これをやって切れる人間関係なら捨てていい····
和田秀樹『本当に必要な人間関係を見極めるリトマス試験紙』
* PRESENTS Online (5月28日) より *
人間関係を整理するには何をすればいいか。
精神科医の和田秀樹さんは 「歳を重ねてからの人づき合いのポイントは、『ラクであること』が重要だ。
いま、まわりにいる人のかなりの割合を占めるのは『好きでも嫌いでもない人』であるだろう。
それは相手に対して、心理的に『いい加減』な距離が保たれていて、ウェットな関係のようにストレスが溜まることがないからだ。
◉ 人間関係で重要な法則 「他人の心はわからない」
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240528/19/george-galison/2d/b3/p/o0720045715444581699.png?caw=800)
たとえば、あなたがお金に困る事態になったとして、まわりの人に 「お金を貸してほしい」 と頼むのは、かなり抵抗があると思います。
自分の恥をさらすことになるばかりでなく、相手に迷惑がられて気まずくなる可能性も高く、絶縁される覚悟さえ必要になるでしょう。
それでも頼むしかないというとき、思い切って相談した友人が手を差し伸べてくれたとしたら、その人こそ “ 本当の親友 “ だと実感するのではないでしょうか。
本当に困っているとき、遠慮せずに人に頼ってみると、自分にとって大事な関係が浮き彫りになります。
人間関係で重要な原則のひとつは、 「他人の心はわからない」 ということです。
親子や夫婦であっても、相手がどう思っているか、本当のところはわかりません。
それを “ わかった気になる “ ほうが、よほど危ういと思います。
相手の心はわからない。
でも、自分が何らかのアクションを起こせば、それに対する相手の反応は確実にわかります。
お金を貸してほしいと頼めば、相手から何かしらの反応が返ってきます。
率直に 「自分もお金がないから貸せない」 と言う人もいれば、明らかにお金をたくさん持っているのに、にべもなく断る人もいるでしょう。
一方で、お金がないなりに、可能な限りの金額を貸してくれる人もいます。
なかには、よそから借りてまで用立ててくれる人もいるかもしれません。
自分の弱いところをさらけ出し、相手にとっては負担になるかもしれない相談をしたとき、親身になってくれるかどうかで、相手が本当に自分のことを考えてくれている人なのかがわかります。
もちろん、相手に頼った結果、拒絶され、関係を切られることもあると思います。
そうなったとすれば、もともとその程度の関係だったということです。
多少、人間関係が減るリスクがあるとしても、それを怖れずに、素直に人に頼っていいと思います。
それで相手が思ったほどこちらのことを考えていないとか、損得勘定だけでつき合っていたのだとわかれば、こちらから関係を見直せばいいことです。
むしろ、頼ってみたときに 「やっぱりこの人はいい人だった」 と、あらためて思えるような人でなければ、わざわざつき合う意味があるのか疑問です。
遠慮せずに頼ることは、自分にとって大事な関係する見極めるための、 “ 重要なリトマス試験紙 “ になります。
それによって、本当に大事にしたい相手がわかると同時に、切れていい関係は切れます。
◉ 切れてもいい人間関係は切っていい
人間関係というものを、重くとらえすぎない。
とくに歳を重ねてからは、それが基本です。
話していて気疲れする相手、自分が合わせなければいけない相手、言いたいことが言えない相手とつき合う必要はありません。
それは歳を重ねたからこその特権です。
一方で、遠慮せずに話しかけたり、頼ったりしてみると、好ましい反応を返してくれる人もいます。
そういう人とだけ、つき合えばいいのです。
それこそお金の相談してしたり、悩みごとを打ち明けたりしたとき、相手にすごく冷たい反応をされたら、 「こんなに冷たくされるなんて」 「あの人を信用して損をした」 などと、嘆いたり憤慨したりするのではなく、 「あの人がどういう人かわかってよかった」 と思うようにしたほうがいいでしょう。
「こんなことを言ったら嫌われる」 と遠慮する必要はありません。
言ってみて嫌われたら、その人とは “ つき合わなけれはいい “ だけの話です。
言ってみても嫌われず、相手とわかり合うことができたら、関係がより “ よいもの “ になります。
相手から会いたいと誘われたとき、あまり気が乗らないのであれば、断ってもいいと思います。
それで切れてしまう関係もあり、結果として人間関係がかなり整理されました。
切ってもいい人間関係は切ってもいい。
一方で、この人には先約を断ってでも会おうと思う相手もいます。
その優先順位は、相手の社会的地位などではなく、会っていて “ 自分が本当に心地いいかどうか “ で決まります。
歳を重ねてからの人づき合いましたポイントは、 「ラクであること」 。
この人と話しているとラク、一緒にいてラク、互いに遠慮しなくていい。
それが望ましい関係です。
◉ ウェットな人間関係は、それだけストレスも多くなる
いま、あなたのまわりにいる人、関わりのある人を、試しに思い浮かべてみてください。
好きだと思う人もいれば、苦手な人もいるでしょう。
でも、かなりの割合を占めるのは 「好きでも嫌いでもない人」 ではないでしょうか。
そのような人とのつき合いでは、とくに悩むことはないはずです。
何か用事があって関わるにしても、用事は淡々とスムーズに済ますし、相手の存在に感情が乱されることもありません。
つまり、相手に対して、心理的に 「いい加減」 な距離が保たれているのです。
しかし、家族など身近な関係では、なかなかそうはいきません。
相手と物理的にも心理的にも距離が近いだけに、 「どうしてわかってくれないの」 「あなたのためを思って言っているのに」 などと不満を抱き、そうした感情的な言葉を相手にぶつけてしまうことにもなりがちです。
ウェットな人間関係は、それだけストレスも多くなります。
好きでも嫌いでもない相手に対しては、干渉することもなく、過度な期待もしません。
それぐらい割り切った、ドライと言えるくらいの関係は、とてもラクです。
相手が自分の望むような振る舞いをしてくれなくても、腹を立てたり、失望したりすることもありません。
相手に対して感情的にならずに済むので、ぶつかることもなく、結果的に “ 良好な関係 “ が長く続きます。
◉ 「好きでも嫌いでもない」 くらいがちょうどいい
近所付き合いでも、趣味の集まりでも、茶飲み仲間との交流でも、好きな相手にグイグイ近づいたり、反対に嫌いな相手を避けようとしたりする必要はありません。
どの人にも 「好きでも嫌いでもない人」 と対するように、その場の関わりがうまくいけばいいという “ 割り切り “ を持つことで、たいていの人と 「ちょうどいい距離」 を保つことができます。
そういう関係を冷たいとか、味気ないなどと、ネガティブにとらえないようにしたいところです。
ウェットな関係で互いに息苦しくなり、関係自体が破綻してしまうリスクを思えば、少しドライなくらいの関係が、結局はベストバランスと言えるのです。
『 おひとり様の人間関係 』
拙者は家族のいない 「おひとり様」 で、まわり ( すぐに会える距離内) にも親しい間柄と呼べる人はおりません。
ですが、そのことを “ 寂しい “ と思ったことは一度もありません。
うわべだけのつき合いで変な気疲れをするくらいなら、一人でのんびり過ごしていたほうが気楽でいいですから (^^;