さて、前回のブログでは、我が愛機レディ9とのラスト・ランが雨でおしゃかとなった。と書いていたが、実は密かに今日の休みで本当のラスト・ランにしょうと決めていたオヤジであった。
しかし、現実は残念なことに昨日の夜から土砂降りとなっていた。
「やはり、明日も雨か・・・・・」窓から暗い夜空を見上げながら、オヤジはため息をついていた。
そして今日。窓から外を見ると・・・・・やはり雨が降り続いていた。
「いよいよ、冬眠だな。」と、オヤジは決意した。
午前中にいつものように用事をたし、昼から午前中に購入した水抜き剤を用意した。
携帯燃料タンクにガソリンをいれて、レディのタンクを満タンにするためである。
ふと、空を見上げると・・・・・・
相変わらずどんよりとしている曇り空であるが、いつの間にか雨が止んでいた。
「おおっ!!これは最後のチャンスだ!!」
オヤジは慌ててガレージからブーツと、グローブを用意した。
今年最後に身につけるヘルメットは、もちろん、オヤジの宝物のモンザのシンプソンM-30もどきだ。
初めてバイクの免許をとってから、30年以上経つヘルメットであるが、どうしても今年の最後の記念にかぶりたかったのだ。
急ぐので、今日はバトルスーツは無しで、普通のジャケツトを着て、レディ9のエンジンをかける。
キューーーーン。電磁ファンが周りHD譲りの力強いエンジン音が響く。
ドゴッ・ドゴッ・
ドーーゴーーッ!!
思えば1ヶ月以上前に主(あるじ)さんとのツーリングに行ったぐらいしか、まともにはこいつに載っていなかった。
しかし、レディは自分の出番を待ち構えるように、静かにオヤジの事を待っていてくれた。
そして、ゆっくりとオヤジは走り始めた。
目指すは4キロ先の馴染みのガソリンスタンドである。
こいつとのラスト・ランはそこのガソリン・スタンドと決めていた。
相変わらず、低速では不機嫌なエンジン。
初めてこいつと出会った時は、あまりのこの不機嫌なエンジンとすごい振動にビックリして、思わず購入したことを後悔したほどであった。
町から外れて軽くアクセルを吹かす。
たちまち急激加速がオヤジ襲い、頭がシェイクされる。
オヤジの胸に去来したのは、今年コイツと出会って、初めてバイクが楽しい。と感じられた思い出の数々であった。
「今年、一年。本当にありがとうな。レディ。」
天気は相変わらずどんよりして、冷たい風が吹いていたが、不思議とオヤジは寒いと感じなかった。
レディ9の有機的エンジン音は、時折不規則になっている。
そして、あっという間に目的地のガソリンスタンドに着いた。
ハイオクを入れたら、たったの3.3ィッターしか入らなかった。
馴染みのスタンド・マンが、「これから、まだ走るのですか?」と話しかけてきた。
「いや。もうこれで今年は最後です。このままガレージに入れます。」
「それでは、また。」
キュルキュル!ドガーーーツ!!
ドガッ!!ドガッ!!
ドガッ!!
オヤジがレディ9のエンジンをかけると、見た目の小ささから出る意外と大きな音。
しかもオヤジ族の憧れのHDに似ている音がして、隣のガソリンを入れている人が驚いて、思わず、オヤジのレディ9を見つめていた。
それはそうだろうなぁーー。バイクに興味がない人なら、オヤジのレディ9の小ささに、原付バイクと思う人が多い中、こいつの音を聞いたら、まさか1000ccもあるバイクだとは、誰も思わないだろうなぁーー。
オヤジはスタンディング・ライドをしながら(つまり立ちながら運転ってことね。)、ガソリンスタンドから道路に出て、一気にレディ9をフル加速した。
バゴーーーーーーーーンーーーー!!
と爆音があとに残さtれていた。
そして、初めて曲がった90度レフトターン。
初めて曲がった時は、レディが寝ないで曲がりきれなかったので、慌てて急ブレーキをかけたのであるが、今日は自分の思うようなコーナーリングが出来る。
しっかり車速を落とし、意識的に体を左に傾ける。
コーナーをクリァしたあと、またアクセルを吹かす。
本当にこいつはいいバイクだ。
ビューエルは振動が激しい??欠陥だらけ??すぐに壊れる???
誰が何といっても、オヤジには一番良いバイクだと感じられる。
町に入りオーバースピード気味に、交差点にオヤジは入った。
「まずい!!曲がりきれない。」
さらに強くフロントと、リァのブレーキを入れた。
途端に、125cc並の小さな車体がきしみ、波をうち始める。
完全にオーバースピードであった。
しかし、こいつの特徴のマスの重心化による低重心と、250cc並の軽さて、オヤジは難なく暴れる車体を押さえつけ交差点を曲がった。
「本当にありがとうな。オヤジが今まで事故を起こさなかったのは、お前のおかげだよ。」
こうして、無事にレディ9とのラスト・ランは終えることができた。
そして、そのまま冬眠のためにガレージに入れる・・・・・・が、どうしてもガレージに入れる段差を乗り上げる事ができない。
「????今年の4月は簡単に入ったのに、どうしてだ??」
「まさか、体力が落ちたのか??」
「それともレディが入るのを嫌がっているのか??」
と、よくよく足元を見たら、サンダルを履いていた。
これなら足元を踏ん張ることができないので、普通の靴の履き替えてもう一後チャレンジ。
これから、オヤジの住む北海道は加速度的に冬に向かって季節は進む。
「また、来年までお休みな。レディ9。」
そう言って、オヤジはそっとガレージの扉を閉めた。
ふと、空を見上げると再び悲しい雨が降り始めていた。