「ゾンビ」闇ルートに流通する噂の真相 | スクリーンに雨が降る

 

2010年4月23日、「ゾンビ新世紀完全版5枚組DVD-BOX」が発売された。

本作を愛する筋金入りのファンは、様々な想いを胸に商品を手にしたことだろう。

 

映像特典の目玉の一つに、日本初公開時の劇場予告が収録されたのは本当に嬉しかった。

当時の僕は、この予告編見たさに何度も映画館に通ったものだ。

何故なら、ここには上映フィルムで修正された映像の数々がそのまま使われていたから。

 

残酷場面の多くはモノクロ処理、ストップモーション、ブローアップ等が施され、削除こそされないものの衝撃度は激減している。

しかしその方がより生々しい印象を受けたという方もおり、ある意味味わい深い。

上映回転の為の時間短縮で切られた場所は、銀行で金を出すシーンからロジャーの苦しむ直前迄と、フランの化粧する場面一連のみ。エンドクレジットは黒い画面で処理され、すぐに幕が降りた。

特徴としては、フィルム現像時の色温度に起因するのだが映像全体が青味がかっている。

TV放送版も同様で、ショッピングセンターの階段の白い壁が水色に見える。

 

M山は、当時の公開話をこのように伝えている。

‘有楽座で上映されたものより新宿プラザで公開されたプリントの方が3分22秒長くエンディングが収録されていた’(最初に発売されたLDのライナーより)

二度とも有楽座で見た僕にはその真偽はわからないが、当時の映画誌で上映スケジュールを照らし合わせればハッキリするだろう。

 

僕と※は、映画館でこのフィルムをビデオ撮影して来た。

マトモな初公開版が入手出来ない為、この音声や※が入手した「サスペリア版」放送時の英語音声を録音したカセットテープを使い、輸入米国版ビデオから擬似イタリア版を作ったりして渇きを癒した。

 

昭和55年のTV初放送時のビデオにも、奇妙な縁がある。

僕は当時、このインチキバージョンを許せなかった。

ゴブリンの音楽以外に受け入れられるはずがない。

昭和57年の再放送でまさか音楽が戻るなど想像もしなかった為、録画しなかった。

一生の不覚!

で、地方の再放送を必死で探した。

代理録画を専門とする会社があり、そこに依頼し一安心。

ところが…

届いたビデオはあの「サスペリア版」!何故!?

 

問い合わせると、録画を失敗した為過去にストックとして保管していたテープを送ったという。

おかげで今では貴重な標準録画のマスターテープを再度所有出来たわけだが、その時は寝込むかと思った(笑)。

放映はKBS近畿放送で、東京に約二ヶ月遅れの昭和55年12月25日、「木曜洋画劇場」という同じ枠だが解説はない。

これが、一部で「白字サスペリア版」と呼ばれるもののマスタービデオだ。

東京12チャンネルの時は赤いスーパーだったタイトルが白一色で、他のスーパーも省略されている。

 

後年ファンタスティック映画祭オールナイトの「ゾンビ ディレクターズカット完全版」が初公開された日の事。

M山の情報で存在は知っていたが、まだ入手出来なかったメイキング映像「ドキュメント・オブ・ザ・デッド」の一部も日本で初めて上映され、僕はその場で全身が痺れた。

これを入手する為に、僕の所有する「サスペリア版」が裏ルートで出回る事になるのだった。

ちなみに後に入手した再放送版も僕から流れ出た物があり、所有する映像では惑星爆発場面等に一部ノイズが入っている。

闇ルートで流れるうちにそれを誤魔化す為か、わざわざ場面を丸ごとカットしたビデオを掴まされた人もいたようだ。

この吹き替え音声は今回の商品に収録されたので、質の悪いダビングビデオしか持っていなかった人には最高の贈り物だろう。