以前に、Hαデータのみで現像してみた潟星雲付近(M8、M20、M21、猫の手星雲付近)ですが、Hαに、OIII、SIIデータも追加して、SAO(ハッブルパレット)現像も試してみました。なかなか思ったようには表現できずに、今頃の供覧です。
今年の酷暑で干上がった訳ではありません。ハッブルパレット現像してみたら、こんな色調になってしまいました。暑苦しい日々の中での現像で、今年の思い出写真になりました。
遠目には分かりにくいので、名所を拡大してみましょう
まずは、M8(干潟星雲)のアップです。干潟に水が溜まっているようで、ここだけは、少しは涼しげでしょうか? 中央付近は水色一辺倒になってしまいましたが、SIIフィルターでの硫黄輝線データが撮影不足でしょうかね。それでも、夏の星雲の代表格だけあって、迫力があります。
M20(三裂星雲、バンジー星雲)に、左上のM21散開星団を添えてトリミング。普通は赤と青の綺麗なバンジーのはずが、新種の奇異な色調になってしまいました。三裂星雲の名の通りの怪しい雰囲気です。
猫の手星雲付近のアップ画像です。このへんの散光星雲は、カタログ番号的には、IC4684、IC4685、IC1274、IC1275などの集合体になります。それぞれ、単独でアップしにしても美しいはずですが、無理な画像強調処理もあって、連日の日照りと南風により、最も干上がった感じになってしまいました(汗
この付近は、天の川の星々が綺麗なところでもあるので、ブロードバンド撮影で現像した方が、ずっと綺麗に見えるようです。以前にもう少し広角(焦点距離488mm程度)で撮ったことはありましたが、少し星雲のコントラストが低下してしまいました。南の空が晴れているこの夏に、今回の画像と同じ530mmの直焦点距離で、RGBフィルターを使った撮り直し現像にも挑戦中ですので、今回はこれでお許しくださいね。
備忘録: (以下、個人的な覚書 専門的な内容なので、綺麗な写真の鑑賞が目的の方はスルーしてね)
今回の撮影データ: 干潟星雲付近をSAOにて現像
撮影データ: APT (Astro Photography Tool) にてコントロール
鏡筒: タカハシ FSQ-106EDP(直焦点距離 530mm)
赤道儀: ビクセン SXP
ガイド: QHY OAG + ASI120Mmini PHD2 guiding ディザリング
光学センサー: QHY600M (gain 60、 cooling -5℃) 総露出時間 440分間
撮影日:5月3日(月夜) Hα 300sec 28コマ
5月16日の夜 OIII 600sec 16コマ
5月17日の夜 SII 600sec 14コマ
画像処理: フラットパネルフラットデータ使用
PixInsight にて WBPP、かぶり補正、SAO合成
FlatAide Pro にて対数現像して、SAOカラーマッピング
StarNet++ v2 にて星消し処理をして、星なし画像と、星のみ画像を作成
Photoshop にて、ハイパスフィルター処理、色調調整、星画像再合成、強調処理
NeatImage9 にて、ノイズ処理
APTでのオートフォーカスがうまくできなくて、せっかくの5月の新月期も、1夜1フィルター撮影しかできなかった
今思えば、ナローフィルターでのオートフォーカスはかなりハードルが高い
最近は、NINAでのオートフォーカス訓練中だが、オートフォーカスはLフィルターが一番確実かもしれない