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今回は東京地下鉄の車両に関する内容を投稿していきます。
都営地下鉄及び横浜市営地下鉄は各路線で規格が異なり、互換性が全くないのが特徴です。線路1つを取り上げても違いが分かります。
直通先の路線に合わせた結果、こんな形になってしまったのです。ただし、都営浅草線と大江戸線は軌間自体は同じで汐留に連絡線があるため、大江戸線の車両は検査時に専用の機関車を使って西馬込へ運ばれます。
狭軌以外で走る車両は輸送時にJRの線路を走るため、狭軌対応の仮の台車を装着します(浅草線の車両はJ-TREC以外のメーカーから回送する場合のみ)。なお、新宿線の10-000形はデビュー当時、仮の台車を装着して三田線を走っていました。
搬入の際は途中の貨物ターミナルから陸送で運ばれ、到着時にクレーンで1両ずつ車庫に入れる形を取ります。
※2025年11月28日更新
都営地下鉄
東京都交通局の車両は都電を含めて「系」ではなく「形」を用いています。
なお、5500形・6300形・6500形は編成番号の横にハイフンがあります(5501-1みたいな感じ)。したがって、都営地下鉄には全ての車両にハイフンが振られている事となり、当然他の直通路線とは車両番号が重複する事はないというのが最大の特徴といえるでしょう。
【5500形】
E235系をベースとした車両として登場。そのため、5300形とは異なるイメージとなり、都営では初めてSiC-VVVFが採用され、車体もSustinaへ進化した。ただし、E235系と走行音は似ているが、全く同じではなく6300形以来の竜巻インバータとなっている。側面ドアはE235系とは異なる独特なデザインであり、車内は化粧板がなくステンレス剥き出しである。この他にも京急への乗り入れのため先頭電動車となるなどの違いが出ている模様。
いずれにしても、5300形で実現できなかった成田スカイアクセスへの乗り入れが実現し、京急蒲田以南への入線運用もある。2023年までに5300形を全て置き換えた。
【6300形】
209系以外では初のビードレス加工のステンレス車体。6両編成であるが、予め8両編成に組成変更できるように設計されている。ドア上には2段LED案内装置が設置されている。VVVF装置は1・2次車がGTOでメーカー(三菱製と日立製があった)関係なく同じ音を発し、3次車がIGBTで小田急3000形初期車と同等の「竜巻インバータ」である。3次車はドアも209系仕様で、見た目はますますJRに近くなっている。
1・2次車はすでに営業運転から撤退し、現在走っているのは3次車のみとなっている。ただし、現時点では8両編成化の予定がない。
【6500形】
三田線の8両編成化に対応するために導入された。形式は6500形となり、都営地下鉄では珍しい近畿車両への発注である。このため、5500形とは異なるアルミ車体となり、E235系どころか同じ近畿車両製の東京メトロ17000系や東武70000系とも違うスペックとなった。基本デザインは外観・室内含めてかなり簡素化された感じで、キングジム名古屋にあるあおなみ線のような雰囲気が漂う。また、室内のドアが青くなっているのが特徴的である。
新製当初より相鉄線直通を意識しており、実際に相鉄対応の準備工事が施されている。本数は2029年までに24本まで増える予定だが、2次車はJ-TREC発注となりステンレス製の車体と混在する可能性も(大手私鉄では西武6000系で実例がある)。
【10-300形】
E231系をベースとした車両として登場。新宿線では初めてのVVVF制御車両で、基本的には東西線のE231系800番台とほとんど変わらない(車内が緑っぽくなっているのが違い)。ただし、3次車以降は千代田線で走るE233系2000番台の要素を取り入れている(都営では初のLCD案内装置が設置された)。10-360F以前の車両は10-300R形として別区分されており、先頭車のみ新車で中間車は10-000形の更新車が組み込まれていた。
3次車以降はE233系に似た音を発するが、ギア比が異なるので何かが違う感じがするかもしれない。10-000形を全て置き換え、新宿線の車両は当形式に統一された。また、10-300R形に関しても先頭車を含めて全車廃車となったが、C修繕すら施されずに廃車となったのは異例。しかし、10-300形は製造20年未満なので廃車は実にもったいない…。
【12-000形】
リニアモータ制御で走る特殊方式。極小トンネルを通るため車体幅が銀座線並みに狭い。全電動車であり、当初は6両編成であった。しかし全線開通までに8両化が完了している。1・2次車は車体全体を塗装しており、落成時よりLED幕・2段LED案内装置・自動放送装置が設置されていた。
リニアモータの構造上、ギアというものは存在しない。1・2次車は車齢が20年以上経っていたので、後述の12-600形に全て置き換えられた。なお、銀座線の01系は車体が小型なのを理由にB修繕をしなかったのだが、当形式もやはり同じような理由で置き換えが進んでいるのだろうか。
【12-600形】
ホームドアに対応すべく2012年に登場した。基本的には12-000形と変わらないが、車内が全体的に明るくなっており、危険防止のためドアにはE233系と同様の黄色いラインが敷かれている他、優先席や車いすスペースの案内が分かりやすくなっている。また、2次車以降はLCD案内装置が設置されており、側面はラインカラーの位置が変更されてLEDがフルカラーとなっている。これはホームドア越しでも一目で新車だと分かるように考えたものらしい。
今後も増備され、12-000形の大半を置き換える予定となっている。現時点では2026年度末で38本目までは作られるようだが、もし40本以上になった場合は東武8000系のようなインフレナンバーが発生するのだろうか!!??
横浜市営地下鉄
横浜市営地下鉄は軌間こそ1435mmの標準軌で同じなのですが、ブルーラインは第三軌条方式(750V)、グリーンラインはリニア軌条の架線方式(1500V)とされているため相互の車両が行き来する事はありません。
なお、現有車両のみを載せるので1000形・2000形は省略します。この2形式はホームドア非対応のため2006年までに廃車となりましたが、車体はドアとその上部のみに塗色され、E235系の基本デザインになったという説も存在しています。
【3000形】
1992年に横浜市営地下鉄初のVVVF制御車として登場し、25年もの年月を掛けて増備された。製造時期によって3000A・N・R・S・V形と分けられるが、基本的なスペックはほぼ同じであり、05系と比べると違いはそれほど多くない。椅子の形は様々だが、いずれもクッションがかなり柔らかいものが使われている。なお、2次車以降はドアが209系と同じデザインになったが、ワイドドアのままなので窓が小さく、見た目からしてもかなり違和感を感じる。また、行先表示と車内案内は当初3色LEDとなっていたが、2022年以降になって1次車を除き以下の表のように改造されている。
当形式は先頭デザインと帯の塗り方で製造時期の判別が可能である。2015年には2次車以降を対象に車内照明がLEDに交換された。以下、参考データを基に細かい内容を記述する。
(参考データ)
(3000A形)
本数:2本
デビュー:1992年7月6日
3号線のあざみ野延伸に伴う増発用として登場したオリジナル車。当初は単に3000形と呼ばれていたが、2007年頃から「A」が付くようになった。このグループに限りVVVF装置がGTOとなっており、ドアに化粧板が付いているのが特徴的。また、ドア上には2段式LEDと合わせてドア上には路線図式車内案内表示器が付いているほか、先頭車に限り運転席の後ろにボックスシートが設置されている。
このグループは落成時よりほとんど手が加えられていないが、一時期はB修繕を行う計画があった。しかし、老朽化が予想以上に進んでいた事から後述の4000形への置き換えが始まっている。
(3000N形)
本数:6本
デビュー:1999年6月3日
1号線の湘南台延伸に伴う増発用として登場。基本的な仕様は同じだが、走行機器がIGBT-VVVF制御へ更新されたほか、ドアエンジンには戸閉力弱め機構が搭載された。また、ドア上には次駅の「このドアが開きます」ランプがあるが、発車直後から点灯するので便利である。なお、座席はこのグループが最も固めとなっているが、E231系よりは全然マシな方である。
なお、3000N形は横浜市営地下鉄で最後に東急車輛製造で作られたグループである。2023年にC修繕相当の更新が実施され、行先表示がフルカラーLED化された。
(3000R形)
本数:14本
デビュー:2004年3月30日
ブルーライン開業時から残っていた1000形の置き換え用として登場。このグループから車体が日車式ブロック工法となった。全体的にデザインが一新され、先頭デザインの変化も分かりやすいが、室内で見ても細かな違いがある。ただし、メカ自体は3000N形と全く同じである。
2022年頃から案内表示器が上記の表のように更新された。このグループは現時点で後述の4000形への置き換え計画がなく、後述の3000V形と共に新百合ヶ丘まで入線を果たす事になるだろう。
(3000S形)
本数:6本
デビュー:2005年10月28日
2000形がホームドアに対応できない事から、下回りを残して車体と走行機器を3000R形仕様に差し替えた「車体更新」の方式を取ったのがこのグループ。ただし、書類上は新造扱いで、私鉄では西武9000系などに実例がある。当然、3000R形との違いはほぼなく、先頭部の塗装(水色に塗られている)と帯の塗り方ぐらいしか分からない。
なお、2000形は9本あったが、1本だけ更新されずに全車解体されている。このグループは下回りが40年以上(最も古いので1983年度製)と経年が高く、2030年までに引退する見通しとなっている。
(3000V形)
本数:1本
デビュー:2017年4月9日
3000形全体の更新時期が近づいたため、入場中の予備車確保を目的として登場した。「ヨコハマを象徴する海を連想させる車両」をコンセプトとし、室内が一新されて青を多く使ったデザインとなった。また、車内LCDやフルカラーLEDを落成時より搭載し、下回りはVVVFとSIVがSiC素子を使ったものを採用するなど省エネルギー化を意識している。
ただ、過渡期に作られた車両なので1本のみの製造に終わった。当初は3000V形で3000A形を置き換える予定だったようだが……やはり3000形を3000形で置き換えるという「共喰い」現象が発生する事は避けたかったのだろうか!?
【4000形】
2022年に30年ぶりの新形式として導入された。これまでの車両とは異なり、側面にデザインが施され賑やかな雰囲気となっている。先頭デザインは一新され、「くの字」をやめてコンパクトになった印象を受ける。さらに側面は帯が細くなり青一色となったほか、日車式ブロック工法ではないためドア部分の見た目が異なる。室内は青を強く出した印象で、化粧板がグレーっぽくなっている。ただし、メカ自体は3000V形をベースとしており、走行機器は同じものを使っている。
ちなみに、頭文字に「4」が付く形式は珍しい。今後は3000形を順次置き換えると共に、新百合ヶ丘延伸を見据えて増備を進めていく。なお、1次車は川崎車両で落成したが、2次車以降はJ-TRECによる製造となる模様。
【10000形】
グリーンライン開業に合わせて導入された形式。ブルーライン用の車両とは異なりアルミ製とされており、先頭デザインも3000形とは全く異なるものとなっている。当形式では横浜市営地下鉄初のLCDが設置され、スペースの関係からかドア横に設置されているのが特徴的。製造時期で大きな違いはないが、案内表示器が異なっている。当初は3色LEDと4:3サイズのLCDだったが、現在はフルカラーLEDと16:9サイズの「セサミクロ」LCDに変化している(2次車は落成時より搭載)。ちなみに、フルカラーLEDの導入は横浜市営地下鉄では初めてであった。
帯は設けられていないものの、窓と同じ高さに緑のデザインが施されており、見た目的には東武50000系に近い。走行音は他社のどの形式にも似ていない独特なものとなっており、コンセプトの通りにかなり未来的な印象を受ける。リニアモータ制御のためギア比というものは存在せず、全車電動車とされている。当初は全て4両で運転していたが、2024年までに一部が6両化された。
以上です。なお、東京メトロの車両については以下のリンクを参照して下さい。




















