好きとか嫌いとか | 彼は彼で、必死で生きてる           

彼は彼で、必死で生きてる           

良いも悪いも善も悪も
優れているも劣っているも
社会や時代が引っ張った
一本の線の上か下か。あるいは右か左か。

静かに目や耳を澄ませた時
見えてくるもの聞こえてくるものって
何なのだろう?

この色が好き!
この花が好き!

理由は?なんて、きかれても答えられない。

ふと、夢判断という話を思いついた。

とりとめもない説明のつかない夢のストーリーや
登場するものが、
様々な意味を持っている、なんて
心理学の話。

理由のつかないものごとに、実は
隠されたたくさんの体験なんかが生きていたりする。

赤い色は、小さい頃、母親が
「お母さん、この花が好きなの!」と
そっと告げたさるすべりの色かもしれないし、

急に大人っぽくなった姉が
窓辺の一輪挿しに挿していた花が
黄色いフリージャーだったのかもしれない。

理由なんて覚えていない。
ただ、そこに、
喜びや、悲しみや、
切なさがあって、

記憶のずっと奥の宝石箱みたいなところに、
しまわれつづけることになったできごとを
みんな、持っているのかもしれない。


あれが好き。これが嫌い。

それは、たぶん人の生きた歴史で、
かつて静かに心を震わせたできごとから
生まれ出てきた。


人と好みが合わないと感じる時、
それは、
自分とは異なった人生を生きた人の
心の奥の静かな部分に触れられる時なのかもしれない。

晴れた空が好き。
たくさんの人達と一緒に見た、
たくさんの青い空の記憶が
きっと、自分にそう言わせる。

そこで何が起きたか、
すぐには何も思い出せないけれど・・・。