石原さとみの捨て身の演技がちょっとしんどい。 『missing』 | GESHICOMのブログ

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この役に対する石原さとみの並々ならぬ思いや

、役者としての覚悟を感じさせる渾身の演技に

まずは驚かされる。

でもそれって、役者としての成長何だろうか?

彼女の鬼気迫る演技ばかりが気になって、

逆にそれが感情移入の妨げになった気もする。

 

上手い演技って何だろう?

愛する幼子を誘拐された母は、まさに石原さと

みが演じたように、冷静な判断力を失い、

時に取り乱し、身近な人に当たり散らし、

半狂乱になることもあるのかもしれない。

実は、この上なくリアルな名演技だったのかも

しれない。

でも、個人的にはしっくりこなかった。

 

例えば、同じような設定の韓国映画「シークレ

ット・サンシャイン」で、息子を誘拐され殺さ

れた母親は、虚ろな能面のような表情で寡黙に

日々過ごし、時に何かのきっかけで突如獣のよ

うに咆哮していた。

そしてそれには、演技であることを特に意識せ

ず、どっぷりと感情移入ができた。

この差は何だろう?

 

一つの誘拐事件の経緯を追いながら、それを報

道するテレビ局の視聴率至上主義や誘拐された

子供の両親へのSNSによる謂れのない誹謗中

傷など、現代社会の病巣部分に切り込んでいる

のは良かったけれど、残念ながら掘り下げ方が

ありきたりで新鮮味に乏しかった。

 

でも、いろいろ難癖つけてしまいましたが、

全体としては見応えのあるいい作品でした。

 

80点