リアルフリーのビジネス戦略/高橋 仁

¥1,470
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(評価)★★★★☆

(書評)
デジタル(Web)向けだったFREEの概念をリアル(現場)に落とし込んで成功したビジネスモデルを紹介している本書。新鮮な話で面白かった。1時間弱で読める手軽さも良かった。

ビジネルモデルを学ぶと同時に、違った気付きがあった。

それは、本書が挙げる、リアルフリーが成立する市場の条件のうちの一つからだ。
「本能に訴えるビジネス」この言葉が非常に心に響いた。
これからは、関わる相手にそのことを実感してもらうことを任務としていきたい。そして同時に、自分でも実感できる瞬間を味わいたい。今の仕事でできるのか、模索しようと思う。

以下、本書からの引用。
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現代の日本には便利な商品やサービスがあふれている。その最たるものがネット系のサービスだ。

例えば、グーグルマップやグーグルアースを開けば、ストリートビューや航空写真によって世界中の観光地を眺めることができる。旅行者が書いたブログを見れば、さらに詳しい写真や動画を見ることも可能だ。

しかし、だからといって旅行をする人がいなくなったりするだろうか?そんなことはあり得ない。現地に足を運び、自分自身の目で様々な観光スポットを見て、現場の空気を胸いっぱいに吸い込む体験は、ネットで写真を見る行為とは全く違うからだ。このことは、多くの方が納得してくれるだろう。

音楽業界でも、似たようなことが言えるかもしれない。音楽の配布手段は、レコード・カセットテープから、CD・MDを経て、ネット配信の時代へと移り変わってきた。

現代の音楽業界は、CDが売れなくなって「冬の時代」と言われることも多い。ただ、「サマーソニック」などの音楽フェスに関して言えば、ここ数年、順調に観客数を伸ばしている。CDの音源はコピーできても、ライブによる「ナマの感動」はコピーできないからだ。

便利さや効率の良さが極限まで追求される現代だからこそ、人は心の奥底で、人間的な存在を追い求めているのではないか。「心地よさ」や「うれしさ」、あるいは「感動」といった。心を震わせる体験の価値が、さらに高まっているのである。

だから、新しく起業を目指すなら、人の本能に訴えるビジネスを展開すべきだ。そこには、巨大なマーケットが広がっている。

人は本能に訴えられたとき、そのサービスをもっともっと受けたい、何度も手に入れたいと感じるようになる。一度きりでは終わることのない人間の欲望を利用することが、リアルフリーで成功するためには必須だ。
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■リアルフリーのビジネス戦略 成功の要素
・市場を見極める
(条件1)人の本能に訴えかけるビジネス
(条件2)古いしきたりが幅をきかせる時代遅れの業界
(条件3)顧客と直接接点を持てる業界
・約10年間で完成させる
ステージ1 草創期
ステージ2 成長期
ステージ3 安定期
ステージ4 最変革期

■現代においては、メーカーが独りよがりに作った「プロダクトアウト」的なモノ・サービスは絶対に売れない。特に女性が消費するモノ・サービスに関しては、市場ニーズをきちんと分析する必要がある。その際に不可欠なのが、消費者の意見の集め、マーケティングを行うためのデータベースだ。実は、一定以上の数・質を兼ね揃えたデータベースの構築は、意外と骨が折れる作業なのだ。
➡インターネットの通販サイトなどでは、個人情報が漏れるのを恐れ、性別や年齢を偽って登録する人が少なくないという。そのため、データベースとしての質は相当に低い。