- 新司法試験論文えんしゅう本〈1〉公法系憲法/辰已法律研究所
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受験界では比較的人気のある問題集です。
主要7科目に加え、一部選択科目も出版されているので、8法全部を本書で統一することも可能です。
内容は、短めの事例問題が中心です。一部過去問も収録されています。
【良い点】
①解答例が比較的短くて実践的。
②一問一問の事例が短いので、初学者レベルから気軽に使用可能。
③問題数が1科目数十問レベル(民法でも100問ちょっと)と、潰すにはちょうどいい分量。
④解答例が、答案構成のように矢印でリンクするように書かれており、論理が追いやすい。
⑤論文試験で必要とされる重要論点はほぼ網羅されている。
【悪い点】
①あまりにも事例が短すぎて、新司法試験対策としては実践性を欠く問題もある。
②どこに論点があるのかがビジュアル的に把握できないので、答案の全体構造がつかみにくい。
③解説がほぼない。論点の明示もない。スペースはあるのだから、最低限の解説は掲載すべき。
④特に憲法で顕著ですが、流行遅れな答案がチラホラ散見される。
昨年、三振ギリギリセーフで何とか無事受かった友人は、本書について、「えんしゅう本の制覇が論文合格の最低ラインなのではないか」と言っていました。すなわち、えんしゅう本を潰し切れば司法試験には合格できる、ということです。
このブログではお馴染みの主張ですが、受験界には口を開けば
「○○では足りないよ」
と言って回る、「足りない教」の信者、あるいは、「足りない病」の患者が本当に多いです。
たしかに、「えんしゅう本」程度の簡素な問題集では不安だという気持ちも分からないではありませんが、それでは受験界で「えんしゅう本じゃ足りない」と言っている人が、当の「えんしゅう本」を潰しているかというと、間違いなくそう言ってる人の9割以上(←大袈裟ではないです)は、実際には「えんしゅう本」を潰していないと思います。
本当は「足りない、足りない」と言うのは、自分で潰してからにして欲しいのですが、現実には、潰さない人ほど(おそらくは不安な気持ちから)「足りない、足りない」と言いたがるのです。
私も、新司法試験の論文本試験問題を全問潰していることを絶対条件として(←ここ重要)、えんしゅう本の完全マスターが論文合格のミニマムラインだと考えます。
いずれにしても、まずは本書を潰すことから始める、という方針でいくのは悪くないと思います。
おすすめ度⇒A