700万円のクロコを前に、私は決断できなかった。
ずっと、書きたかった話があります。
エルメスのクロコダイル。
エルメスを愛する方なら、一度は憧れる至高の存在ではないでしょうか。
私も、その世界に魅せられた一人でした。✨
実は本気でエルメスに通い始めた頃、
クロコを紹介していただいたことが3回もありました。
今でも鮮明に覚えているのは、
人生で初めて目の前に現れた、クロコのバーキン25。
王道中の王道である、黒にゴールド金具。
□(四角)マークが刻まれた、アリゲーターでした。
当時でも600万円を超え、700万円に届きそうな価格……
保存袋から姿を現した瞬間、
思わず息をのみました。
「うわぁ……」
それ以外の言葉が、どうしても出てこないのです。
写真では何度も見ていたはずなのに、
実物はまったくの別物でした。
革というより、まるで一つの完成された宝石。💎
艶、立体感、圧倒的な存在感。
あの瞬間、確かに個室の時間が止まったような感覚を覚えています。
そしてもう一つ、
今も忘れられないのが、クロコのケリー25(外縫い)。
最高級と称されるポロサス、
^(キャレット)マークのクロコでした。
当時で、すでに700万円超え。
カラーは濃紺でしたが、
それはただのネイビーではありませんでした。
光の角度によって表情を変える、
深く、どこまでも吸い込まれそうな青。
私にはそれが、ハワイの美しい海の色に見えたのです。🌊
吸い込まれそうなほど美しいそのバッグから、目が離せませんでした。
綺麗。本当に、綺麗……😍
気がつけば、同じ言葉ばかりを繰り返していました。
この世に「完璧なバッグ」が存在するなら、きっとこれだ、と。
今思い出しても、胸が高鳴ります。💓
エルメスの新品のクロコには、
言葉を失わせるほどの特別な魔力がありました。
「……購入します」
その言葉が、喉元まで出かかりました。
あと一歩、だったと思います。
けれど、当時の私はやはり立ち止まってしまいました。
エルメスの「30分ルール」。
そして、心の準備もないままに突きつけられた、700万円超えという現実。
心は「買いたい」。
でも、理性は「本当に大丈夫?」と問いかけてくる。
車を除けば、
人生で経験したことのない金額を前に、
頭の中をふたつの感情が激しく行き来していました。
あの時の緊張感と重圧は、今振り返っても相当なものでした。😓
結局、私は決断できませんでした。
当時の私には、まだクロコを持つ「覚悟」が足りなかったのだと思います。
ファーストバーキンにクロコを選ぶ勇気が持てなかった。
どちらかと言えば、通常のレザーから少しずつ経験を重ね、その世界を深めていきたい。
そんなささやかな願いもありました。🌱
しかし、
この決断が、のちに私とクロコとの関係を大きく変えることになるのです。
(後編へ続く)



