疫チェックポイント阻害薬は一部の症例には非常に効きます。免疫の監視機構が一旦openになったら、ずっと続くのでしょうか?CASPIANというデータがあるのですが、従来のカルボ+エトポシド療法にDurvalumabを併用すると、半年までの生存率は変わらないのですが、長期になるにつれ差がでてくるようです(それでも小細胞は1年で1/2、一年半で1/3、二年で1/5ぐらい、それ以上の長期データなし)。

母はまもなく90歳と高齢(143cm、40kg)、さらにまずいことに、中耳炎をがまんしたために味覚障害で甘味が苦味に感じるみたい。味覚障害は食思不振にとっては非常に痛いポイントです。一応、1クール目の投与が1/21に終了、幸い悪心・嘔吐はなく無事終了。カルボとエトポシドはCASPIAN用量の最低量にしてもらいました。病院に感謝です。しかし、晩発性にやや食欲不振が出現しており、今は梅干しでご飯を流し込んでる状態。また、3剤投与から1週間が経過し、胸水の量は増加していませんが、白血球と血小板が低下してきました。いよいよ薬の殺細胞が始まった感じです。老体がどこまで耐えれるか、それにより今後の治療方針が変わってくる。母さん、信じてるよ、4クールまで頑張って。そのころには戻れるから。予定では1/29に退院予定だが、さて、、、