銀河には集団をつくる傾向があり、数千万光年くらいの宇宙空間に、数百〜数千の明るい銀河が密集している集団を銀河団といいます。フルサイズセンサーで、おとめ座銀河団の中心部を撮影してみました。前々回のマルカリアンの鎖を撮ったのと同じ鏡筒(同焦点距離385mm)での撮影です。センサーの1画素のサイズ(3.76μm)はほぼ同じです。前々回のフォーサーズ画角センサーと、今回のフルサイズ画角センサーの領域の違いがよくわかります。

広い範囲に沢山の系外銀河が写っていますね。メシエ銀河だけでも10個捕らえました。NGCやICカタログのものまで含めると、かなりの数になります。おとめ座銀河団そのものは、もっと広くて、南北方向だけでも倍以上ありますが、あまり広角で見ると、個々の銀河がとても小さくなってしまいます。部分的にトリミング拡大して見ましょう。まずは、M86などのマルカリアンの鎖付近です。

前々回の画像よりも解像度アップしたような気がするのは、4時間半を超える総露出時間でハイパスフィルターをかけたせいでしょうか? それとも、気合を入れてフラット処理したせいでしょうか? 小さめの渦巻き銀河にも模様が見えています。楕円銀河に模様がわからないのは仕方がないですね。今回は、メシエ天体のみ番号を提示しました。M86付近のみをさらにトリミングして拡大すると、

沢山の銀河の表情が同時に見れて感激です。

他の部分も拡大して見たくなりますね。ブラックホール撮影で話題のM87付近は、

アマチア天体撮影では、M87はただの大き目の楕円銀河にしか見えません。M90は少し前に長焦点鏡筒で撮影したばかりでした。さらにトリミング拡大すると、

この小さな画像でも十分に雰囲気はありますね。長焦点鏡筒でここだけアップで撮たものは、少しだけアドバンテージがあったかな?

元画像上方の大きな銀河もトリミング拡大して見ましょう。

M88も長焦点鏡筒で撮りたくなってきました。M91は、前回供覧したばかりです。ここもさらにトリミング拡大すると、

小さく表示していると、長焦点鏡筒で撮ったのとの差はわかりにくいです。大きく拡大してみると、焦点距離での描出され方の差がわかりますね。

元画像左下の銀河もトリミング拡大して見ましょう。

左下隅のM60付近は、流石にノイズまみれです。でも、雰囲気はわかりますね。10個のメシエ銀河の大きさが比較できるように、メシエ番号を加えた画像の幅は同じにしてあります。こんな比較を楽しめるのも、大きなセンサーの恩恵です。苦労して現像した甲斐がありました^^

 

 

備忘録: (以下、個人的な覚書) 

 

今回の撮影データ:  

FSQ106EDP + RD0.73×(焦点距離 385mm) + ZWO EAF 

QHY OAG + QHY5LII-M  PHD2オートガイド (ディザリング)

QHY600PH(gain 26、 cooling -20℃)

2021年 自宅庭にて APT 3.8 コントロール

4月19日の夜 上弦ごろのお月様が沈む前後

 AXP赤道儀 L 300sec × 44コマ 

5月3日の夜 下弦ごろのお月様が出る前

 SXP赤道儀  R、G、B 各300sec × 各4、5、3コマ

自宅撮影 (総露出時間 280分間) 

ステライメージ9でコンポジットLRGB合成  PhotoShopCC で現像処理追加 

 

4月19日の撮影は、フィルター毎のピント合わせ訓練が主目的で、まだ月が残っている時にR,G,Bを撮った。南中後にLを撮り出し、入眠中に月が沈んだ後も撮影を続け、薄明となるスケジュール。思ったよりL画像が写ってたので、月が残っている時のものも合わせてコンポジット。RGB画像も作って見たけど、月明かりの影響で激しいカブリが出て、何度も手をかけたけれど絵にならず。5月3日に、R、G、B は撮り直した。この夜は2台体制だったので、赤道儀にSXPを使ったら、南中ごろはPHD2オートガイドが暴れまくってしまった。少し西に傾いたら撮れるようになったが、RGBデータ量は少なくなった。まだまだカブリが残っているが、光害地撮影として見れる範囲にはなったかな?