やばい、全く更新していない。。

本を読む時間と、それを書く時間の空きを少なくさせないといけないな。
間が空きすぎると書くのがおっくうになってしまう。

反省して、GW後半に時間をつくる!
「習慣で買う」のつくり方/ニール・マーティン

¥1,680
Amazon.co.jp

(評価)★★★★★

(書評)
マーケティングに必要な観点は何なのだろう。
本書を選んだ理由は、最近心理学などで深層心理に基づく人の行動に興味があるからだ。著者は認知心理学と脳科学を取り入れたニューロマーケティングの研究を重ねた人である。
どうすれば、商品を購入してもらえるのだろう。それは、表面的なことではなく、もっと深いところまで刺激してこそ分かるものだと感じた。

私が本書で学んだ視点は大きく3つある。
1.人が購買するときの行動基準
➡人はあまり考えずにモノを買っている。それは、アンケート調査至上主義でのマーケティングで出てこない視点である。

2.「習慣」に着目した、購買を促すしくみ
➡イメージで訴えることの大切さを学ぶ。言語化された情報を理解してもらうのではなく、映像などの右脳的な観点に着目することが大切だという視点を得た。

3.新たに「習慣」生み出すべきポイント
➡消費者は新たな商品に対しての習慣を作り出すとき、習慣を変えるときのルールがある。これは、全体の流れを俯瞰する視点が必要となる。

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土居栄司の書評からhttp://eliesbook.co.jp/review/『「習慣で買う」のつくり方』ニール・マーティ
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以下、備忘録
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■判断脳、習慣脳の特徴
・判断脳:優れた能力を持つが、一度に一つのことしか考えられない。
・習慣脳:何度も経験していることは習慣脳に任せる
➡これまでにない状況であれば、判断脳が自ら対処するが、「これは以前にうまく対処したことがある」と認識すれば、習慣脳に任せてしまう。そして次からは、習慣脳が自動的に対処する。

■顧客を維持するために知っておくべきポイント
1.顧客の言動ではなく、行動に着目すること。
➡習慣は行動の繰り返しから生まれ、時間をかけて確立されていく。だが言動は一時的なものであり、そこから行動を予測することは難しい。
2.判断脳は論理や意見を通じて磨かれるが、習慣脳は、同じ結果が生じる行動を繰り返すことで育まれる。
3.顧客が判断脳で考えていると、他の商品に乗り換えられやすい。
4.競合他社から顧客を奪うためには、その顧客の習慣を壊さなければならない。

■現実的には、私たちの行動の大半は習慣脳に支配されている。なぜ買ったのか自分でも分からないが、自分の意志で買ったと信じて疑わない。だから、買った理由を尋ねられると、もっともらしい理由を作り上げる。

■消費者が新商品を試したくなるときは3つ
・バーゲンモード
・口コミモード
・バリエーションモード

■消費者の習慣になっているルールを理解すると、そのルールに従って行動を起こさせるためにはどうすればいいか、またはルールを壊すにはどうすればいいかが見えてくる。

■アンケート調査の落とし穴。
・購買行動は、習慣脳、判断脳の両方に誘発されるが、アンケート調査では影響力の弱い判断脳にしか接触できない。目的や好みを軽んじるわけではないが、強い習慣が確立されている状態では、その行動を引き起こす合図の方が行動を支配する。

■感情は、覚えておくべき情報を脳に伝え、記憶を思い出す手伝いをする。また、何かを決断するときにもなくてはならないという。
➡最近の調査で、判断脳のはたらき、それも情報の選択、変換、引き出しに関する働きに感情が大きく影響することが明らかになった。
➡実は、「これは関心を向けるべきだ」と教えてくれるのは、主に私たちにわき起こる感情だ。私たちは、一瞬のうちに何千という刺激や情報を感知するが、その中で「特別なものはこれ」と脳に伝えるのが感情なのだ。
➡悲しみ、喜び、愛情、後悔といった感情は、他社との共感や一体感を生む。

■ノイズではなく、関心を引く存在になるためには・・・
・カギを握るのは感情。感情は、覚えておくべき記憶を選別するだけではなく、その記憶を感情の種類と強さで分類し、長期にわたって脳に保持するという重要な役割を担っている。

■人間は、言葉で考えるのではない。まず頭にイメージを思い浮かべ、そのイメージを言語に置き換えるのだ。言語化された思考は、実際の思考より見劣りする。

■ミラーニューロンは、言葉にできない深いレベルのコミュニケーションを図っている。

■古典的ではあるが、何かを伝えるために同じ情報を繰り返し発信するという手は、脳の仕組みからみてもやはり有効だ。関心のない消費者に覚えるまでメッセージを繰り返すとなると莫大な費用がかかるが、それでも多くの企業がやめないのも一定の効果が見込めるからだ。
➡ストーリーや比喩を用いたり、人の感性に訴えたりすれば、効果は更に増す。
・赤ん坊、美形のモデル、子犬などの写真を使えば消費者の目を引くことができる。だが、広告として機能するさせるには、そうした写真と商品に何らかの関連性がなければならない。

■「消費者は商品の特徴を見て合理的に判断を下す」という思い込みを捨てる必要がある。彼らは、商品のメリットとデメリットをリストアップするようなことはしない。たいていは、あっという間に何を買うかを決める。その短い時間に本人の意識しないところで決断にいたる活動が行われているのだ。
➡自社商品を消費者の判断に入れてもらいたいなら、彼らが購入を決める際のルールを理解すること。そして、そのルールに合ったやり方で商品メッセージを伝えること。さらにそのとき、消費者の感情を動かす何かを添える。

■人は、良い気分のときのほうが、嫌な気分のときよりも多くのことを記憶するという。例えばテレビCMなら明るい話題の後に流れた方が、悲しいニュースの後に流れるよりも覚えてもらえる確率が高い。

■日常的な習慣に類することは無意識(習慣脳)が処理しているが、初めてのものごとには顕在意識(判断脳)があたる。

■消費者の頭の中をこちらの都合のいいように操作することは難しい。だが、消費者がカテゴリー分けするときのルールを理解すれば、それをポジショニングに反映させることができる。

■最初の段階で三つも四つも選択肢を並べていては、その時点で消費者のワーキングメモリにかなりの負荷を与えていることになる。

■IPodが普及した経緯を詳しくみていくと、商品力の高さや価格ではなく、消費者の習慣を変える力が、成功の基盤を築いたことが分かる。

■満足度調査至上主義になってはいけない理由・・・
・「買うつもり」という言葉と実際の購入に相関関係はほとんどない。(人間の行動の大半は習慣脳に支配されているから)
➡消費者向かって満足しているかどうかを尋ねると、彼らの中の判断脳が得意顔で、買いもの時の状況や食事の内容、映画の内容などを振り返る。そのような評価の仕方は極めて不自然なのだが、私たちはみな、それが正しい方法だと思い込んでいる。満足していると答えた顧客に、次の機会も利用するかと尋ねれば、「利用する」と答える。だが実際に「次の機会」が訪れたときは、習慣脳の影響を受けるのだ。

■スターバックスの成功要因から、マーケティングの目標に掲げるべきもの、それは「これからは顧客満足度ではなく、顧客の習慣度を追求すべき」である。

■判断脳と習慣脳の切り替えどき・・・
・自社商品も他社商品も使っていない消費者➡初購入までは判断脳が大きく影響する。
➡一般に消費者は商品の細かい特徴にはほとんど関心を向けない。だが、価格、商品の性能、カスタマーサービス、パッケージなど、どれか一つでも気に障るようなことがあれば習慣化が中断され、判断脳が顔を出す恐れがある。

■使い勝手に注目!消費者がそれを使うときにどんな動きをするかにフォーカスすること。
・使い勝手がよければ使い続けてもらえる。
・オプションを増やしすぎない。
・手順が多いと習慣化は遠のいていく。

■習慣を生むためには、直感的に操作できる商品を作るか、利用者に使い方を教え込むしかない。教え込む場合、いくつもの手順が必要になる操作は嫌われる。操作手順の極力単純化させなければならない。
➡利用者が使い方に慣れるような工夫。
➡市場で成功するかどうかは、その商品の使い方を体が覚えるくらい頻繁に使ってもらえるかどうかにかかっている。どうすれば使い勝手が良くなるのかを熟考しなければならない。
➡それに加えて、利用者が気軽に使い方を尋ねられる環境を整えること。「分からなければ尋ねればいい」という意識を植えつけることも大事なポイントだ。
※カスタマーセンターの充実

■本当に意識すべきことは、「消費者に何をしてもらうためにその商品を生み出したのか」を周知徹底させること。

■消費者に習慣的に使ってもらうという目的を見失わずに商品を市場に届ける人が、社内には絶対必要。
➡組織を管理しやすい大きさに分けて作業を分担させるとき、私たちは判断脳で考えている。だがそうすると、商品のこともつい判断脳で考えてしまい、習慣脳はその犠牲になる。組織を分割して作業を割り当てなければならないと考えているときに、習慣脳に受け入れやすい商品をつくることが大切だとはなかなか思えないものなのだ。

■新商品のポジショニングの難しさ・・・
・消費者の頭の中にすでにあるイメージに上手くリンクさせると同時に、ある程度の新しさも打ち出さなければならない。
➡そんな中、「○○でないもの」というポジショニングで新商品を打ち出すのは、一つの手である。
例)ミニバン:「ステーションワゴンでない車」
➡ミニバンがヒットした要因は、消費者の頭の中にあるイメージとうまく結びつけることに重点を置いていたという点。
➡イメージは、判断脳にも習慣脳にもあって、感情と密接なつながりも持っている。そのイメージをさまざまなきっかけで呼び起こし、巧みに活かせる商品はヒットする!

■判断脳にも習慣脳にも新商品を意識してもらいたいなら、ストーリーやトレードマークも用いるのも効果的だ。そうすることで、消費者の頭に商品イメージが描かれやすくなり、ひいては行動を変えることにもつながる。
➡ストーリーを使う場合のポイントは、ストーリーにいかにうまく商品を織り込むかである。

■イメージづくりのストーリーとトレードマーク・・・
・ストーリーは、どういう目的でこの商品が世に送り出されたのか、それが消費者の生活にどう関わるかといったことを、判断脳と習慣脳の両方に具体的に訴えることができる。
・ストーリー同様に効果を発揮するのがトレードマークだ。特に、何をするものなのか分かりづらい商品や、目に見えないサービスの内容を理解してもらうときには有効だ。新商品にマークを使えば、消費者に効果的に印象づける足がかりとなる。そのマークが商品とうまく連動していれば記憶に残りやすくなる。

■モノを買う二つの習慣
「オートマチック習慣」
「自分ルールによる習慣」

■価格設定で失敗しないためには、ターゲット層ごとの買い物に関する自分ルール、そして、各層が買いたくなる状況をしっかり把握する必要がある。
➡人は習慣的に買っているものの価格は気にしない。習慣化を念頭に置いた価格設定では、消費者に無意識に購入してもらい、かつ、最大限の利幅を確保することが目的になる。価格を気にさせないためには、それが適正価格であることが前提となる。そして、適正価格だと思ってもらうためには、判断脳へのアピールも重要になる。

■新規顧客の獲得や、たまにしか利用しない顧客を常連客に変えるための広告、実際に使ってみるという行動を起こさせるための広告などは、新たな習慣を生むことを念頭に置くと、より効果的なものになる。
➡一過性の流行よりも、消費者の思考にその商品を根づかせることを重視した広告をうつこと。

■ライバルから乗り換えさせる広告
・習慣になっていると、判断脳が働く前に行動を起こしてしまう。それを判断脳に制御させるのはとても難しい。狙い目は、彼らがライバル社に関心を向ける瞬間だ。ライバル社が新商品、モデルチェンジ、改良版などを発表する瞬間、彼らの顧客はその商品や会社のことを判断脳で考える。もしそのときに、ライバル社が顧客が使用を控えたくなるようなミスでも犯せば、あなたの商品にチャンスが訪れる。
・また、ライバル社の顧客の買い物の習慣を把握することも重要だ。
➡彼らは、自社商品が属するカテゴリーの情報を、どこから入手しているのか。ウェブサイトか、雑誌の広告か、それとも新聞か?ライバル社の商品の使用歴は長いのか、短いのか?どんな広告キャンペーンに食指を動かしやすいのか?日々の習慣を把握した上で広告を打てば、普段の行動を自社の側に有利に活かせるはずだ。

■コカコーラのニューコークに対しての反発
➡味ではなく、習慣を変えられたから抗議をした。

■買い物をするときの消費者の状態3つ。
・自動的に選択するモード
・自分ルール重視モード
・新しいものを試してみたいモード

■ブランドは、他社が提供する商品やサービスと明確に区別できる名称、価格、デザイン、マークなどを保有する。

■習慣化の仕方を端的に表現すれば、「消費者をイヌのように扱いなさい」となる。つまり、調教だ。条件に従った行動や習慣を訓練で身につけさせること。
➡消費者に習慣を根づかせるのは、強制ではなく無意識にその行為に及んでもらうためである。

■消費者の調教は「操る」のではなく、「促す」
・習慣脳は言葉を理解しないので、文字を使っての学習はできない。行動とその結果を関連づけて無意識のうちに学習するのだ。相手の行動に対してタイミング良く行動を後押ししていく。脳のメカニズムに即して考えるなら、習慣脳の学習過程に影響を与えるのが最も効果的ということになる。
➡「映像」が重要になってくる!

■習慣脳に自発的な行動を促すためには、その行動を再びとりたいと思わせる必要がある。心理学の世界では、特定の行動を自発的に行うことを促すことを「強化」という。
➡どんな行動も、条件付けをすることで自発的に行うようになる。

■TAGのメソッドを応用する。
・脳には言葉を理解しない領域がある。その領域に働きかけるときは、言葉でないものを用いる。

■昨今のビジネス社会では、誰もが一つの場所、すなわち消費者の判断脳を狙って戦っている。それは間違った場所を求める間違った戦い。
➡本当に戦いを繰り広げるべき場所は、消費者の習慣脳である。そのときの武器は「行動マーケティング」だ。習慣化につながる行動を引き起こすためのマーケティング全般を意味する。この戦いを制した者は、自社商品を習慣で買ってもらえるようになる。

■習慣になるまでに消費者が踏むステップは共通している。
・発見
・購入
・利用

■発見
・発見してもらうために不可欠なのは、正しいポジショニングだ。ターゲット層が自社商品のジャンルをどんなふうに探しているかを把握し、その探し方で見つけてもらうようにポジショニングするだけで、宣伝費のムダをかなり省ける。それに、すんなり商品が見つかれば、消費者の脳内にあるカテゴリー分けをするニューロンが、あなたの商品を狙い通りのカテゴリーに入れてくれる。
・人は行動だけではなく、考え方にも様々な習慣がある。そのため、年代によっての思考の違いを認識すべき。
・正しいポジショニングができたら、次は、消費者の判断脳が知りたがっている情報を的確に伝える番。
ニーズ、品質、信頼性、価格など、ターゲット層が重視しているポイントをアピールし、買う価値があるものだと思わせなければならない。

■購入
・大手百貨店のコールズは、顧客に必ずクーポンを送付する。コールズは、クーポンを「買い物」の合図ではなく、買い物の「強化」の合図にしている。
➡この例からも、習慣が生まれるまでの過程は、できるかぎり簡素化すべきだとわかる。顧客の手間が一つ増えると、習慣脳に刻まれるのに三度は余分に繰り返さなければならなくなる。

■利用
・消費者には、買う習慣だけでなく、それを利用する習慣も身につけてもらう必要がある。例えば、値段が安いが注文手続きが面倒な会社よりも、少々高くても手続きが簡単な会社を選ぶことの方が多い。
・繰り返し使用してもらうサイトにするには、直感的に理解できるデザイン、そして利用を強化する要素が必要だ。視覚的に魅力的なサイトならいくらでもあるが、訪問者の行動まで配慮したサイトとなると少ない。動画などのリッチメディアを使用したサイトは見栄えがいいが、動作が遅かったり、特定のプレーヤーをダウンロードさせられたりするという問題がある。
・あるシリアルメーカーは、自社商品を購入する母親に向けた「糖分控えめ、ビタミン豊富」などのメッセージとは別に、母親と一緒に商品を目にする子供にも向けて、「サクサク美味しい」といったメッセージを添えている。

10年後、仕事で差がつく戦略思考―一生役立つ「考えるスキル」の磨きかた/広瀬一郎

¥1,575
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(評価)★★★★★

(書評)
今後、この本は私にとって、戦略というものの捉え方としての教科書的な役割になるだろう。そのため要点をまとめるというよりも、響いた、必要だと思った部分を列挙していく。筆者は電通で長年スポーツイベントに携わってきた人だ。電通には「変化を見極めるための3~5年」を前提として、入社したらしい。
マーケティングの大先輩の指導だと思って、しっかり咀嚼して身につけたい思考だ。

10年後、将来の日本はどうなるか?私は安い海外へのアウトソーシングが大幅に増えると思う。その中でも、自分を必要とされるような立ち位置をつくるため、成長していきたい。

「アウトプット」は「アウトカム」になって、初めて成果だと言える。この言葉を意識する。

以下、備忘録
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■人生において、「勝つ」とは「目的を遂行できること」
➡勝つ人生=自分の思うことができる人生
➡本書は「勝つ人生」を求める若者に、「勝つ方法」を「知(ナレッジ)」として示すために書かれた本。
➡人間であることは、常に社会的な存在であるということだ。その意味が社会的なものであれば意義となる。意味によって人生の豊かさが決まる。

■「力となる知」を目指す
➡「知が力になるためには、単なる「知識」だけではなく、それを現実に適用するための「技術」と「知性」の二つが必要になる。「技術』を身につけるためには、当然ながら訓練が必要となる。
「知識」とは「意味」を理解することだが、「知性」とは「意義」を感知する能力のこと。

■「戦略」とは・・・
・限られた資源をどういうふうに配分するかということが戦略
・成果を客観的かつ明確に定義するから、「成功か失敗か」がはっきりする。
➡戦略と責任論はセット。それが、いわゆるコーポレートガバナンス(企業統治)というものの本質。
➡それを、新人のうちから意識して実行する必要がある。

■最高の戦略とは・・・
・ルール自体を自分に有利に変えてしまうこと。「今日の会議はこういう手順で、これに向かって、こうしましょう」と仕切ってしまえば、仕切った人の意向に沿って会議が進行することになる。

■学ぶ戦略
・問われたら、すぐ「Why?」を考える癖をつけること。そこから、「目的」と「存在する意義」を導きだす。
➡敵に勝つためには、どのフレームで勝つかを見つける。フレームが戦略立案の基礎。

■会議の種類を事前に決めておくべき。「今日は結論を出す会議ですか」とか「今日は皆で情報を出し合う会議ですか」とか「今日はコンセンサスを決める会議ですか」とか。

■これからは、クリティカルシンキングができないと通用しない。課題設定能力は、事実をまず客観的に把握することが基本。

■目標を確認しないままで、作業に取りかかるな。
➡意識すること。エンパシー能力を鍛える。エンパシーとは、「最終的には理解し合えない」という前提で、限定的に共感すること。エンパシーというのは、「何を言っているか」ではなく「なぜ言っているか」を理解する能力。

■組織内で、何かを問題にしようとする場合は、数値化したデータをもとに話すことが不可欠だ。クリティカルに考えるということは、「ほんとReally?」「なぜWhy?」と問うことの二つが基本で、もっとも重要だ。「ほんと?」と問うのは「事実の確認」を最初にせよ、ということ。調査して事実を確認し、できるだけその事実を数値データ化し、そのデータをもとに考えよ、ということ。

■できるだけ正しいスタートを切るためには、行動に移す前にいったん立ち止まって、事実を確認する必要がある。「何か問題があるな、と気づく」と、次に「その問題を事実として客観的に正しく把握する」必要がある。まず、「何が原因なのか」という「因果関係」を調べなければならない。そのために調査が必要になるが、このときに「仮説を最初に立てて調査」をしないと、因果関係などわからない。調査の前に「2ないし3個くらい仮説を立てる」ことが不可欠。ここを怠って、間違ったスタートを切ると、修正するのは並大抵ではない。次につなぐことが課題解決のプロセスを知って理解しておくことの大きな意義だ。

■営業の進め方として大切なこと・・・(市原さんの言葉にもあった)営業は「金」と「スケジュール」を握る!
・「何のためにこれを解決しなきゃいけないのか」という問題意識を持ち、自分で観察してからいくつかの仮説を立てて、「この仮説だとするとこういう調べ方でいける」という「段取り」が重要だ。それが分かる人が、「仕切りのいい人」。必ず「スタートから山の頂上までたどり着くまでの道筋=段取り」を最初に見ようとする。その上で、うまく行かなくなった時には「どこに戻るか」っていうことを事前に考えておく。「プロセスを理解しないままスタートを切る」と、途中でロクでもないことがいっぱい起こる。全体のプロセスを理解していないと、「失敗したときに、どこに戻るかも分からない」し、「成果の意味」が分かっていないから、「成功しても、その次に進むこと」ができない。リスクというのは起きる前の「起きるかもしれないというイマジネーションの問題」だ。われわれ日本人は、これまで見えないリスクは「ないもの」と考えてしまう傾向があった。

■分析とは・・・何をすることなのか・・・
・一番最初にやることは分析の対象部分を取り出すこと。その次が取り出した要素を「分けること」だ。
・その分け方は、「場合によって」も「前提によって」も違うし、「前提が同じであっても、分ける人によって」異なってくる。そのグルーピングの仕方が、そもそも戦略の基礎になる。「どういうフレームワークで分けるか」ということは、その人の価値観が反映されるので、成果の定義と合わせてきわめて重要なポイントとなる。
・最初に何と何に分けるか?この時点で「分析力があるか』とか、「戦略的視点を持っているか」とか、「ロジカルにものを考えているか」が分かる。「成果と稼働」「達成する目的」と「手段」などは冷静に区別しなければならない。世間には、「成果」と「稼働」を混同している人が本当に多い。ドラッカーも「成果と稼働」を混同するな、何回も繰り返し強調している。
➡「分析力」=「ビジネス能力」だといってもいい。分けるという行為は、見方を変えると「選択」行動であり、人生は選択の積み重ねである以上、「分析とはその人自身」つまり「あなたの分析」があなた自身だと言い切ってもいい。
・原因が「構造的な要因か、非構造的な要因か」「内的要因か外的要因か」を意識する。内的要因はコントロールできるもの。

■流れを読む!定点観測じゃダメ!戦略は常に一定の時間軸でものを考える必要がある。背景を考える。

■思考のテクニック・・・
・三つというフレームを先につくってしまう。「1何々、2何々、3何々」というふうに答える癖をつけておく。

■マーケティングにおいて大切なこと・・・
・「フレーム」と「パラダイム」
➡フレームという思考の視点を持つ。フレームを掴めば、ファッションビジネスでは成功するし、あらゆる産業でフレームを掴むことが求められる。

■「学ぶ」目的と「欠落」の自覚
➡「自分の将来像についてイメージを持つ」ということは、ごく普通なことにも関わらず、きちんとできている人は少ない。

■発想を飛ばすこと➡暗黙知の言語化 例)ソニーのウォークマン

■スポーツマンに備わっている能力を五つ挙げさせると、母国の英国では必ず入るのに、日本では必ず入っていない能力が「勇気」だ。

■戦略的視点を持たないと、問題を解決して出てきたアウトプットが次のインプットにならずに、その「解決自体が自己目的化」してしまう。
➡「戦略的な対応」という観点からすると、「現状は、なぜ問題なのか?」と考えるWhy?からのスタートが決定的に必要だが、一般的には、どのように解消できるかという方法論にいきがちだ。戦略的なアプローチは「どのようにHow?」から入ってはダメだ。
➡「目の前の現象を解決すれば問題点がなくなる」というのは間違いだ。
➡単なる表面的な問題と、その本質としての問題点とは、往々にして異なる。「相関関係」と「因果関係」を混同するのが多いのも、そういうところからきている。

■「なぜ、悪いのか/解決すべきか」という点をきちんと押さえた上で、成果を定義すると、「現状というスタート地点と、ゴール地点/成果との差」が真っ当に把握できる。そこで初めて「その差をどのように埋めるのか」という点の検討と実行、つまり、「戦略」に移ることができる。

■「自分とは自分の行動のことである」から、「自分を把握する」ということは、自分の「行動決定要因」「行動規範」を把握するということ。現代の先進国では、人の決定要因を構成するための情報のほとんどが、マスメディアによってもたらされている。

■「心の底から嬉しいのは何か」が分かって確信したら、それに近い場所で生きていった方がいい。たとえば、部活で「本当に苦しかったけど、自分が頑張ったら、あとから20人ぐらいの部員がついてきてくれた。それに勝る喜びは過去20年間ありません」というのなら、どこに行こうが自分がリーダーシップをとるということが自分の喜びだろう。
➡結局、問題解決のスタートは自分だということに戻るのだ。それが、「気づき」という問題だ。

■「どこまでができるか」を知ることで、逆に「どこから先はできないのか」ということを、自分の中で見極めないといけない。
➡「どうしたらいいんでしょうか?」と人にすぐものを聞く人はダメだ。「私はこう思いますが、それについてはどう思いますか?」とか「私はここまでのことは分かっていますが、ここから先は分からないので教えてください」とか。
➡それが「問題を自分のものとして把握する」ということ。「どうしたらいいんでしょうか」なんてことを他人が答えたら、それはその答えた人の問題になってしまう。とすれば、その回答を他人にゆ委ねることは、自分の人生を生きてないことになるのではないか。

■会議というのは、問題解決のためにするもの。実際にアメリカ人と仕事をすると、会議の目的は事前に必ず明らかにしておかなければ信用を失う。
➡最初に「今日の会議の目的は、こうです。問題点はこうです」「これは問題だけど、ここで話し合っても片付かないので、とりあえず皆さんの意見を聞かせてください。その上で、私に託してください。それをもとに私は先方と交渉します。そして、交渉した結果を皆さんにフィードバックします」と言ってから会議に入る。すると会議のメンバーは、自分たちの役割がはっきりして、出席者全員がそれぞれの立場で当事者になれる。発言が当事者としてのものになると、不毛な会議にはならない。当然、会議の効率も機能も全然変わる。
➡「戦略はフレームだ」というのは、会議の仕切りでも同様。フレームが不明な会議は機能しない。フレームの設定次第で、会議の機能は全く変わる。

■会議の進め方(「仕切り」と「段取り」)
何について議論をするのか、論点は何か、争点は何か。それを前もって明らかにしたものが「ミーティングアジェンダ」だ。それは、会議の後の議事録と同じ構造になっているはずだ。アジェンダは、常識的に言えば、最低48時間前には作成して回覧すべきだろう。「返してこない(=フィードバックしない)人の発言権は低い」という了解が確立されているとなおいい。そうすると、会議の効率が全然違う。
➡「課題を解決するために、会議では何を議論するか」という論点が絞れるはずで、それがアジェンダに反映される。

■産業にとって「ヒト・モノ・カネ」が基本だが、最近の経営学では「経営」と「マーケティング」以外は全部アウトソーシング可能だという学説もある。マーケティングのアウトソーシングというのは、会社にとって「戦略」を他人に委ねることになるから、命取りになりかねない。

■アジェンダが決まったら、次にルールセッティングをすべきだ。今日の会議の進行のルールは何か。無論、最初に会議の機能が決まらないと、ルールも決まらない。決定する会議か、情報共有する会議か。あるいは新しい事態が生じてしまったので、その担当者から皆さんに説明させます、という会議なのか。特に「決定する会議」であれば、ルールセッティングは重要になる。全員一致まで話し合うということなのか、最終的に多数決でやるのか、あるいはA案、B案の両論併記で議長一任という会議なのか、議長が部長だったら「現場でA案、B案が出てきました」という結果を常務に渡し、常務が取締役につなげるのか。その決定のプロセスとルールを明らかにしておくと、かなり会議の効率が良くなる。こういうことをしっているかどうかで、会議の効率が全然違う。

■「生産的な議論ができるかどうか」というのは、多分にそのスタート地点で決まる。非生産的になるのを避ける一番効果的な方法が、「当事者性」の確認だ。「当事者として言うのか、それとも助言のつもりで言うのか」をはっきりさせてから発言することをルールで決めておけばいい。そのどちらでもないのであれば、その発言は、単なるおしゃべりであり、会議での発言としては無効だ、と確認しておく。

■問題の原因を探るには、事実を調査しておく必要がある。調査をする際、漠然と質問するのでは、有効な解答を得ることはできない。この段階で、すでに戦略の有無で差が出てくる。
➡仮説を立てない限り、正しい質問はできないし、正しい質問をしないと、正しい解答を得られないのは常識の範疇だ。仮説を持たずに質問をする人は多いけれど、ダメな典型だ。
➡仮説の立て方にはセンスが如実に出てくる。解決すべき問題が、「物理的な問題」か「心理的な問題」かによって、解決のアプローチはまったく異なるので、まずどちらの領域なのか、分けておく必要がある。シンプルに対応できるのは、物理的な問題だ。

■「正しいかどうかを見極めるには何が必要か」が分かるような調査内容と構造にしておく必要がある。これが調査の「段取り」だ。「仕切りのいい人」は、きちんとした仮説を持って行動している、

■優先順位を決める5つの基本的視点(かならず検討すべき項目)
1.資源(ヒト、モノ、カネ)
2.効果
3.効率
4.時間
5.リスク
➡優先順位のつけ方には、いろいろな観点があるので、なるべく多くの視点/基準を持っておくべきだ。

■「優先順位」を考えるにあたって考慮すべきさまざまな項目があるが、その項目間の調整をする際、もっとも基本的な視点/基準は「ステークホルダー」から導くべきだ。

■現代人の行動規範の多くは、マスメディアによってもたらされる情報(=Code)によって形成される「欲望」がもとになっている。特にテレビというメディアは情緒的だから、人々の欲望を刺激して消費を煽るのに向いている。

■テクノロジーの進化によって、画期的製品が「画期的」でいられる時間も短くなってきた。画期的ではなく、日常化することを「コモディティー(日常品)」化という。

■市場を形成する要素である「商品(Product)の質」や「対価(=料金)」では、競合で勝てなくなり、その他の領域/要素が考慮されるようになった。そこで現れたのが「利害関係者(Stake-Holder)」だ。従業員のモチベーションとか、商品の流通、材料の仕入れ/納品といった、市場に現れてこない要素が勝負を分けるキーとなってきた。
※スポーツ産業は「利害関係者」が多く「公共性」がある、という二点からステークホルダー型の経営にならざるを得ない。

■ステークホルダーのグループ分けには、数学の「集合」の考え方を使う。分けた後の見逃しや数え忘れをなくすためにも有効だ。P157
例)スポーツ産業のステークホルダーは
・オーナー(親会社)、競技、ファン(サポーター)、企業、メディア、地域(地元)
➡優先付けの選択には戦略というロジック(論理)が必要であり、その論理の基礎となるのがステークホルダーの捉え方だ。ステークホルダーの視点はあらゆるビジネスにおいて便利。

■いろいろな価値観を入れると、価値観全体としての一貫性がなくなるから、全体として間違ったものになる。
➡最終的な「決断」はトップが自分一人で下さないといけない。
➡決断と決定は違う。「断」とは「断つ」ことだから、トップにしかできない。

■「私はこの問題に対して当事者であるのだろうか」と問う能力。「当事者であることを把握できる能力」というのは、暗黙知であり、一般的には暗黙知だから教えられないと思われている。しかし、やろうという意思と覚悟=志さえあれば、トレーニングはできる。

■立場を明確にすることは大事だ。当事者であるということの「認識があるか、ないか」当事者であることの意味を「わかっているか、わかっていないか」これが問題解決をする上で、大きな影響力を及ぼすから、一つのスキルだと考えていい。
➡「当事者意識」というスキルと、さまざまなメソッドからなる「課題解決能力」を合わせて当事者としての能力になる。
➡そして当事者能力は「志」を形成する不可欠な要素だ。能力のない志なんて、結局夢物語でしかない。

■「志す能力」というのは、ナレッジだけではなく、覚悟を持ち。形式知化されたメソッドを学び、実践を通してスキル化して初めて「能力」と呼ぶべきものになる。

■今の日本にはナレッジを持っているのに、実行を遅らせているケースがあまりにも多い。問題は分かっているし、解決しなければならないことも分かっている。解決するナレッジもあるのに、「なぜ、私が?」「できれば他の人が言い出してほしい」という人はあまりにも多い。それを「それじゃあ私が」と言い出すように変えるには、問題解決の当事者意識を持たせるしかない。いまこそ「当事者意識」はきわめて重要な能力であると強調しておきたい。
➡問題は、組織やシステムではない。個人の当事者意識と決断のスキルだ。

■当事者という意識、意志を持とう。自己客観化し、課題解決しようと意志を持ち、対象を俯瞰して全体を外から客観的に見る。
➡「主体」が成立するためには、主観と客観を自分で意識しないとダメ。

■コントロールできる人間というのは内的要因の数が多い。コントロール可能な内的要因の数が多いというのは、選択肢の数が多いということを意味する。能力のある人は選択肢の数が多い。「勝つ人生」を送るために学ぶというのは、「選択肢を多くする」ように学んでいるということと同義だ。
勝ちたければ、「自分にコントロールできることは何なんだろう?」と常に考え、「選択肢をできるだけ増やしていこう」という意識を持って、学んだり、仕事をすべきだ。
➡選択肢を手元に多く持っておく人は、仕切りが良くて、仕事ができる。なぜなら戦略的な対応ができるからだ。
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リアルフリーのビジネス戦略/高橋 仁

¥1,470
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(評価)★★★★☆

(書評)
デジタル(Web)向けだったFREEの概念をリアル(現場)に落とし込んで成功したビジネスモデルを紹介している本書。新鮮な話で面白かった。1時間弱で読める手軽さも良かった。

ビジネルモデルを学ぶと同時に、違った気付きがあった。

それは、本書が挙げる、リアルフリーが成立する市場の条件のうちの一つからだ。
「本能に訴えるビジネス」この言葉が非常に心に響いた。
これからは、関わる相手にそのことを実感してもらうことを任務としていきたい。そして同時に、自分でも実感できる瞬間を味わいたい。今の仕事でできるのか、模索しようと思う。

以下、本書からの引用。
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現代の日本には便利な商品やサービスがあふれている。その最たるものがネット系のサービスだ。

例えば、グーグルマップやグーグルアースを開けば、ストリートビューや航空写真によって世界中の観光地を眺めることができる。旅行者が書いたブログを見れば、さらに詳しい写真や動画を見ることも可能だ。

しかし、だからといって旅行をする人がいなくなったりするだろうか?そんなことはあり得ない。現地に足を運び、自分自身の目で様々な観光スポットを見て、現場の空気を胸いっぱいに吸い込む体験は、ネットで写真を見る行為とは全く違うからだ。このことは、多くの方が納得してくれるだろう。

音楽業界でも、似たようなことが言えるかもしれない。音楽の配布手段は、レコード・カセットテープから、CD・MDを経て、ネット配信の時代へと移り変わってきた。

現代の音楽業界は、CDが売れなくなって「冬の時代」と言われることも多い。ただ、「サマーソニック」などの音楽フェスに関して言えば、ここ数年、順調に観客数を伸ばしている。CDの音源はコピーできても、ライブによる「ナマの感動」はコピーできないからだ。

便利さや効率の良さが極限まで追求される現代だからこそ、人は心の奥底で、人間的な存在を追い求めているのではないか。「心地よさ」や「うれしさ」、あるいは「感動」といった。心を震わせる体験の価値が、さらに高まっているのである。

だから、新しく起業を目指すなら、人の本能に訴えるビジネスを展開すべきだ。そこには、巨大なマーケットが広がっている。

人は本能に訴えられたとき、そのサービスをもっともっと受けたい、何度も手に入れたいと感じるようになる。一度きりでは終わることのない人間の欲望を利用することが、リアルフリーで成功するためには必須だ。
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■リアルフリーのビジネス戦略 成功の要素
・市場を見極める
(条件1)人の本能に訴えかけるビジネス
(条件2)古いしきたりが幅をきかせる時代遅れの業界
(条件3)顧客と直接接点を持てる業界
・約10年間で完成させる
ステージ1 草創期
ステージ2 成長期
ステージ3 安定期
ステージ4 最変革期

■現代においては、メーカーが独りよがりに作った「プロダクトアウト」的なモノ・サービスは絶対に売れない。特に女性が消費するモノ・サービスに関しては、市場ニーズをきちんと分析する必要がある。その際に不可欠なのが、消費者の意見の集め、マーケティングを行うためのデータベースだ。実は、一定以上の数・質を兼ね揃えたデータベースの構築は、意外と骨が折れる作業なのだ。
➡インターネットの通販サイトなどでは、個人情報が漏れるのを恐れ、性別や年齢を偽って登録する人が少なくないという。そのため、データベースとしての質は相当に低い。
影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか/ロバート・B・チャルディーニ

¥2,940
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(評価)★★★★★

(書評)
著者は英国を代表とする心理学者。本書は科学的知識に基づいた、人の態度や行動を変化させる心理的な力について解説している。八章にわたる構成となっている。

私が本書を手に取った目的は、「人がモノごとを決定する要因」について何か共通点はあるのか興味を持ったからだ。結論として、二つの決定の導き方の場面が非常に参考になった。
・一つ目は人と対面での会話、決定を求める導き方。
・二つ目はモノを売る(マーケティング)ときの導き方だ。

本書はセールスパーソンにとっての指南書となるだろう。
人が影響を受ける根底の動機と、意識する点が明確になった。
この原理をうまく活用しているのが、本書にも出てくる訪問販売のセールスマンや寄付を募る団体だろう。
実際の具体的なコラムもあり、よりリアルな想像をすることができた。
この成功した手法は、よく小売り店舗を例に説明をする通販にも活かすことができると考える。

■これからは、社内の人に頼みごとをするときには「ので」をつけよう。
■そして、頼み事を快く承諾してもらうように、日々「Give」を心がけよう。

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第一章:影響力の武器
第二章:返報性(昔からあるギブアンドテイクだが・・・)
第三章:コミットメントと一貫性(心に住む小鬼)
第四章:社会的証明(真実は私たちに)
第五章:好意(優しい泥棒)
第六章:権威(導かれる服従)
第七章:希少性(わずかなものについての法則)
第八章:手っとり早い影響力(自動化された時代の原始的な承諾)
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■コントラストの原理
➡一番目に紹介するものと二番目に紹介するものの順番を間違えないこと。高く売りたいなら、最初に期待をさせてしまうのはダメ。二番目に紹介するものの方が印象が良いように、はたまた安く感じるようさせる。

■返報性のルール
➡「もらったら何かお返しをしなければ」という気持ちは不変。これは、人間関係にもあてはまる。
「与えること」の大切さ。それによって、返ってくる印象、行為(好意)も変わる。ダイレクトマーケティングにも応用可能。
➡交渉ごとにも活用できるテクニック。譲歩法方略の交渉ごとを体験した人は最も多くの金額を払ったのに、最終的な取り決めに最も満足したという結果も。

■魅力的な人になる
➡なぜなら、相手に対してのカチッ・サー反応がはじまるから。外見の良い人には才能・親切心・誠実さ・知性といった望ましい特徴を持っていると自動的に相手が考えてしまう傾向がある。そのために、内面・外面を磨きつづける必要がある。更にこれは採用面接でも適用される。
➡更に、相手と類似性をもたせられるとなお良い。効果を発揮させるために、共通点を探る、合わせる必要がある。

■相互の協力で成功がもたらされる環境をつくる。
➡なぜなら、人やモノごとと接触を繰り返すことによって親密性を高めることも、好意を促進する一つの要因だから。好意と結びつく要因は「連合」である。広報担当者、政治家、商人は、自分自身や自分が扱う製品と望ましいものとを結びつけ、連合のプロセスによって、その望ましさを分かちあおうとすることが多い。
➡この他の人々(たとえばスポーツファン)も単純な結びつきに効果があることを認識しており、好ましい事象と自分が結びついていること、このましくない事象と自分が切り離されていることを他社の目に印象づけようとする。
➡例)自分のチームの勝率がいいときは「We(私たち)のチームの勝率は・・・」
   勝率が悪い時は「They(彼ら)のチームの勝率は・・・」

■人は同じくらいの価値のあるものなら、それを獲得することを考えるよりも、それを失うことを考えるときに強く刺激される。
➡何を得られるかより、何を失うかという点か描写されていた方が成功する。

■時間・期間・数量の限定を活かした「希少性」で消費者の気持ちを喚起し、更にコントラストの原理で順番を守って、最後にトータルで高い買い物をしてもらう手法(レストランの店員の手法が上手い)を学び、活かす。