<19XX年 未知の惑星から 不思議な光線が地球に到達
この謎の光線は地上の死者を
よみがえらせた
生ける屍(ゾンビ)は人肉を求めてー>
不気味なシンセサイザーの音と共に、打ち出されるタイプ文字。
これは日本初公開時版フィルムで、惑星爆発場面の後に流れる英語字幕の翻訳スーパーである。
配給元の日本ヘラルド映画が独自に製作したものと思われる、ここだけのバージョン。
この国では何らかの理由がなければ、観客が受け入れないと判断したのかもしれない。
が、ある批評家は‘某惑星から発する特殊光線が説明不足だから、残酷も絵空事になる’と公開時のレビューで切り捨てた。
しかしこの作品において、死者の蘇りに理由など必要ない。
謎の宇宙線なのか、新種のウィルスなのか、あるいは審判の日が訪れたのか…
何にしても変わりはない。
この現象に終わりはなく、文明社会は崩壊した。
分かっているのは唯一つ、
それを阻止するには、葬儀を出す前に首を切断する事。
たとえ相手が、最愛の人であろうとも。
「ゾンビ/ディレクターズカット完全版」139分を見た僕は、その時知った。
これも完全ではなかった。
やはり、子供の頃に読んだ記事が本当だったのだ。
オリジナルは、3時間近い!
僕が所有する撮影シナリオと原作本を比べると、同一といえる程正確に転用さている。
おそらくロメロが書いたシナリオをS・スパロウなる人物がそのまま小説化したと思われるのだ。
シナリオに関しては、いくつかの場面は撮影によって多少の変更はあるものの、セリフは映画と一語一句変わらない。
特筆すべきは、ラストシーンが完成版と違っている。
無論、小説は映画通りのものに修正されているのだが、幻と呼ばれるもうひとつのラストが何だったのか、それは最後にとっておこう。
さて、これから本作を細分化して検証するわけだが、まずは登場人物四人を紹介しよう。
キャラクターに関する情報は、小説での設定による。
フランシーヌ・パーカー(ゲイラン・ロス)
WGONテレビのアシスタント・マネージャー。
19歳で結婚し、21歳で離婚。
現在23歳だが、局でのポストとそのハッキリとした性格を考えるとかなりのやり手。
同じ局員を恋人に持ち、彼と二人で街を脱出し、カナダへ向かう計画を立てていた。
そこで野菜を植えたり、釣りをしたり…
しかし状況は、彼女が思う程甘くはなかった。
更に、妊娠中であるという事実も!
フランの恋人で、WGONテレビで交通情報のレポーターを担当。
ヘリの操縦が出来る為、局に無断でフランと共に逃亡。
その際、かねてからの飲み友達と合流する約束があり、行動を共にする。
が、そこには初対面の無愛想な大男も。
報道を担当していただけあり、真面目で正義感もある。
しかしこの狂った世界ではそれらは裏目に出るばかりで、次第に彼女との距離が…
SWAT隊員で、二年前に離婚したルイーズという名の元妻がいる。
彼女からは‘人間らしい優しさや思いやりがひとかけらもない’と言われていたが、繊細な部分もある。
飲み友達のスティーブと逃亡する計画だったが、運命的な出会いをした男を勝手に引き込む。
明るい性格でムードメーカー的存在だが、自分のせいでギクシャクした人間関係に責任を感じて無理をしていた部分も大きい。
黒人SWAT隊員。
冷静沈着で、時には非情。
作戦行動中にロジャーと遭遇、逃亡する仲間に加わる事となる。
しかしスティーブの甘さが性に合わず、事ある毎に衝突。
おかげでロジャーは板挟みで苦労する羽目に。
兄弟が二人おり、一人は刑務所の中、もう一人はプロ野球選手(ヘラルド出版訳ではプロ・フットボール選手)。
無愛想で皮肉屋でもあるが、その心は強く優しいものだった。
4人は、いかにして生き延びるのか?
そして、彼等を待つ運命とは…
今、地獄の幕が開く!!











