「怪物だーれだ?」
子供同士の無邪気な遊びを小道具に、
邪悪な人間の本質を浮き彫りにしていく。
その無邪気さと邪悪さの対比が、恐ろしさを
際立たせる...という話かと思ったのだけど、
観ているうちにだんだんと、
そんな単純な構図じゃないぞ?と思い始めた。
主な登場人物が皆、出る人出る人グロテスクな
〝怪物〟に見えていたのが途中から一転、事件
や事故の時系列を少しだけ前後させると、
それぞれが善なる心を持つ〝人間〟であること
が明かされる。
むむむ?
「怪物だーれだ?」
冒頭から〝怪物〟探しを始めた私たちは、
タイトルや思わせぶりな前宣伝に
ミスリードされたのかもしれない。
結局〝怪物〟は誰だったのか?
何度も時系列が入れ替わる複雑な構成。
回収先が不明だったいくつもの伏線。
一度の鑑賞では理解が及ばない部分も多く、
どうやらいろいろな解釈があり得そうだ。
いずれにしても、
人間の本性に鋭く深く迫った力作でした。
さらに、子役二人を含め役者達の演技が圧巻!
そして、坂本龍一のピアノが心に沁みました。
85点