これからロースクールに行く方のために、ロースクールのテキスト(教科書)事情と講義事情を少しだけお話ししておきます。
【ロースクールのテキスト事情】
ロースクールでは、講義で何らかのテキストが指定されることが多いです。
ところが、指定テキストがある場合でも、そのテキストを使う必要が必ずしもない場合が多いです。
「各自気に入ったものがあれば何でもよろしい」なんてことも、けっして珍しくありません。
そういうわけで、ローでは、教室に堂々とシケタイ や条文判例本 などの予備校本を持ち込んでいる学生も多いです。それを注意されたという話は、又聞きならばありますが、私自身は直接聞いたことはありません(私自身も注意を受けたことは一度もありません)。
【ロースクールの講義事情】
こういう柔軟な姿勢は評価すべき点でもありますが、同時に、教科書が何でもいいということは、すなわち、授業で教科書は使用しないことを意味します。この点には注意が必要です。
つまり、ロースクールでは、原則的に授業で教科書をしっかり解説してくれるようなことはないのです。
教科書読みは原則的に自習事項(=自分で勝手にやってねということ)であり、、ロースクールの講義とは、(未修であっても)そういう基本事項の修得が既に済んでいる前提で進められるものなのです。
本当は、特定の教科書をしっかりと理解することこそが、司法試験のインプット学習における最重要事項であり、かつ、最大の難所でもあるはずなのですが、ロースクールではこの難所の克服は原則自己責任とされています。
ローでこの難所がスルーされるのは、間違いなく、難所ゆえに教えるのが難しいからだと思います。例えれば、大人が幼稚園児に日本語の文法をゼロから体系立てて教えるようなものです。
知識ゼロの人間に何かを教えることは、一定の訓練とスキルがなければできません。このブログで再三述べているように、ローの教授にそのようなスキルはありません(たぶん鍛える気もありません)。
結局のところ、ローの教授はそういう面倒くさい部分(=一定の責任と多大な労力を要する部分)は全部スルーして、学生に責任転嫁してしまいたいのでしょう。年配の教授ほどそういう傾向が顕著になります(若手の准教授レベルの先生や実務家教員の中には、一部ですが良い先生もいます)。
学者は、あくまでも研究のプロであって、教育のプロではありません。
残念ながら、教育についてはただの素人としか思えない先生も決して少なくありません。
それがロースクールという「教育機関」の実態です。
特に未修で入学される方は、こういう点を予め覚悟された上で授業に臨まれるべきでしょう。
確実に受かりたいなら、入学前に予備校の入門講座を受講し終えておくことは、アドバンテージでもなんでもない、いわば最低限の義務です。この程度のことは、たとえ未修でも当たり前のことです。
この認識がなかった人は、今すぐに意識を入れかえて入門講座を受講してください。