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今日は大半の区間で千葉県を通る北総鉄道について記述します。なお、線路を共有している成田スカイアクセスについてもここで説明する事とします。
北総鉄道は1972年に「北総開発鉄道」として東京1号線の千葉ニュータウン方面延伸を目的に設立された第三セクター鉄道事業者です。その後成田新幹線の計画凍結を受けて北総線が空港アクセス鉄道として位置付けられ、2000年までに印旛日本医大までの区間が開通しました。
その後、千葉ニュータウンの開発が一通り終えた事を受け、2004年に会社名から「開発」が取れて現在の「北総鉄道」になりました。
2010年には印旛日本医大~成田空港が開通しましたが、この区間は北総線ではなく成田スカイアクセスとして扱われています。ただし、成田スカイアクセスはあくまでも起点が京成高砂駅であり、印旛日本医大までは北総線との共有区間扱いとされています。
北総線及び成田スカイアクセスの路線データは以下の通りです。
【路線データ】
【他社乗り入れ路線】
【全体マップ】
北総鉄道の車庫は印西牧の原から東へ行ったところにありますが、検査時は他の京成グループの車両と同様に京成線の宗吾参道まで回送されます。
他社路線の乗り入れは京成線経由で押上以南は都営浅草線に入り、西馬込駅まで直通します。また、空港アクセスを意識して泉岳寺から京急線に入って羽田空港まで行く運用もあります(ラッシュ時は三崎口発着もあり)。
各区間の開通年は次の通りです。
- 都営浅草線とは1991年に直通運転を開始。同時に京急線にも乗り入れを開始している。
- 北総線は2004年まで「北総・公団線」と呼ばれていた。
- 空港第2ビル駅の手前で再び京成線と合流するが、運賃の関係上ホームが別々で、改札も異なる場所にある。
北初富からはかつて新京成線に乗り入れて松戸まで入線していました。しかし、1990年代以降は都心直通を軸にするため直通運転を取りやめており、北初富~新鎌ヶ谷の連絡線も切り離されております。
管理
このような形になったのは元々の計画によるもので、それぞれの建設区間で上下分離方式を取った事で生じたものと言えます。
北総線だけで見ても小室駅を境に管理が分かれているのは、西側を東京1号線、東側を東京10号線(都営新宿線の延伸)として作る予定だった事に由来します。
なお、東京10号線は本八幡以東を延伸して、新鎌ヶ谷から東は北総線と並走する事を想定してたそうです。さらに、都営新宿線を改軌する事も検討していましたが、残念ながら乗り入れ先の京王が拒否したため断念しています。
ちなみに、小室~印旛日本医大の区間は当初「住宅・都市整備公団」が保有していました。しかし、2004年に「UR都市機構」へ改組されるに辺り、京成が立ち上げた千葉ニュータウン鉄道へ鉄道施設を移管する形を取っています。
土屋接続点で会社が分かれているのは単純に建設時期によるもので、西側が新規で会社を立ち上げて建設したのに対し、東側はJR東日本の線路が完成した時から増設できるように準備工事を施してそこに成田スカイアクセスを通す形を取った事によるものです。
車両
現有車両は次の通り(乗り入れ車両を含む)。随時更新予定。
【8両編成】
(京成)
AE形:9本
3000形:13本、3050形:6本
3100形:7本
3400形:1本
3700形:10本
(北総)
7300形:5本
7500形:3本
(千葉ニュータウン鉄道)
9100形:3本
9200形:1本
9800形:1本
(都営)
5500形:27本
(京急)
1500形:5本
600形:8本
新1000形:28本
- 本数は2023/11/5(日)現在。
- 赤字は現時点において成田スカイアクセス経由で成田空港までの運用がある車両を指す。
- 運用記号は京成が「K」、北総と千葉ニュータウン鉄道が「N」、都営が「T」、京急が「H」となっている。
- 北総及び千葉ニュータウン鉄道の車両は、開業当初から成田スカイアクセスへ入線する設定がない。
ダイヤ
基本的には上野発着のスカイライナーと都営浅草線直通の無料種別に分かれる感じです。
【日中時間帯】
- 京成高砂~印旛日本医大で7~8本/時(40分サイクル)。
- 成田湯川駅はアクセス特急しか止まらないため、時間帯によっては1時間に1本しか来ない事がある。
【朝ラッシュ時】
北総線:最大11本/時
- スカイライナーを除くと上りの方が多くなる。
- 上りに限り、印旛日本医大始発の特急が設定されている。
成田スカイアクセス:最大6本/時
- 成田湯川以東が単線なので、スカイライナーを含めてもこの本数しか運行されない。
【夕方~夜】
平均6~9本/時ぐらいで、一部は印西牧の原発着となっております。また、この時間帯に限り上野発着のアクセス特急の設定があります。北総線内は普通を中心に日付を跨いだ運用がありますが、成田スカイアクセスは下りだと10時台(スカイライナーに至っては成田空港2104着)には終電となります。
運賃・所要時間
スカイライナーの停車駅は次の通りで、アクセス特急と比較してみます。
【停車駅】
- 所要時間は日暮里~空港第2ビルで最速36分。
- スカイライナーの一部は青砥と新鎌ヶ谷にも停車する。
- 日暮里・青砥の両駅は上りが降車のみ、下りが乗車のみの扱いとなり、空港第2ビルはその逆となる。
- 平日上り1本限定で印旛日本医大始発の「臨時ライナー」があり、これは千葉ニュータウン中央に停車する代わりに新鎌ヶ谷を通過する。なお、千葉ニュータウン中央は乗車のみの扱いとなる。
なお、100kmを超える運用はトイレを設置するという暗黙の了解があり、ラッシュ時を除けば直通運用を含めてギリギリ100kmを下回るようにダイヤが工夫されています。それでも最長運用の三崎口~成田空港は140km近くあり、これは通勤車での運用ではJRを含めてもちろん最長距離です。
京成高砂~成田空港の所要時間はアクセス特急で41分(運賃1000円)です。ちなみに、本線経由だと快速特急で55分(運賃930円)です。
北総線及び成田スカイアクセスの路線図はこんな感じになるでしょうか。
【路線図】
- 最高速度は種別によって異なり、スカイライナーが160km/h、アクセス特急が120km/h、特急と普通が105km/hとなる。
- 都営浅草線の士快特(羽田空港発着)は、本線経由を除けば必ずアクセス特急となる。
- ここでは都営浅草線内を士快特を除いて普通と表記している。
- かつては急行も走っていたが、2022年に廃止となっている。停車駅は特急停車駅に新柴又・矢切を加えたもの。
【成田空港からのアクセスを比較】
※運賃は2023年10月1日現在。
【もし間違えたらマズいだろうシリーズ】
※所要時間が短い順に並べ替えてある。
【運賃】
- 京成高砂~印旛日本医大の各駅を相互利用する場合は、北総線の運賃が適用される。これは青砥以西の駅から北総線直通を使った場合も同様となる。
- ただし、印旛日本医大以東で成田スカイアクセスを利用する場合は、成田スカイアクセスの運賃が適用される。
【特急料金】
こんな感じで、北総線の運賃の高さはもはや全国的に知られるほど有名で、「財布落としても定期落とすな」という格言があるぐらいです。このため、千葉県の熊谷知事は北総線の運賃を下げるように働きかけ、2022年になってようやく値下げが実現しました。ちなみに、何と国会でもこの運賃について取り上げられた事があるそうです。
今日はここまでとします。もし、京急新1000形(Le Ciel)の「空港連絡ライナー」が実現すれば所要時間や運賃で互角となっていい勝負となるかも!?
つづく