年末年始も冬型の天候で、雪国では夜空をまったく撮影できていません。昨年秋に主対象の合間に撮っていた撮影データを使って、胎児星雲(Soul Nebula)を現像をしてみました。
胎児星雲(Sh2-199)は、カシオペア座にある散光星雲です。ハート星雲(Sh2-190)の東隣にあって有名です。いつ見ても、産科検診での超音波検査画像で見る胎児みたいです。わずか96分間の総露出時間ですが、この星雲をLRGB画像でここまで詳細に表現できたのは、このブログでは初めてでしょうか。
胎児は頭と胴体の散光星雲部分が重なったように思えますが、胴体部分を照らしているのは、IC1848散開星団とされています。お腹からお尻あたりを拡大してみますね。
左上よりにある明るい星の集団が、IC1848散開星団のようです。これらの明るい星からのエネルギーで、宇宙空間の水素などの分子が、美しい輝線を放っているのでしょう。きっと新しい星も誕生しているのでしょう。
一番人気の、顔面から右腕付近も拡大してみましょう。
胎児頭部付近を照らすのは、Collinder 33、34散開星団に属する星だそうで、画像左端中央付近の輝星たちのようです。頭と胴体の合わさる顎から肩付近の散光星雲と暗黒帯がとても興味深いですね。ナロー撮影すると、もっと繊細な構造が現れますが、今回は、ブロードバンド可視光による自然に近い色合いを表現できたでつもりでいます。
トリミング前画像も追加しておきますね。
画期的と評判の、Multiscale Gradient Correction を、この年始に初めて使ってみましたが、住宅地でのカブリ補正は容易でないようです。
備忘録: (以下、個人的な覚書 専門的な内容なので、綺麗な写真の鑑賞が目的の方はスルーしてね)
撮影データ:
SXP赤道儀 + N.I.N.A. コントロール
オフアキシスオートガイド PHD2 + ASI 220MM mini
鏡筒: タカハシ FSQ-106EDP + 645RD QE0.72×(焦点距離 380mm F3.6)
光学センサー: QHY600M ( gain 26、cooling 0℃)
Lum、Red、Green、Blue 各 gain 26 60sec 54、14、14、14コマ (LRGB総露出時間 96分間)
10月12、30日、11月3日の夜 自宅にて撮影
画像処理: PixInsight(BlurXTerminator、NoiseXteminatoreなど含む)、Photoshop 使用
PixInsight を、Core Version 1.9 にアップデートした
Multiscale Gradient Correction は、初期パラメーターのみでは不十分なようだ
公式ビデオを見ると、いろいろ複雑な調整をしている様子
この画角は、少し前に撮っていたハート星雲の東側を撮ったつもりだった
2つの画像で、あまりにも現像の方向性に差が出来てしまった(汗