冬眠。お休みレディー。 | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車

さて、前回のブログでは、我が愛機レディ9とのラスト・ランが雨でおしゃかとなった。と書いていたが、実は密かに今日の休みで本当のラスト・ランにしょうと決めていたオヤジであった。

しかし、現実は残念なことに昨日の夜から土砂降りとなっていた。

「やはり、明日も雨か・・・・・」窓から暗い夜空を見上げながら、オヤジはため息をついていた。


そして今日。窓から外を見ると・・・・・やはり雨が降り続いていた。

「いよいよ、冬眠だな。」と、オヤジは決意した。



真・キリンに憧れて!!                                     最狂伝説!!


 午前中にいつものように用事をたし、昼から午前中に購入した水抜き剤を用意した。

 

 携帯燃料タンクにガソリンをいれて、レディのタンクを満タンにするためである。

 ふと、空を見上げると・・・・・・


相変わらずどんよりとしている曇り空であるが、いつの間にか雨が止んでいた

「おおっ!!これは最後のチャンスだ!!」


 オヤジは慌ててガレージからブーツと、グローブを用意した。

今年最後に身につけるヘルメットは、もちろん、オヤジの宝物のモンザのシンプソンM-30もどきだ。

 初めてバイクの免許をとってから、30年以上経つヘルメットであるが、どうしても今年の最後の記念にかぶりたかったのだ。

急ぐので、今日はバトルスーツは無しで、普通のジャケツトを着て、レディ9のエンジンをかける。



真・キリンに憧れて!!                                     最狂伝説!!



真・キリンに憧れて!!                                     最狂伝説!!



キューーーーン。電磁ファンが周りHD譲りの力強いエンジン音が響く。


 ドゴッ・ドゴッ・

ドーーゴーーッ!!


 思えば1ヶ月以上前に主(あるじ)さんとのツーリングに行ったぐらいしか、まともにはこいつに載っていなかった。


 しかし、レディは自分の出番を待ち構えるように、静かにオヤジの事を待っていてくれた。


そして、ゆっくりとオヤジは走り始めた。

目指すは4キロ先の馴染みのガソリンスタンドである。


こいつとのラスト・ランはそこのガソリン・スタンドと決めていた。


相変わらず、低速では不機嫌なエンジン。


 初めてこいつと出会った時は、あまりのこの不機嫌なエンジンとすごい振動にビックリして、思わず購入したことを後悔したほどであった。


 町から外れて軽くアクセルを吹かす。

たちまち急激加速がオヤジ襲い、頭がシェイクされる。


 オヤジの胸に去来したのは、今年コイツと出会って、初めてバイクが楽しい。と感じられた思い出の数々であった。

「今年、一年。本当にありがとうな。レディ。」


天気は相変わらずどんよりして、冷たい風が吹いていたが、不思議とオヤジは寒いと感じなかった。


レディ9の有機的エンジン音は、時折不規則になっている。


そして、あっという間に目的地のガソリンスタンドに着いた。


真・キリンに憧れて!!                                     最狂伝説!!

 ハイオクを入れたら、たったの3.3ィッターしか入らなかった。

馴染みのスタンド・マンが、「これから、まだ走るのですか?」と話しかけてきた。

「いや。もうこれで今年は最後です。このままガレージに入れます。」

「それでは、また。」



キュルキュル!ドガーーーツ!!




ドガッ!!ドガッ!!

ドガッ!!


 オヤジがレディ9のエンジンをかけると、見た目の小ささから出る意外と大きな音。

 しかもオヤジ族の憧れのHDに似ている音がして、隣のガソリンを入れている人が驚いて、思わず、オヤジのレディ9を見つめていた。


 それはそうだろうなぁーー。バイクに興味がない人なら、オヤジのレディ9の小ささに、原付バイクと思う人が多い中、こいつの音を聞いたら、まさか1000ccもあるバイクだとは、誰も思わないだろうなぁーー。


オヤジはスタンディング・ライドをしながら(つまり立ちながら運転ってことね。)、ガソリンスタンドから道路に出て、一気にレディ9をフル加速した。


 バゴーーーーーーーーンーーーー!!


と爆音があとに残さtれていた。


そして、初めて曲がった90度レフトターン。

初めて曲がった時は、レディが寝ないで曲がりきれなかったので、慌てて急ブレーキをかけたのであるが、今日は自分の思うようなコーナーリングが出来る。

 しっかり車速を落とし、意識的に体を左に傾ける。

コーナーをクリァしたあと、またアクセルを吹かす。


 本当にこいつはいいバイクだ。


ビューエルは振動が激しい??欠陥だらけ??すぐに壊れる???


 誰が何といっても、オヤジには一番良いバイクだと感じられる。


町に入りオーバースピード気味に、交差点にオヤジは入った。

「まずい!!曲がりきれない。」

さらに強くフロントと、リァのブレーキを入れた。


 途端に、125cc並の小さな車体がきしみ、波をうち始める。


完全にオーバースピードであった。


 しかし、こいつの特徴のマスの重心化による低重心と、250cc並の軽さて、オヤジは難なく暴れる車体を押さえつけ交差点を曲がった。


「本当にありがとうな。オヤジが今まで事故を起こさなかったのは、お前のおかげだよ。」


こうして、無事にレディ9とのラスト・ランは終えることができた。



真・キリンに憧れて!!                                     最狂伝説!!


そして、そのまま冬眠のためにガレージに入れる・・・・・・が、どうしてもガレージに入れる段差を乗り上げる事ができない。


「????今年の4月は簡単に入ったのに、どうしてだ??」

「まさか、体力が落ちたのか??」

「それともレディが入るのを嫌がっているのか??」


真・キリンに憧れて!!                                     最狂伝説!!

と、よくよく足元を見たら、サンダルを履いていた。

これなら足元を踏ん張ることができないので、普通の靴の履き替えてもう一後チャレンジ。


あっさりとレディはガレージに収まってくれた。
真・キリンに憧れて!!                                     最狂伝説!!


真・キリンに憧れて!!                                     最狂伝説!!


真・キリンに憧れて!!                                     最狂伝説!!

真・キリンに憧れて!!                                     最狂伝説!!

真・キリンに憧れて!!                                     最狂伝説!!

 

 これから、オヤジの住む北海道は加速度的に冬に向かって季節は進む。


「また、来年までお休みな。レディ9。」


 そう言って、オヤジはそっとガレージの扉を閉めた。




真・キリンに憧れて!!                                     最狂伝説!!


真・キリンに憧れて!!                                     最狂伝説!!



 ふと、空を見上げると再び悲しい雨が降り始めていた。




真・キリンに憧れて!!                                     最狂伝説!!



人気ブログランキング