広島 210 000 001 4
中日 000 010 22X 5
(広) 前田健、●青木、上野-石原
(中) ネルソン、三瀬、○浅尾、S岩瀬-谷繁
本塁打
(中) 野本1号ソロ(前田健)
ドラゴンズが連日の1点差ゲームを制して、ようやく勝率を5割に戻して借金を完済!
今シーズンの7勝のうちの6勝が1点差勝利というのは、まさしく“競り合いの竜”とでも言うべき驚異の数字ですね。
中日がネルソン、広島が前田健という両開幕投手が共に中4日での先発となったこの試合。
プロ野球の開幕が延期になって、“幻の開幕戦”となってしまった3月25日の試合でオープニングピッチャーを務める予定だった二人の対戦が思わぬ形で実現しました。
しかし、そのネルソンはいきなり先頭の梵、東出に連続四球を与えてしまうという不安定な立ち上がり。
独り相撲で無死一、二塁というピンチを招いてしまうと、早くも森ヘッドコーチがルイス通訳を引き連れてマウンドへ。
激励の直後、バントを続けて失敗した廣瀬のカウントは1ボール2ストライクとなって、ランナーがそれぞれスタート。
バッターの廣瀬は、外角のスライダーを右方向におっつけてライト前へ運ばれ、二塁ランナーの梵が生還。
あっさりと1点を先制されてしまうと、続く4番トレーシーのショートゴロ併殺打の間に、もう1点を失って2点を先行される苦しい展開。
さらに2回には、岩本のピッチャー強襲ヒット、丸のセンター前ヒットで無死一、二塁とされると石原の犠打で1死二、三塁のピンチ。
この場面で、ピッチャーの前田健に痛恨のタイムリーを浴びて、ビハインドが3点差へと広がってしまいました。
一方、打線は4回まで初回に荒木が放ったセンターヒット1本のみに抑えられて、嫌なムードが漂う劣勢の状況。
この重苦しい雰囲気を打開したのは、昨日1軍登録されて2試合連続のスタメンとなった野本のバットでした。
3点を追う5回、イニングの先頭バッターとして打席へ向かうと、初球のボール球を見送ってからの2球目。
低めのスライダーに肘を上手く折りたたんで反応すると、すくい上げた打球はライトスランドのポール際へ。
飛距離は十分というところで、最後は切れずにそのままポールをねじ込むようにスタンドイン。
反撃のノロシをあげる野本の今シーズン第1号ソロホームランが飛び出して、まずはドラゴンズが2点差に追い上げます。
そして7回、先頭のグスマンが11打席ぶりのヒットで出塁して、バッターボックスには再び野本。
広島は大野ピッチングコーチがマウンドへ向かって、内野陣が集まりベンチではブルペンと電話のやり取りが行われるも前田健は続投。
カウントは1ボール2ストライクとなってからの4球目、外角低めの変化球をまたしても上手くとらえました。
大きな当たりは右中間を深々と破って、一塁ランナーのグスマンが三塁を回って長躯ホームイン。
打った野本も二塁を蹴って三塁まで達して、タイムリー三塁打となりました。
次の谷繁の犠牲フライで、野本がホームインして、ドラゴンズがついに同点に。
代打の堂上剛が送られたところで、前田健をマウンドから引きずりおろしてノックアウトに成功。
そして、この回は同点止まりだったものの3-3で迎えた8回裏の攻撃。
前の回から続投となった青木から、先頭の井端がライト前ヒットで出塁。
この場面で、3番の森野が昨日に続いて2試合連続となるバントを決めて1死二塁にチャンス拡大。
4番の和田は敬遠の四球で歩かされて、バッターはブランコというところで広島サイドはピッチャーを右の上野にスイッチ。
1死一、二塁という一打出れば勝ち越しというチャンスで、ブランコのカウントは3ボール1ストライク。
その5球目、真ん中高めのシュートを思い切り振り抜くと、サードの頭上を越えてレフト線へ。
打球はフェンスまで達すると、二塁ランナーの井端をホームへと迎え入れて、ドラゴンズ勝ち越し。
さらにグスマンが四球を選んで満塁とすると、野本は空振り三振に倒れるも谷繁が押し出しの四球を選んで、もう1点追加。
2点をリードして、最終回は岩瀬が1点を許しながらも最少得点差を守り切って、今シーズン4セーブ目を挙げました。
試合を決めたのはブランコでしたが、野本のホームランと三塁打での追撃があったからこそ生まれた逆転勝利でしたからね。
レギュラーシーズンでは、去年の6月29日に甲子園球場で行われた阪神戦で、スタンリッジから放って以来となるホームランでした。
ただ、ポストシーズンも含めてとなると去年のクライマックスシリーズで巨人の越智から打った起死回生の同点2ランが忘れられませんね。
野本には、レギュラーを争っている他の外野手に劣っているここぞという場面でのパンチ力が魅力ですから。
今シーズン初スタメンとなった昨日の試合では、最初の打席のショートへの内野安打1本でしたが、この活躍で定位置奪取へ一歩前進しましたね。
センターで開幕スタメンだった大島が極度の不振で、ついにベンチスタートとなって初めての入れ替えでチャンスが回ってきたのは、この野本でした。
ファームでは28日の試合でホームランを記録するなど、3年目にして自身初の開幕2軍スタートとなってしまいながらも、腐らずに爪を研いで待っていましたね。
1軍昇格の吉報を知らされると、与えられた数少ないチャンスをモノにしてイキイキとグラウンド上で躍動しました。
大島は左ピッチャーには強い反面、右ピッチャーを苦手にしているという一面があるので、左右をあまり気にしない野本の方が前田健に対しては強かったですね。
野本自身、去年は大学の1年後輩の大島にレギュラーの座をさらわれて、一年間1軍に帯同しながらも打率.218という不本意な成績に終わったので、今シーズンに期するものはあると思います。
落合監督が今シーズン初めて、メンバー表に違う名前を書き込んで打線のてこ入れを行ったのがこの野本。
まさしくカンフル剤とも言えるような存在ですが、貧打が続く打線にメスを入れて入れ替えを着手したのは、効果的でした。
落合監督も「野本がセンターを守れれば、多少考え方も変わっていくかな」と話していた通り、これで起用法にも幅が広がるでしょう。
前田健のピッチング自体は、コントロールのいい投手にしては珍しく4つも四球を与えていたし、中4日ということもあっていつもよりも明らかに調子は悪かったですね。
本来のローテーション順であれば、中6日で福井が先発する予定だったらしいんですが、お兄さんが急死されたということで登板を回避したみたいです。
決勝タイムリーのブランコは、今シーズン初のお立ち台に上がりましたが、今週は浜松で2点タイムリー、豊橋でも決勝点となる場外ホームランと大活躍。
地方球場での試合時にはドラゴンズが勝ってもヒーローインタビューは行われない関係もあって、これがブランコにとって今シーズン最初の喜びの声でした。
状態は徐々にとはいえ上向いてきていることは確かなので、ブランコに当たりが戻れば自然とグスマンにも連鎖するような気がします。
8回裏の得点シーンは、前日のゲームと全く同じシチュエーションで、まるで昨日の録画を再生しているようでしたね。
昨日、森野のバントは年に一度あるか無いかの苦肉の策と書きましたが、まさか2日連続で同じ場面がやってくるとは思いませんでした。
ただ、今の森野のバッティングの調子を考えても昨日と違うサインが出ることはありえないし、当然の選択でしょうね。
ところが、昨日の試合とは違うことをやってきたのは広島の方で、前日は勝負だった和田との勝負を避けてブランコでダブルプレーを狙う作戦に変更してきました。
昨日の試合でも、そうやってくるかと思ったんですが、結果は勝負しても勝ち越し、敬遠しても勝ち越しでしたね。
去年は球団新記録の13度のサヨナラ勝ちを記録したドラゴンズは、今シーズンは3時間30分ルールという時間制限もあるので、8回に決着をつけるというジンクスを作り出してしまいまそうです。
これで、8回から登板した3番手の浅尾にも2日連続となる勝ち星が付いて、早くもチーム最多勝に躍り出ました。
ナゴヤドームでは去年の4月3日から11連勝と、ホームでのドラゴンズの強さの秘訣の裏には浅尾がいます。
去年もチーム最多勝の吉見に次ぐ12勝を挙げたので、同点の場面で投げることの多い浅尾に勝ち星が付くことは悪いことではありません。
むしろ、いい時のセットアッパーは一時期の岡本にしても、勝ち星が多い方がチームに貢献している証なので、もっと積み重ねてもらいましょう!
そして、味方の同点から逆転劇を呼んだのは2番手としてマウンドに上がった三瀬のピッチングも大きく関わっています。
6回表からネルソンの後を継ぐと、トレーシーをセカンドフライ、岩本をセンターフライ、丸をピッチャーゴロに打ち取って3者凡退。
丸のピッチャーゴロをさばく際には2週間前の悪夢の悪送球を思い出してしまいましたが、7回には石原、前田健、梵から3者連続三振を奪って攻撃へのリズムを生み出しました。
浅尾は昨日よりも調子が良かったものの、最終回の岩瀬は打って変わってボールが高めに浮いてしまいましたね。
最後は辛うじて逃げ切って通算280セーブとして、高津さんの持つ286セーブまであと6としました。
5月、最初の試合は白星スタートを切って、結局この一週間のホームでの6連戦は5勝1敗という好成績を残すことができました。
広島戦は去年の6月から6カード連続で勝ち越しを決めているという、お得意さまぶりを発揮。
これで神宮での3連敗が帳消しになって、ようやく借金も返済することができましたね。
そして、来週の火曜日からはその神宮球場で“天敵”ヤクルトとの3連戦が待っています。
しかも、その後には今シーズン初めての巨人戦がナゴヤドームで控えているので、この一週間は大事ですね。
正直、神宮では3連敗だけはしないことが重要なので1勝できれば御の字のような気もしますが、何とか勝ち越しが欲しいです。
来週にもチェンが復帰するのではないかという情報も囁かれている中で、誰がヤクルト戦に投げて誰を巨人戦
にぶつけるのかというのも気になります。
とにかく、先週の3タテのリベンジはどうしても果たさないといけないので、やられっぱなしではいけない男の意地を見せてやりましょう!