プロジェクト・レディー7- 精神は肉体を超越する | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車

  いよいよプロジェクト・レディ、第一段階の最終章が来ました。

 

 それは何かというと、スーパーハウスの内装が完成したという事は、トーゼン、2台のバイクを中に入れなければいけないという事です。

 車重195kg(タンクにガソリン満タンにしているからね。)のビューエルはまだしも、あの伝説級のカタナは車重254klg。

 

 前回もハウスから出して、第2ガレージの車庫に入れるまで、たった10メートルほどの緩い坂道で地獄を見たオヤジである。

 

  できれば、こんな事は2度としたくない。

 が、普段、人望の無いオヤジはこんな時は、助けになる人間はダレーモいない。(笑い♪)

 

 バイク乗りは自分の所持するバイクの取り回しを、やはり一人でしなければいけない。

 

 そもそも、オヤジは自身が59歳。もう老人の入り口に入っていると、勝手に勘違いしているのではないか??

 

 確かに数年前は、このイレブン・カタナを乗っていたわけだから、今の自分は年を取ったから、取り回しが出来ないと、勝手に思い込んでいるのではないか??

 

朝起きたオヤジはそんな考えが浮かんでいた。

 

「スピードの中で、精神は肉体を超越する。」

 

 これはあの伝説のバイクマンガで有名な、「ケンタウロスの伝説」(正確にはアラビァのロレンスのセリフらしいが。)で語られた言葉である。

 

 また、精神が肉体を超え始めたかと、スラムダンクでも、同じようなセリフがあったらしいが・・・・

 

 要するに、今のオヤジには精神力が先にきて、肉体はもう59歳という事を忘れていた。

 

 まずは朝から牛丼を2杯食べる。

 何故って??

あのクソ重たいカタナを動かすには、まずは爆発的なパワーが必要である。

朝食を食べないなんてもってのほか。

ゴリラ並みのパワーでカタナを動かしていくのである。

 

今日はあさから快晴。いきなり体が汗ばんできた。

第2ガレージのシャツターを開ける。

 鈍く銀色に光るカタナがそこにあった。

 

新しく作ったハウスの大きなサッシも全部取り払う。

 

地面と、ハウスの高さは丁度ブロック1個分の高さぐらいである。

 

 問題はこの高さをどうクリアするかである。

 

更に問題が一つ。

カタナの全長は225cm。

ハスの横の長さは約250cm

計算上は真っ直ぐ入れたらきちんと入るはずである。

 

まずは、簡単な橋を作って、軽い登坂にしてみた。

  後で入れるビューエルはこの橋が無ければ、腹を擦って中に入らないからである。

 

 早速、カタナをバックで第2ガレージから出す。

 

 はい。ここでいきなり問題が起きた。

 

 カタナが重すぎて、ここから先に登っていかないのだ。

しかも、一応、コンクリートにはなっているが、細かい砂利で、オヤジが踏ん張っても踏ん張っても靴が滑って、ちっとも前に進まないのだ。

「うぉーーーーーーーっ!!」

「精神は肉体を超越する!!」と、いくら叫んでも、カタナは1cmも前に進まなかった。

 

 逆にブレーキを離したら、その反動で5cmぐらいはバックしていった。

 

格闘する事30分以上。

 

 その中でオヤジは、ブレーキを離してバックしたカタナの反動を利用して、体をカタナに被せながら覆いかぶさったら、ほんの数センチ前に進む事を覚え始めた。

 

 まさに3歩進んで2歩下がる状態である。1回に1歩進めば、確実に回数さえこなせれば、前に進み始める。

 

 こうして、たった数メートルの軽い登坂を、かなりの時間をかけて、カタナは平地迄上り上げた。

 体重を利用して押すことを覚えたオヤジは平地から最後の難関の橋まで一気にカタナを動かした。

 

 

 少しの間一休みするオヤジ。

 

 うーーん。やっぱ、カッコええわ!!カタナ!!

 

今でもその色あせないデザインに、しばらくの間、オヤジは見とれていた。

 

 カタナがデビューした当時は、大型バイクは限定解除でしか免許は取れなかった。

 その合格率の低さは、あの東大の合格率よりも低いと聞いたことがある。

 

 当時、バイク乗りであったオヤジは当然、限定解除に挑戦したが、半年間、会社を休まないでチャレンジしたものの、あまりの難関で、試験の前の取り回しの事前審査でさえ受けれないで、挫折したオヤジであった。

 

 カタナはいまでもオヤジの中では、どんなに努力しても一生乗れないバイクという、神々しい存在なのだ。

 だからバイクを降りた今でも、カタナは手放さないで置いているのだ。

 

少し休憩したら、体の調子も戻ってきた。

 

 今なら何だか一気にハウスまで入れれそうな気がした。

オヤジは深呼吸を数回行い、一気にカナタのハンドルをつかみ、押し出した。

 サッシの入り口で、フロントが1回止まったが、かまわず、ゴリラ並みのパワーで無理やり押し入れた。

 

 よし!!これでもう大丈夫!!

 

 最悪、体力が無くなれば、ビューエルは今度の休みしようと思ったら、気が楽になった。

計算上はギリギリにハウスにカタナは入ったが、やはり後輪が窓から出ている。

 

ここで、オヤジはまた、ビューエルを入れるために、カタナを横にずらそうと考えた。

 

 

  ここで、オヤジは重大なミスを犯したことに気がついた。

カタナはあのデザイン上、ハンドル角が小さい。

 

 実際に通常の道路ではUターンは出来ない程の、切れ角の無さなのだ。

 

更にハウス内のストロークの無さも、カタナの移動の困難さに拍車をかけた。

 横のサッシも開けながら、カタナのフロントタイヤを外に出しながら徐々にカタナを反転させたのだが、どうしても、大きなサッシについているハウスのフレームが邪魔をして、ここでカタナの反転が、万策尽きた。

あまりの難しさに、しばし呆然とするオヤジ。

 あと数センチ、カタナの後ろが横にズレてくれたらなぁ。このフレームを避けられるのに・・・・

と、そこでへたりこむオヤジ。

 

 すると、オヤジの中で、またまた精神は肉体を超越する!!という言葉が聞こえてきた。

 

 オヤジはおもむろに、カタナの後部フレームを持ち上げた。

254kgといえども、人間、片側を持てば130kgぐらいである。

 ほんの数ミリだけ、カタナの後部が持ち上がった。

ここで止めたら、2度と持ち上がらないと思い、オヤジは何度も、何度も繰り返してカタナを持ち上げては降ろすことを行った。

すると、カタナの後部はほんの数センチずれて、何とかフレームから避けることが出来た。

 

 

 1時間以上もかけて、何回も末切りを行い、カタナをずらして、ようやくビューエルを入れれる空間を作ったオヤジであった。

 

 あの一番の問題のカタナの移動が終ったので、安心したオヤジは今度は、ビューエルを入れる事にした。

 

 多分、カタナで体力を使い果たしたのであろう。

なんとビューエルの時は、カタナが一発で登った、橋を登り切る事が出来なかった。

が、所詮、200kg以下の軽いバイク。

無理やりパワーで橋を登り切らせたオヤジであった。

 

 

 こうして、ようやく目的の2台のバイクを、第一ガレージのハウスに収める事に成功したオヤジであった。

 

 

 PS:やはり精神は肉体を超越したら、どこかに無理が来ますね。昼から体中の筋肉が、ただいま悲鳴を上げています。(笑い♪)

 

 いゃーー。もうあんなこと2度とやれって言われても、やりませんねぇーーー。(笑い×2♪)

 

 

 

 

 

よかったら、こちらのブログにも、遊びに行ってみてください。