駆け抜けろ!!AW10!!20代の煌めきを取り戻せ!! | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車




1・駆け抜けろ!!AW10!!

20代の煌めきを取り戻せ!!



 人は誰しも20代の頃に見た物、感じた物に影響を受け続ける物である。


 オヤジにしてしかり、オヤジの友人Kにしてもしかりである。


 1980年、オヤジの19歳のころに、彗星の様に現われた「ケルンの衝撃」と呼ばれた、GSX1100S通称カタナから遅れる事4年。日本である1台の衝撃的スポーツカーが誕生した。


 AW10・AW11型=通称TOYOTA   MR-2  そう、日本が初めて後方エンジン方式のミッドシップを搭載させた車であった。


(※調べたら1500ccのエンジン搭載車がAW10で、1600ccのエンジン搭載車がAW11みたいですね。)


 歳をとった後のはまったものは恐ろしいという。オヤジの友人Kもその一人であるが、彼は若い頃苦労に苦労をかさね、ようやく今、子供達にも手がかからなくなり、これからの楽しみは何かな?という事で、気が付けばカーライフにどっぷりとはまっている人生となっている。オヤジが知っている限りでも、今の新車のアクセラの他に、ジムニー+ワゴン車⇒ジムニー+カプチーノ⇒コペンのみと、たった一人で軽自動車ながらも、同時に2台から3台所持している友人である。


 先日、そんな彼から一通のメールが来た。

 


(土曜日の休みに、問題なければ池田のドリカム資料館に行かないか?)

(そうだな。あまり子供達の事をやっていると、自分の事も出来なくなるから、その日はOKだよ。)

(よし!!決まりだ!!)

(そういえば、お前の自慢のコペンで行くと、ブログのネタになるから、コペンで行こうぜ!!)

(実はコペンは今、道路に空いていた穴にタイヤを落として、ホイルを1本ダメにしたから、コペンでは行けないんだ。)

(そうか、実に残念だな!!それではいつものアクセラで。)というように話が決まった。

 

 そして、その話が決まった後、オヤジはある一つの行動に出た。


そして当日の今日。彼が迎えに来る30分前に彼の家に行ったのだ。


(おはようさん。ちよっと外出て見ないか?)少しして彼は不思議そうに自分の家から出てきた。



 オヤジの持ち出してきた車を見て驚く友人K!


「オヤジ!!この車(AW10)・・・いったいどうしたんだ??」

「うん。バイクを売って買った。」

 

「というのは冗談で、お前、前からこの車に乗りたかっただろう。」


(友人Kは最近、旧車に興味を持ち出し、このAW10も30年前の20代の頃に、友人に借りて少し乗って以来、憧れていた車であった。)

 


「うん。」

「だから、コペンが使えないと聞いて、この車のオーナーのS車輌から借りてきた。」

「良いのか?」

「ああっ。だけど、絶対に事故だけは起こすなよ。起こしたら二人で弁償ものだからな。」と、オヤジは声、高々にそう言いAW10のキーを友人Kに渡した。


 天気は雨模様であるが、AW10のキーを渡された友人Kは早くも嬉しそうである。


 AM:8:00 いよいよ出発の時である。

友人Kは30年ぶりに乗るAW10に感慨深くエンジンキーをひねる。


ドリュドリュドリュ・・・・ドドドドド!!

 


 

 AW10のマフラーは小型車には似合わず、図太い排気音を辺り一面にまき散らした。


 こいつは2シーターミッドシップという小型な車体に、1500ccの排気量を積み込んだ当時は第一級の戦闘マシンだったのだ。

 


「おやじ!!最高だ!!最高だよ!!」友人Kは嬉しそうに軽やかにAW10を運転していた。

「おい!はしゃぐのは良いけど、こいつが使えないから、どこに警察がいるか判らないぞ!」と、あわててオヤジはあるものを指差した。





 先ほどオヤジの車から取り外して、急きょAW10に付けたカーレーダー。

 しかし、シガーライターの取り付け部分が調子が悪いせいか、ウンともスンとも言わず、ついには取り付け金具まで壊れたカーレーダーがそこにあった。


 実はオヤジ達の悪夢はここから始まっていたのだが、今のオヤジ達には知る由も無かった。

 


2悪夢のAW10。呪われたMR2。

 



 しかし、友人Kの興奮はしばらく収まらず、高速道路並みの速度を出して、トイレと、ドリンクタイムを行うために陸別に着いた。




 昔の車は集中ドァーロックなんかついていないから、オヤジに指摘されあわてて助手席のドァーにもカギをかける友人K



「うぴょぴょ♪俺のAW10!!サイコーーーー♪」

 



 30年ぶりのドライビングのあまりの嬉しさに、友人Kは気のせいかスキップをしながら陸別の道の駅に消え去った。

 









 オヤジは当時、このAW10が出たときに、あまりのデザインのダサさに毛嫌いをしていた。ミッドシップは認めていたけど、どうしてもこの野暮ったいデザインが気に入らなかったのだ。

 

 

 そして30年の年月が経ち、いまオヤジの元に再び現れた時、この古臭いデザインが妙に心を揺さぶったのだ。

 


 後で友人Kからユーノス・ロードスターかこいつを借りるとき、何故こちらにしたかを聞かれたのだが、オヤジは平然とこう答えた。

 「ロードスターはどこでも見れるけど、AW10は滅多に見られないだろう!!」そう、オヤジもミーハーなハッタリ野郎であったのだ!!


 そうこうしているうちに前回見逃した池田のワイン城下のドリカム資料館に到着!!







「うぴょぴょ♪俺のAW10!!サイコーーーー♪」

 


 


 

 今度はオヤジは友人Kの影響を受け、ドリカム資料館へスキップをしながら入っていく。

 


 ドリカム資料館の入館料は・・・な・なんと無料であった。太っ腹なドリカム資料館である。


 約10分ほど見てから出てくる。「オヤジ。実はオレ、池田のワイン城って、今まで一度も見たことが無いんだ。」と、少し恥ずかしそうに友人Kはオヤジに言った。

「そうか。それならワイン城はすぐ上だから、早速見に行こう。」

 


 




暗闇の中、フラッシュたかないで、撮影したからボケているのは勘弁ね。






ここも、約30分ぐらい見学して終了。


「これで、今回のドライブの目的は達したけど、これからどうする??オヤジ!!」

「うーーん。せっかく帯広までやってきたから、少し走ってバイク資料館と、十勝サーキット場を見てみるか?」

「K。お前はどこに行きたい??」

「うん。六花亭とクランベリーというスイーッ屋にお土産を頼まれたからそこに行ければ良い。」という事で、一番近い場所の六花亭から行く事となった。


そこからがAW10の悪夢の始まりだったのだ!!

 


3 突然の出来事!!悪夢の始まり!

 


帯広に向かう途中から雨から天候は回復して、快晴と変り温度がみるみるうちに上がり出してきた。そして帯広に入った途端、


ガラガラガラ!!ドシャーン!!

 


   いきなり周りから道路工事を行っているような音が聞え出してきた。

「おい。オヤジ!!何か車から音がしなかったか?」心配そうに尋ねる友人K。

「うん。旧車ですから。」

 

 そのころからであった。AW10のアイドリングがだんだん不調になり、信号待ちの時にはついには400回転以下となっていた。

 




「おい。オヤジ!今、スカイラインのジャパンが停まっていなかったか??」

「うん。旧車ですから。」


ここで、第一の目的地、六花亭に到着!!





 

ここで、友人Kは姉からの頼まれ物と、オヤジは子供達と、今回、車輌を提供してくれた、S車輌の為におみやげを買う事にする。そして次の目的地のクランベリーに向かう途中の事であった。


 交通量の多い交差点でいきなりAW10のエンジンがストール(止まる。)したのだ。


「オヤジ!!やばい!!いきなりアイドリングが低くなって、エンジンが止まった!!」と、あわてる友人K。

「旧車ですから。」相変わらず、返事一辺倒の答えのオヤジである。


 友人Kはあわてながらも、セルを回し、再びエンジンをかけ直す。

「アイドリングが効かないなら、少し吹かし気味ならどうだ?」

「うん。それならまだ大丈夫だ。」と、言う事で、急きょオヤジと友人Kは頼まれ物のスイーツのあるクランベリーに行った。




お土産も無事買い終わり、


「これからどうしょうか?」

「うん。まずは飯を食おう。」と、何事の一大事でも、食事が一番大切なオヤジである。


と、言う事で帯広のとある回転寿司屋さんにて昼飯。



 

食事後、Kが両方のドァーを開けていたので、何をしているのか聞いたら、エンジンを冷やすためにドァーを開けっ放しにしたらしい。

(おい。友人Kよ。エンジンルームを開けないと意味無いぞ!!)だけど、エンジンルームを開けるレバーって、考えたら見あたら無いし・・・・・





 

4 ボロボロの帰宅。

 



  そこで、オヤジ達はこれからすぐにエンジンが生きているうちに帰れるだけ帰る作戦に出た。道中は何事もなく走り続けたAW10だったが、
池田の隣町の本別に入った途端にAW10はまたもや信号待ちで止まってしまったのだ。

「やばい!!やばい!!また止った!!」

「うん。旧車ですから。」と、またもや同じ答えで平然と答えるオヤジ。

 

 しかし、まだ奇跡にエンジンはかかる。すぐにエンジンをかけてから走り出す。このころになったら友人Kは旧車ってこんなものなのか?とつぶやいた。


「考えてもみろよ、当時の中古車って、大抵は長距離を走ったらエンジンがかからなかったり、真冬の朝は一発でエンジンかからない車ばかりだっただろう?」

「そうだな。そういえば、真冬にはエンジンがかからなくて苦労したよな。」


「大体、普通の車で帯広に行ってきても、大した感動はないけど、こいつで行って来たら、普通に帰ってこれただけでも、もうMAKE DRAMAでないか!!」


 そう言いながらオヤジと友人Kは当初の予定の帰宅時間よりも大幅に早い4時前には友人Kの家に着いたのだった。


「今日はありがとうな。オヤジ。おかげで憧れていた車に乗れて今日は大満足だ。」


「だけど、旧車を持っという事はこういう事か??こんなに手間暇がかかるなら、やはり旧車に手を出すのは安易に考えたらいけないな。」


「そうだよ。K。本当にこの車が好きで好きでたまらなくて、たとえ壊れてても何年かかっても直して乗りたいっていう人だけでなければ、旧車は手を出したら痛い目にあうんだ。」


「だけど、オヤジ、オヤジはそれを覚悟の上で、カタナに乗ったんだろう??」


 そういうKに対してオヤジはキラリ!!と輝いた目を向けて!!


「ふふふふ!!俺はカタナに乗るとは言っていないだろ。カタナを持っている。と言っているだけだろう。」

 

 と、元祖盆栽ライダーの本領を発揮した。